表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜使いのラーシャ  作者: 紅月
卒業と試練と騎士団
110/826

合格発表

 ラーシャはルーキスの背中の上で顔を真っ青にさせていた。


【おい、大丈夫か?ラーシャ】

「だいじょばない…!全然だいじょばない!!見た!?すれ違う人みんな顔色悪かったよ!?」

【顔がよく見えないからわからないけど、お前も多分今同じくらい顔色悪いと思うぞ】


 ラーシャは深呼吸をして目を閉じた。


「あぁ…胃が痛くなって来た…」


 入団試験を受けた人であろう人々がさっきからすれ違うのだが、誰も表情の明るい者はいなかった。

 確かに難しかったし、ゼンも今年は今までよりも難しいと言っていたのを思い出す。


「はぁぁぁぁ」

【昨日までの自信はどこに行ったんだ?】

「遥か彼方の遠い方…」


 なんとかラーシャ達は第八騎士団の駐屯所にたどり着く。

 もうすでにセルジュ達が来ていた。


「遅いぞ!ラーシャ!!」

「ご、ごめん」


 ソルに怒られて真っ青な顔で謝るラーシャをニアが心配そうな顔をする。


「大丈夫ですか?顔色が悪いですわ…」

「ここに来る途中にすれ違った受験者の人がみんな顔色悪くて…」

「ほとんど落ちてるみたいだからな」


 自分も受験を受けている身なのに全く気にしてないようにセルジュが言うのを見てラーシャは目を丸くした。


「え!?セルジュもう結果見たの!?」

「まだ、見てない」

「なんでそんな冷静なの!?」

「ここで気を揉んでもしょうがないだろ?」

「お、大人…」


 ラーシャがセルジュを尊敬の眼差しで見つめていると、ソルがニヤニヤしながらセルジュの背中を叩いた。


「よく言うぜ!昨日なんかずっと寝れなくて部屋中グルグル回って、最終的には朝までニクスと散歩してたのくせに」

「ソル!!」


 セルジュが顔を真っ赤にして怒るがソルは全く気にしている様子はなく、ずっと笑っている。

 そんな二人を見ていると何となく肩の力抜けて、ラーシャの顔色も良くなって来た。


「大丈夫そうですわね、ラーシャ」

「うん、みんなといると元気が出るよ」

【よかったですねぇ!さぁさ!早く結果見に行きましょう!!エルは結果が知りたくて先に見に行こうとしたら皆さんが止めるんですよ】


 エルの言葉にベルナデッタがため息を吐いた。


【当たり前だろう。ラーシャとセルジュが自分で結果を見たいに決まっているであろう。第三者は黙っておれ】

【酷い!第三者だなんて…!エル達はこんなに心が繋がっているのに…】


 オイオイと嘘泣きを始めるエルを見てルーキスは呆れたような顔をするとラーシャの頭を翼で叩く。


【おい、そろそろ結果を見に行こう】

【そうだね。いつまでも結果を見ないわけにもいかないからね】


 ルーキスとニクスに背中を押されて、ラーシャとセルジュは顔を見合わせると頷いた。


「よし!行こう」

「あそこの掲示板に張り出されてるみたいですわ」


 掲示板には数人の人集りが出来ている。

 受験した人数は五十人くらいいたが、遠くから掲示板を見ると、書いてある数字が少ない。

 物凄く少ない。二十個も書かれてない。


「やっぱ、行くのやめない?」

「ラーシャ、見に行かなくても結果は変わらないから…早く行こう」


 怯むラーシャを無理矢理引っ張りなんとか掲示板の方へと向かう。


「ラーシャとセルジュは何番だっけ?」

「…二十七番」

「二十八番」


 ラーシャとセルジュはそれぞれ答えると前に進み出て、人を少し掻き分けて掲示板の前に進み出る。

 俯いていたラーシャは目を閉じてゆっくりと顔を上げると、バクバクと脈打つ心臓を何とか宥めながら薄目を開けて自分の番号があるか確認する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ