ライトノベルヲタは少年漫画がわからない。
第一章です。
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私は少年漫画を読まない。
別に嫌いなわけではないただ単純に今まで縁がなかっただけ。でも今は違う。昨日あんな事を言われてしまったから。『王道少年漫画では何があろうと最後には絶対にヒロインを助けるんだ!』、『俺がいる!俺は君とこの異世界で冒険したいでもそれと同じくらい君と一緒に学校生活を送りたいと思っている!』輝崎さんに言われたことを昨晩忘れることはできなかった。少年漫画ではこんなことを平然と言ってしまうのだろうか。
学校に着いた。私のクラスの教室の席は横にも縦にも6列ずつある。私の席は窓側で後ろから二番目のザ・ラノベ主人公の席。
「おう!太陽!昨日はどうだったよ!?」
茶髪の男子クラスメイトがそう言ってるのを聞いた。
輝崎さんが登校してきたので私は極力目を合わせないように教卓の方を向いた。ん?昨日?輝崎さんまさか昨日のことを言ったんですか!と思わず声に出そうになってしまった。そして驚きのあまり振り向いてしまった。そして輝崎さんと目が合ってしまった。輝崎さんはすぐに茶髪の男子クラスメイトの方を向いた。
「あ、浅野。よ、よう。俺昨日お前になんか言ったっけ?」
茶髪の男子クラスメイトは浅野さんというらしい。
「は?お前特典付きのコミックス買いに行くって言ってたじゃねーか!」
「あ、ああそれのことか実はまだ中身見てなくて…」
「は?お前マジでどうしたんだよ…。お前はテスト期間だろうと新刊を買ってその日に読むレベルの奴だろ。そのお前がまだ中身を見てないだって早退するか?病院行くか?」
そういえばそうだった。もともと私も輝崎さんもあのお店に買い物に行ったのだった。
そしてもちろん私も昨日買ったラノベを読めていない。
昨日私たちは輝崎さんがスズキを倒した後、すぐに異世界を出た。ドアを抜け倉庫に着くと女神様が待っていた。
「上出来だったぞ、少年!」
「ああ、ビームの女神様が教えてくれたおかげで『ペガサスボーズ』の主人公の戦闘民族の力を引き出せたよ!」嬉しそうに輝崎さんが答えた。
「ビームの女神って呼ぶな。私はビームは使うがビームをつかさどる神とかじゃないからな。」
「そういえばまだちゃんとお礼を言ってませんでした。助けてくれてありがとうございます。」私は輝崎さんの目を見てお礼をした。しかし輝崎さんに言われたことを思い出し恥ずかしくてすぐに目をそらしてしまった。
「い、言っただろ!王道少年漫画では何があろうと最後には絶対にヒロインを助ける!俺は少年漫画ヲタクとしていや人として当然のことをしただけだ!」顔を赤くしながら答えてくれた。
「しかしどうやって能力を使うことができたのですか?」
「イメージが必要なんだよ。この際だ、私が知ってるこの扉の能力付与についてすべて教えておこう。この扉の能力付与はわからないことがたくさんあるけど5つだけわかっていることがあるんだ。」
「5つもわかっているんですね。」私は関心したけど何か引っかかるものがあった気がする。
「いや、女神様、このドア自分で作ったんですよね?それで5つですか?」
あ、それだ私が引っかかってたもの。でも私だったら高貴な女神様にそんなこと言えない。
「うるさいぞ、少年。ビームで風穴開けるぞ。逃げてきたんだ、慌てていたんだ、だから焦って魔法色々混ぜて使っちゃったんだしょうがないだろ。」
「それじゃあ気を取り直して説明する。1つ目は最初にも話した通り一緒に通り抜けた本に出てくるキャラの能力を1つを得られる。2つ目は通過者がうまく想像できればできるほど能力の質が上がる。だから想像ができないもしくはしていなければ能力は使えない。3つ目は少年には話したが異世界で死んだこちら側の世界の者は生きた姿で強制送還され二度と異世界に入れなくなる。4つ目これは先ほど少年は身をもって体験したと思うが帰ってくるときに使った扉はセーブポイントになる。5つ目は少年にも初めて話すが一度利用した能力とそれに類似する能力は一定期間得られなくなる。なぜかはわからないがな。」
「そうでしたか。輝崎さんだけ体験できてズルいです!明日また来て今度は私も能力使います!」輝崎さんと目を合わせることができなかったので私は女神様の方を見て言った。
「ああ~、そのことなんだが…」
「何でしょう。」
「木曜日まで異世界への立ち入りは禁止とする!」
「な、何でですか!」
「今回の件で改めて考えたいことがあってな。それと君たちにも改めて考え直してほしい。このまま異世界で戦ってくれるかどうか。それと…」
「それと?何ですか?」
「今日急に店を閉めたことにより店のHuittarが新刊を買えなかった者たちからハチの巣にされていてな、本社にもばれたので弁明と今後の対策をしないといけない。」
「う、うわ~。そういえば今女神様以外の店員さんはいないのですか?」
「彩月には話してなかったな。」
私はスズキがこの店の店員だったことを聞かされた。そしてスズキ以外にもこの店の店員は魔王軍幹部として異世界にいることがわかった。
「新しく店員を雇おうとは思わなかったのですか?」
「私は店長じゃないし他の店員が失踪したことは本社に話をしていないからな。勝手に人を雇うことはできなかった。」
「大変なんじゃないですか?」
「まあ、大変だったが私は君たちと違ってこっちの世界でも色んな技を使えるから何とかやってこれたよ。1日の終わりに自分に回復魔法をやり本社の人間が店の巡回に来たときは私を店長に見えるように幻術を使ったり。それだけじゃない私は失踪した彼らのプライベートにも手を回す必要があった。行方不明となってこの店に警察が来るのは厄介になりそうと思ったのでな。…だが君たちの努力により今後は違う。」
やたら説明した後女神様は倉庫の逆側の端っこを指さした。そこには男性がいてその男性の髪はおかっぱで顔は面長で出っ歯そして眼鏡をしていた。
「改めて紹介しとくか。少年が討伐したおかげで無事こちらの世界に帰還したわが店の店員、鈴木だ。」
「や、やあ。君たち。す、鈴木だよろしく。さ、さっきはすまなかったな。で、でもしょうがなかったんだよ他の奴らみんな魔王軍入っちゃってさ。1人でどうにかできるわけないだろ。」ちゃんと肌が肌色で人並みのサイズの鈴木がしゃべった。そしてこっちに握手を求めている。
「女神様、あいつにビーム撃ってもらえますか。むかつきます。」私は怒りを抑えきれずに言った。
「ああ、今のは私もムカついた撃とう。」
「ひ、ひぃ!!お、おいこの二人を止めてくれ!」怯えながら鈴木は輝崎さんに助けを求めた。
「女神様、こいつにビーム打つときは俺がやった必殺技みたいに打った方がいいですよ。トラウマになってるだろうし。」追い打ちをかけた輝崎さん、最高です。
「ひぃ!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!!」鈴木はついに頭を下げた。