ライトノベルヲタは少年漫画がわからない。②
「ということで鈴木が戻ってきたので店の運営については心配するな!」
私達は話が終わり店の外に出ていた。
「少年、彩月を家まで送ってくれるかい。」
「は、はい。」輝崎さんは返事をした。
私は女神様の近くに行った。
「ちょ、女神様なんでそんなこと輝崎さんに頼むんですか!?1人で帰れますよ私!それにまだそんな危ない時間ではありません21時ですよ!」と輝崎さんに聞こえないようにひそひそと小さな声で女神様に言った。今は輝崎さんと目を合わせることさえ恥ずかしくてできないのに家まで送ってもらうなんてできない。すると女神様は小声で答えてくれた。
「この帰り道で彩月に何かあったら、私は責任を感じてしまう。でも私はさっき言った通り急に店を閉めたことの弁明とこれからの対策を至急考えたい。そうなると君を送るのは鈴木か少年になるがどっちがいい?」意地の悪い笑顔をしている女神様にちょっと腹が立った。
「わかりました。では輝崎さんにお願いします。」
私はちょっと涙目になってうつむいて答えた。
「では木曜日の夕方17時頃、店に来てくれ!君たちの答えを聞きたい!」
「「はい!」」
二人で返事をし私たちはショップを後にした。
そのあと私は恥ずかしくて別れるまで一言も話せなかった。家に近づいてきたので私は口を開いた。
「も、もう大丈夫です。ここから近いので。あとは1人で大丈夫です。ありがとうございます。」
目を見てお礼を言えないとは何て失礼なのでしょう。そうわかっているのに恥ずかしくてできなかった。
「そうかじゃあここで」
そう答えた輝崎さん。
このままでは輝崎さんはもう帰ってしまう。言いたいことがもう一つあるそれを言いたい。
「き、輝崎さん!ま、また明日、学校で。」言えた。
「ああ!また明日!暗城さん!」
現在
午前の授業が終わりお昼休みになった。私は普段お弁当を作って持ってきている。そして今日は二つ持ってきている。輝崎さんへの昨日のお礼として作ったのだが私はそれをどうやって渡すか考えていなかった。
「よし太陽!学食行こうぜ~。」浅野さんの声が聞こえる。
「おう、行こうぜ~!」
輝崎さんが浅野さんの後をついていこうとする。ダメだここで私が誘わないと…
「今日は何にする太陽!俺はカレーだな!」
「お前昨日もカレー食ってたじゃ…」
私は輝崎さんの制服の裾を引っ張って話の途中で止めてしまった。
「来てください。」
聞こえたかどうかわからないくらいの小声で言ってしまった。そして私は輝崎さんの制服の裾を引っ張ったまま走って屋上に向かった。
「あれ?太陽どこ行っちゃったの~?」輝崎を取られてしまった浅野は悲しく学食に向かった。
私たちは屋上に着いた。そしてどこの教室からも見えないところに隠れた。
「ど、どうしたの暗城さん。」
私がいきなり連れ出したからおそらく輝崎さんは戸惑っていたのだろう。
「こ、これを!」
私は勇気を振り絞って弁当を渡した。輝崎さんは戸惑っている。
「お弁当です!食べてください!」
「え、食べていいの?なんで俺に?」
「昨日のお礼です!」
「暗城さん、お礼なんてよかったのに。でもせっかくだし、いただきます。」
輝崎さんはその場に座り壁によりかかり私のあげた弁当を食べ始めてくれた。
「う」
「どうしました、何か体に合わないものでも入ってましたか!?」
「う、うまい!!!!!」輝崎さんは嬉しそうに私の作った卵焼きや生姜焼きを食べてくれている。
「こんなうまいの食べたの久しぶりだ!学食もうまいけどその1000倍はうまいな!」
「さすがに1000倍はないでしょう。でもお口に合ってよかったです。では私の用事は以上ですので…」
「食べていかないの?一緒に食べるのかと思った。」
「私はこの学校ではよくない噂も立っているみたいなので一緒に食べない方がいいと思いますよ。」
輝崎さんが何か言いたげな顔をしている。
ぐぅ~
タイミングがいいのか悪いのか私のおなかが食べ物をよこせと叫んでしまった。
「お腹すいてるんじゃん。一緒に食べようよ。話したいこともあるし。」
「わ、わかりました。私も話したいことがあったので。」
『俺がいる!俺は君とこの異世界で冒険したいでもそれと同じくらい君と一緒に学校生活を送りたいと思っている!』この一言について聞きたいことがある。思い出すだけでも恥ずかしいけど…
「あんなこと言っていたのに何で、学校で話しかけてくれなかったのですか。」
また聞こえるかどうかわからない小声で言ってしまった。
「ん?なんか言った?」
食べるのに集中して聞こえていなかったのだろう。
「ここで難聴とか、ラノベ主人公ですか…」
「へぇ~ライトノベル主人公って難聴なんだ。まあ、話は後にして暗城さんもお昼食べようぜ!」
「そういうところホントにラノベ主人公って感じです。」
私はとりあえずおとなしくお昼ごはんを食べることにした。
「いや~、美味かった!ごちそうさま!ありがとう!」両手を合わせ礼儀正しく輝崎さんは言った。
「お粗末様です。」
「んで、話なんだけどさ、暗城あんじょうさんが良ければ異世界系?のライトノベルのオススメ教えてほしいんだけど。」
「大っ歓迎です!ど、どうしましょう!何をオススメしましょう!どういうやつがいいですか?シリアスですか?コメディですか?」
輝崎さんがキョトンとしている。
「はっ!ごめんなさい!こんな誰かにラノベをオススメする機会は初めてだったなので!返答は明日でもいいでしょうか?」
「あ、じゃあ明日放課後一緒に本屋に行くってことでいい?」
「へ!?」
昼休みが終わり、午後の授業になった。だけど私は午後の授業に集中なんてできなかった。なぜなら明日の放課後に輝崎さんと本屋に行くことになっていたから。しょ、正直今の私にはハードルが高すぎる。何とか対策をしないと。急な発言で女の子を困惑させるのは少年漫画ではあるあるなのでしょうか…。
そして授業が終わり、下校の時間。
「太陽~!帰ろうぜ~!お前昼はよくもやってくれたな!帰りにジュースおごりな!」
浅野さんの声が聞こえた。彼みたいに何も考えずいれたらいいのに。
「おごりたくねーから1人で帰るわ~。」
「ごめんよー太陽ちゃん!おごらなくていいから一緒に帰ってくれ~。」
そんなやり取りをし輝崎さんは教室から出てしまった。
やはりここまでされると気になってしまう。あんなことを言っておいて何で自分から話しかけて一緒に学校生活を送ってくれないのだろうか。こんな感じで女の子を放っておくのも少年漫画あるあるなのでしょうか。やはり私は少年漫画を学ぶ必要があると思いあそこへ向かった。