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竜使いのラーシャ  作者: 紅月
卒業と試練と騎士団
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ソル達の奮闘記⑥

 嬉しそうなエルを見てニアも嬉しくなる。


【では早速行きましょう!!】

「…では、皆様。お先に失礼いたしますわ」


 ニアが一言断りを入れるのと同時に、エルが地面を蹴った。


【イイイイイイイヤッフウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥッ!】


 雄叫びを残して一瞬で視界からエルが消える。


「さすがエル速いなぁ。授業の時より速くね?」

【余程、ストレスが溜まっていたのであろうな】


 その頭のおかしい速さに慣れているソルとベルナデッタは大して驚かないが、ウィンターとレイトワは言葉を失う。


「あれ?もしかして、エルの飛ぶところ見るの初めてですか…?」

「いや、何度か見たことあるが…あれほどのスピードは…」

「速いですよね。俺一回乗せてもらったんですけど失神しましたから」


 レイトワは顔を真っ青にさせると不安そうな顔をして口を開く。


「お、お嬢様は大丈夫なのですか?」

「はい。ニアは全然余裕でエルのスピードについて行けますよ。天性の才能って奴ですよねー」

「君はニアの事をよく見ているんだな」

「へ?」


 突然、ウィンターに低い声で言われてソルは驚いて変な声が出る。

 何故だが、自分を真っ直ぐ見つめるウィンターの顔が怖い。物凄く怖い。


「好きなのか?」

「何を!?」

「ニアの事が好きなのか?」

「違いますけど!?」


 素っ頓狂な声を上げて否定するソル。

 何言ってんだこの人!!


「君はよくニアを見ているだろう」

「幼馴染ですからね!ずっと一緒にいましたからね!!そりゃ見てますよ!」

「やっぱり好きなのか!」

「違いますって!!誤解です!お父さん!」


 ソルの一言にウィンターの目がカッと見開く。


「お前にお義父さんと呼ばれる筋合いはない!!!」

「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!なんでそうなる!!!」


 ソルは頭を掻きむしりながら叫び散すのだった。


+++++++++



 一悶着があったが、何とかニアとエルが待つ火口へと辿り着く事が出来た。


「遅かったですわね。…ソル、なんか疲れてますけど大丈夫ですか?」

「ん?あぁ…うん。気にすんな」


 ハハ、と笑ってソルはチラッとウィンターの方を見るとやはり怖い顔でこっちをガン見している。


【では、採ってくるとしようかの。大きさの希望はあるか?】


 ベルナデッタの質問に、レイトワは少し考える。


「そうですね…どれくらいの大きさがあるのかわからないので、何とも言えませんが大きくて質の良いものがいいですね」

【よかろう。ではまた】


 ベルナデッタはそう言ってマグマの中に何の躊躇もなく入っていった。

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