ライトノベルヲタは少年漫画がわからない。③
アニメショップ 『アニメイゾ』に着いた私は漫画コーナーに行き女神様を見つけた。
「彩月、木曜日まで来るなって言ったよな~。」
女神様を困らせてしまったかもしれない。
「客としてきたので昨日のこととは関係ありません。女神様いえ店員さん、私に少年漫画を教えてください!」
私は堂々と客としてお願いした。
「ははーん。」
女神様が昨日見せたような意地の悪い笑顔を見せてくる。
「それなら、私より少年漫画をわかっているやつに聞けばいいと思うな〜。」
なんか腹が立ってきた。
「もう一度言います。私は客です。お客様は神様でしょう?今は女神様と対等の神いえ女神様は今勤務中なのでただの店員!私の方が立場は上です!」
おそらく私は今、論破できた!って感じの勝ち誇った表情だと思う。
「神気取りの客は嫌われるぞ。」
「ふ、普段はこんなことしません。」
「まあいい。だが実際それは私に聞くより輝崎に聞いた方がいいと思うんだが…。まあそれが無理だから来たんだろうな。そうだなまずこの前アイツが異世界に持って行った漫画がコレだ。」
『ドラゴンボーシ』そう書かれた漫画を女神様は見せてきた。
「国民的漫画だ。テレビとかでも取り上げられるしタイトルくらいは知ってるだろ?」
「はい…。」
「内容は七つ集めるとドラゴンが出てきて願いをか叶えてくれる帽子を集める話だ。だが次第に主人公は成長し地球の存亡をかけて戦っていくことになる。」
「なるほど。」
「次はコレだ、『ドラゴンボーシ』と違って現在も連載中の漫画だ。大秘宝を探すため主人公が仲間を集め旅をしていく物語。主人公は体を自在に伸ばし海賊を倒していく。続いて完結作品の漫画だ。忍者が頑張って夢をかなえていく物語。影分身が得意だ。それ以外にも名作はあるぞ!あまり最新話を読むことができないこの漫画は作者ばかりネタにされがちだが読んでみるとこんなの作ってるのだから休載必要だはと思わせる。続いてこの漫画はおしゃれなキャラクターが大活躍、スタイリッシュな描写が多く読者から人気だ。主人公は幽霊を裁く刀を持っているぞ!」
「なるほど、ではとりあえず輝崎さんが異世界で使った『ドラゴンボーシ』から見てみましょう。」
「おお~っと残念!読ませてあげたい、買わせてあげたいのに在庫がないな~!あっそうだそんなに読みたいなら輝崎に貸してもらえばいいじゃないか?」
ものすごく棒読みで答えた女神様。
この女神様、絶対嘘ついてる、さっき見せてきたの1巻だし。しかし店員としてその回答はどうなのだろう…
「あ、そうだ。彩月の感想も聞きたいから今度来る木曜までに借りて1巻だけでも読んで来てね~。できなかったら鈴木の刑だから。」
鈴木の刑とは何だろう。鈴木さんが罰を受けるなら全然かまわないむしろOKなのだが、それ以外の可能性もある。絶対に嫌だ。私はため息をつき渋々女神様の要求つまり『私が輝崎さんからドラゴンボーシを借りる』ことを受け入れた。そして私はお店を去った。だけどいいアイデアを得た。この方法なら明日の放課後の安全得られ尚且つお昼の時の質問を難聴関係なく聞き出せる。
翌日 水曜日
昼休みになり私は覚悟した。輝崎さんの席の方へ行くと周りがざわつき始めた気がする。まあ私がドキドキしているからそう感じるだけで気のせいだろう。
「き、輝崎さん!わ、私に少年漫画を貸してください!」
「お、おい太陽どういうことだおい。何であの暗黒姫に話しかけられてんだよ。お前は裏切らないと思ってたのに抜け駆けか、おい。」
浅野さんが何か輝崎さんに小さな声で何か言ってるが聞こえなかった。
「浅野うるさい。え~っと…」
輝崎さんは浅野さんを黙らせた後周りを見渡した。その後私の手首あたりを握り私を引っ張って教室から抜け出した。
「ちょ、太陽。俺またぼっちなの~…」
一人取り残された浅野のもとに女子クラスメイト達が集う。なんか皆興味津々な顔をしている。
「浅野君!き、輝崎君って暗城さんと付き合ってるの?私さ月曜日夜21時くらいにさ二人でいるところ見ちゃったんだよ~。」
「え」
浅野は2人が付き合ってる付き合ってないかなんてわからないだがコミックを買いに行くと言ったくせにクラスの女子と遅い時間に二人でいたという事実が浅野を絶望させた。
私と輝崎さんはまた屋上に来ていた。私たちが去った後教室が少し騒がしかったが何があったのだろう。
「ご、ごめんいきなり走って連れてきちゃって。」
「い、いえそもそもこっちが輝崎さんの都合も考えず話しかけてしまったのが悪かったので…」
「いや、別にこっちの都合はよかったんだけどまさか暗城さんに教室で話しかけられると思わなかったからビックリして。」
「そ、そうでしたか。」
「あ、それで、え~っと漫画貸してほしいんだっけ?」
「は、はい。その代わりとして昨日言っていたラノベを買いに行くのではなく私が輝崎さんに貸します。そしてそれがコレです!『あのワンダフルな魔界に宿泊を!』通称『あのワン』です。とりあえずお試しとして1巻。異世界系でしたら1番のオススメです。」
「へぇ~。ちょ、ちょっと待ってて!」
輝崎さんは持ってきていたカバンをあさり1冊の本を取り出した。
「『ドラゴンボーシ』の第1巻。どうして今日持ってきているのですか!?」
「いや~、なんか俺だけオススメされるのもどうなのかな~と思ってさ。もし良かったらだけどオススメしたいのはもっとあるけどコレは少年漫画の一般常識のテキストみたいなやつだから。」
「なるほど、そういうことでしたか。ぜひ読ませていただきます。」
アニメショップ『アニメイゾ』
昼食の時間ということもあり客がいなかったので店員である女神ティエラと鈴木小太郎は女神の魔法で異世界の様子を見ていた。
「思ったより早いな…。幹部であるスズキを失った魔王軍は1週間くらいは体制が崩れると思ったんだが。まさかたった2日で対応してくるとはな。お前どんだけ価値のない奴だったんだよ。」
ため息をつき女神ティエラは言った。
「う、うるさいなー。魔王軍はこの店と違って人員は有り余っているんだ。そうなったっておかしくはない。」
相手が女神であることを忘れてしまったかのような言葉遣い。
「はいはいわかったわかった。で?彼らはあとどれくらいで始まりの村『オープン』に着くと思う?」
「今は団体で向かってきているから3日はかかるな。でも奴が単体で動けば明日には着く。このままではオープンがまた襲われてしまうかもな。」
「どの口が言う…。まったくなんて対応の早さだ、タナカ。」