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竜使いのラーシャ  作者: 紅月
再会と覚悟とスノウコルド
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一発で

 ラーシャはセツが一体、消し炭にしたのを見て心の中で賞賛の拍手を送る。

 同属性の不利さを感じさせない攻撃を見て流石と言わざるを得ない。


「ルーキス!私たちも行くよ!」


 ラーシャの言葉にルーキスは狙いを定めていたブレイズルチャに攻撃を仕掛けるために後ろをつけ回し、追い詰めていく。

 ラーシャは素早く周囲を確認して周りや、攻撃の軌道に仲間がいないのを確認する。


「ここなら攻撃を出しても問題ないよ!」

【了解!】


 ルーキスは攻撃の為に口の中に光を溜め込んだ。


『ラーシャ!下からブレイズルチャに狙われてるぞ!』


 セルジュの通信にラーシャはハッとして下を覗き込めばブレイズルチャが炎を放つ瞬間だった。


「下から炎!」


 ラーシャの焦った声にすぐにルーキスが反応して身をひるがえして、攻撃を避けるのと同時に狙っていたブレイズルチャに光線で撃ち抜く。

 ブレイズルチャを倒せたら事よりも、炎からギリギリに逃れられた事にラーシャは安堵のため息を吐いた。


【順番って言葉をしないのか、コイツらは】


 下から襲ってきたブレイズルチャに今度は追われる立場になったルーキスが不満そうに声を漏らす。


「そりゃあ、お互いに命懸けだからね!…セルジュ!ありがとう!!」

『ああ』


 短い返事を返すセルジュはブレイズルチャと戦闘中だ。

 残るブレイズルチャも残り三体。

 黄竜を逃したロベリエもベインに加勢に入ったようなので、ブレイズルチャを殲滅するのも時間の問題だろう。

 ラーシャは後ろを振り返り、ブレイズルチャを確認する。

 激しく上下するルーキスの動きにしっかりと合わせて来る。

 ブレイズルチャが再び大きく口を開いた。


「また攻撃が来るよ!」

【しっかり捕まってろ!!】


 ルーキスは叫ぶと、ラーシャの返事も聞かずに垂直に上昇して、ブレイズルチャの攻撃を回避する。

 ブレイズルチャもすぐに同じように垂直に上昇をして追ってくると、ルーキスはしばらく上昇した後、垂直に急降下をする。

 一瞬、無重力状態となり心臓がヒュンッと縮み上がりラーシャは小さな悲鳴をあげた。

 ブレイズルチャもルーキスが降下をしてくると予想していなかったらしく、一瞬怯んだ様子だったが相打ちを覚悟したのかそのまま突っ込み、口を開いた。


「る、ルーキス!!」

【わかってる!】


 ルーキスも口を開き、光線を放つ用意をする。

 下には誰もいない、心置きなく最大の火力が出せる。


「ルーキス、一発で決めて!!」


 ラーシャに応えるかのようにルーキスは最高出力で光を放ち、ブレイズルチャも全力で炎を吐き出して、光線を打ち消そうと試みた。

 光と炎がぶつかり合い、大きな衝撃音を響かせる。

 ルーキスはそのまま光と炎が爆ぜる真っ只中に飛び込み、ラーシャは顔を覆って爆風から身を守った。

 爆風が止み視界が開けると、光に押し負けたブレイズルチャは身体は炎に包まれ、絶叫しながらもルーキスに襲い掛かろうと最後の悪足掻きをする。


【大人しく堕ちろ!!】


 ルーキスはもう一度光を放ち今度こそ、ブレイズルチャが堕ちて行った。


【よく、耐えたな。ラーシャ】


 一息吐いたルーキスがラーシャを褒めるとラーシャは照れたように笑い、その後すぐに意地悪そうな笑みを浮かべた。


「私、一発で決めてって言ったのに出来なかったね?」

【予想以上に強かったんだ。次は決める】

「戦いで油断は禁物だよ?」


 偉そうに言うラーシャにルーキスは呆れたようなため息をつく。


【はいはい。お前も今度は戦闘中にビビるなよ?】

「び、ビビってないし!!」


 突然のアクロバット飛行にドキドキしただけだ。憤慨とばかりにラーシャは鼻を鳴らしたがこのままでは分が悪いのでこの話を強制的に終了する事にした。


「ほ、ほら!次の敵を倒しに行くよ!!…ってもう終わってるみたいね」


 周りを見渡せば、敵は全て一掃され宙に残るのは竜だけとなっていた。

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