駐屯所へ
ラーシャはけたたましく鳴り響く目覚まし時計を止めると、ゆっくり起き上がる。
身体全身が悲鳴を上げ、苦痛に顔を歪めるた。
お風呂でマッサージをしたのに筋肉痛は回避出来なかった。
「うわぁぁ…ツラい…。今日大丈夫かな」
そろそろとベッドから慎重に降りるがやっぱり痛い。
【ラーシャ、そんなにゆっくり動いてた遅刻するぞ】
ベッドの上で転がったままのルーキスに指摘され、ラーシャは眉間に皺を寄せた。
「わかってるわよ。ルーキスだって全然動こうとしないじゃない」
【オレは昨日ので満身創痍なんだ】
「私だってそうですぅー。まったく…ほら、起きて!」
いつもと逆転してラーシャに叩き起こされ、悲鳴を上げながらルーキスはパタパタと力無く飛び始めた。
ラーシャとルーキスが部屋を出れば、シューリカが朝食を用意しているところだった。
「おはよう、ラーシャ、ルーキス。今日は早かったわねー」
「おはようおばあちゃん。ゼン兄とアイシャは?」
「二人ならもう出たわよ。訓練の準備があるんですって」
「訓練の準備…」
準備という言葉にすごく嫌な予感がするが、遅れるわけにはいかないのでラーシャはとりあえず痛む身体に鞭を打って出発の準備と朝食を済ませる。
「しょうがない、行くか…。ルーキス?食べ終わった?」
ラーシャはお茶を飲み干して立ち上がると、ルーキスに声をかけた。
ルーキスはため息を吐くと渋々といった感じでラーシャの肩に停まった。
【行くか?】
「気が重いけど行くしかないでしょ」
二人は同時に重いため息を溢して、シューリカとハクレンに挨拶をすると騎士団の駐屯所に向けて飛び立った。
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駐屯所に着くと、もう既に他の者は来ていてラーシャが一番最後だった。
「おはよう」
挨拶を済ませながら、セルジュとベインの様子を伺うとやはり身体が痛いのが動きがかなりぎこちない。
その事にラーシャは内心ホッとする。
「おはよう、ラーシャちゃん…でよかったよね?」
ロベリエに声をかけられて、ラーシャはちょっと驚いたがすぐに笑顔になって頷いた。
「ええ。えっと…ロベリエ、さん?」
一つ年齢なのを思い出してそう付け足すと、ロベリエが首を横に振った。
「ロベリエでいいよ。同期なんだし」
「じゃあ私も呼び捨てで」
「わかった。ラーシャ、今日からよろしくね」
「こちらこそ」
二人が握手を交わしたところで、駐屯所の中からデイルとフリーラが出て来た。
「おはよう。もうみんな来てるね、偉い偉い」
デイルはラーシャ達を褒めると、にっこり笑う。
何故かその笑みが薄寒いものを感じて、ラーシャは身震いをする。
「さて、じゃあ始めようか。まずは基礎体力作りからね」




