同情
【ロベリエ!!ごめん!!!つい頭に血が昇って…!!】
ロベリエはセツを受け止めてよしよし、と頭を撫でる。
「大丈夫よ、助かったんだから。それにあれくらいなら着地は余裕だったし」
ロベリエはそう言って微笑むとセルジュの方を見た。
「でも、女の子扱いして貰えるのは嬉しかったかな」
驚いて目を丸くするとセルジュがふいっと目を逸らしたのを見てベインは物珍しいものを見たかのように、その顔を覗き込む。
「へぇ、お前って照れるんだ…」
「うるさい。見るな」
「いいじゃん、減るもんじゃないし」
「減る!」
セルジュはベインを押し退けた。
「行くぞ。いつまでも突っ立てるわけにも行かないだろ?」
「そうね。ここにずっと止まってると良い的になっちゃうからね」
ロベリエはセルジュに同意するとセツをと共に再び走り出す。
その後をセルジュも続く。
「意外と可愛げあるんだな。…ラーシャ?どうした?」
「え?あぁ…うん」
後ろを何度も振り返ってソワソワしていたラーシャは我に返ると走り出し、その後にベインが続く。
「ルーキスとナイラが遅いなって」
「あの二匹は強いから心配ない…っていうか、もっと心配することあるんじゃね?」
「え?何??」
何も思い当たるものがないと、首を傾げるラーシャにベインは盛大なため息をついた。
「マジか」
「?」
「あー…いや、そっか。…この調子じゃ、ソルの事も…なんか同情してきたわ」
「え?なんの話?」
「独り言」
ベインがそれっきり何も言わずに走る事に専念してしまったので、ラーシャもため息をついて大人しく走る事にした。
しばらく走っているとニクスが、やっと来た、と呟く。
その言葉にラーシャの表情が一気に明るくなった。
「ルーキス!!」
ルーキスとナイラが戻って来たのを見てラーシャが嬉ししうに名前を呼ぶと、げっそりした顔で戻って来たルーキスはラーシャの隣を並行して飛ぶ。
【アクルフを倒した後、戻ろうとしたら道中魔物が多くて戻るのが大変だった…】
「お疲れ様」
ルーキスに怪我が無いかサッと視線を走らせて、怪我が無い事を確認すると安堵のため息をついた。
【腕輪の効力が高過ぎる。四つもあるから余計に大変だ…全く…】
「え!?気付いてたの!?」
【最初から知っていたさ。竜はみんな気づいてたんじゃないか?】
「えー…早く言ってよ…」
【お前に言ったって、どうすることも出来ないし、どうせ筋肉痛でいっぱいいっぱいだろ?】
「そりゃ、そうだけどさ」
【ほら、護衛は任せてお前は走る事に専念しろよ】
「うぅ…。はーい」
ラーシャはむぅ、と頬を膨らませたがルーキスが無事に戻って来た事でよしとする事にして、ルーキスの言う通り走る事に専念する事にした。




