表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜使いのラーシャ  作者: 紅月
卒業と試練と騎士団
122/834

名案

 結局セルジュが耐えられたのは二分だった。

 最後は砂に足を取られた瞬間に脇腹に命中し、その場に崩れ落ちた。


「お疲れー」

「結構長く避けてたな」


 先に撃たれて横たわっていたラーシャ達から労いの言葉を掛けられるが、片手を上げて答えるのが精一杯だった。


「ほらー、寝てんなよー。次行くぞ」


 容赦のないゼンにイラッとしながらもラーシャがゆっくり立ち上がった。


「二人は寝てて。ここは一人ずつ交互に挑みに行こう。時間を稼いで体力の回復をするよ」


 二人は目を見開いてラーシャを見つめた。


「お前ってもしかして天才?」

「ラーシャが五分逃げ切って、ベインが二十分逃げ切れば二十五分は休めるな」

「計算おかしくないか?」

「?」


 真剣な顔で首を傾げるセルジュにベインはため息をついて、何でもねぇ、と呟いた。


「とにかく!私が先にやる!!ゼン兄!勝負!!!」

「いい度胸だ!ラーシャ!!」


 ゼンは嬉しそうに笑って銃口をラーシャに向けると迷う事なく引き金を引く。

 ラーシャはセルジュの教えを胸に放たれた銃弾をよく見てどこに避けるべきかを、冷静に見極める。

 そしてー。


「ぎゃー!!!」


 秒で撃たれてその場に倒れた。


「時間稼ぎにもなってねぇな」

「うるさい。マジでうるさい。ベインがやってよ」


 不貞腐れるラーシャを無視してベインは立ち上がると深呼吸をする。

 セルジュと同じように…とまでは行かなくてもせめてラーシャよりも長く逃げたい。


「お願いしますっ!」


 腹に力を込めてベインが叫ぶ。

 それに呼応するかのように鳴り響く銃声とベインの悲鳴。

 砂浜にうつ伏せで倒れてベインが呻く。


「ごめん。本当にごめん。ラーシャは悪くなかったわ。セルジュが異常なだけだったわ」

「いいよ、わかってくれて嬉しいよ…」

「…?俺もしかして貶されてるのか?」


 そんなやりとりを繰り返しながらゼンの訓練は続けられ、一時間後には誰一人として動けずにその場に倒れ込んでいる。


「まぁ、初日だからこんなもんなだな。お疲れ様」


 ゼンの言葉にもラーシャ達は何も返す事が出来ずに凄まじい疲労感に耐えていた。


「今日は早く寝て風呂に入ったらよくマッサージしろよ?明日なんて今日の比じゃないくらいきついんだからな」

「今日の…」

「比じゃないくらい」

「キツイ?」


 三人はゼンの言葉を絶望を滲ませながらおうむ返しで繰り返す。


【ただいまー、ゼン!】


 その時、上空からアイシャの声が聞こえゼンは上を見て手を振る。


【おかえり、アイシャ…って、お前らすごいボロボロだな!?大丈夫か!?】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ