昼食
結局、セルジュまでアルボルに治療してもらい三人が無事に筋肉痛による地獄の様な痛みから解放された。
代償として、三人ともアルボルの唾液塗れになったが。
その後三人が結託して、ロベリエにも治療を受けさせようとしたがやんわりと笑顔で
「私、こういうの慣れてて疲れとか無いから大丈夫」
と断られ、悔しそうな顔をしたのは言うまでもない。
フリーラは治療が終わったのを見計らって、持って来たお弁当を配り出した。
「さて、お昼にしよう。お腹が空いただろう。たくさん食べ…レミどうした?変な顔して」
「フーちゃんさ、もう休憩時間なんだからそんな変な喋り方しないでいつも通りに喋れば?」
レミの言葉にフリーラが目を見開くと、顔をドンドン赤くして行く。
「ちょっと!今、フーちゃんって呼ばないで!!威厳よ!威厳!!いつも皆んなの前で指示出す時はこんな感じでしょ!!」
「威厳も何も、今は休憩中なんだからいいじゃない。いつも通りのフーちゃんでいいじゃん」
「レミの馬鹿っ!…ゴホン、失礼」
威厳を取り戻そうと咳払いをして誤魔化そうとするが時すでに遅しで、ラーシャ達がクスクス笑い出す。
「フーちゃんって呼ばれてるの可愛いですね」
「うるさい!!」
ロベリエの一言を一蹴すると、フリーラはため息をついた。
「レミは私の同期なのよ…。お弁当の前に皆んな腕輪はこの中に入れて」
フリーラはそう言って艶のある黒い箱を差し出した。
「その箱は?」
「この箱は魔力を遮断する特別製の箱なの。この中に入れておけば腕輪で魔物が引き寄せられることは無いからゆっくりお昼が食べられるわ」
ラーシャ達は腕から腕輪を外すと箱の中に入れて、やっと魔物が襲って来る恐怖から解放されて安堵のため息をついた。
【ところであっしらは何を食べれりゃいいんですかい?】
【あぁ、貴方たちはこっちよ。今日たくさん魔物を狩ったから好きなだけ食べていいってデイル騎士団長から許可をもらってるわ】
ナイラの質問に答えたのは、花竜のリリー。
【てことは、このサイズで好きなだけ食べいいってことか!!】
【ええ、午前中たくさん頑張ったご褒美よ。アイシャ達が一ヶ所にまとめてくれてるから行きましょう】
そう言ってリリーがアルボルを引き連れて飛び立つと、ルーキスが我先にと飛び立ち後を追う。
【ルーキスは食いしん坊だからなぁ…】
【俺の分残しとけよ!!】
セツがそう言って慌てて飛び立ち、残されたニクスとナイラも後に続いた。
相棒が昼食を食べに行ったのを見送ってから、ラーシャ達も配られたお弁当を食べる。
「美味しい。…アルボルの涎まみれじゃなければもっと最高の気分だったのに」
「「それな」」
ラーシャにセルジュとベインが激しく同意した。




