少年漫画ヲタは異世界がわからない。②
「君たち!異世界に興味はないか?」女性店員が訳のわからないことを言った。
「あります!」暗城さんはまた即答した。
暗城さんはいきなり叫ぶ店員を不審だとは思わないのだろうか。
「よしついて来なさい!」
「はい!」暗城さんは即答し店の裏に向かう店員さんについていく。
「ちょ、ちょっと暗城さん!」
なんだかよくわからないし怪しいけど『君たち』と言われた手前、暗城さんだけ行かせるわけにはいかないのでついていくことにした。
「君たちが来るのを待ってたよ~」
女性店員はそう言って先に進む。
「は?待ってた?」思わずため口で返してしまった。暗城さんも首をかしげて不思議そうにしている。
「少年、先月に王道少年漫画を40冊ほど大人買いをしただろ。あのシリーズは古本屋で半額くらいで全巻買えるのに今さら新品で全巻ではなく数冊足りないのに新品で買う。少年はかなりの少年漫画ヲタクだろう。」
「…はい。新品で買って出版社や作者にお金を献上してこそヲタクだと思っています。」
暗城さんの手前、恥ずかしくて少しいうのを戸惑ったが言った。
暗城さんはどういう反応をしているのだろう。暗城さんは俺より前を歩いているから顔が見えない。
「少女よ、君もその気持ちがわかるのだろう。1週間前ラノベを20冊程大人買いしていったからな。君のも古本屋では格安で買えるだろうに。」
「当然です。」またまた即答した暗城さん。共感してもらえてほっとした。
女性店員が関係者以外立ち入り禁止と書いてあるドアを開けて入っていく。手招きしてくる。入ってもいいということだろう。躊躇なく進む暗城さんについていく。入った先は倉庫だった。俺が入ってから女性店員さんは鍵をかける。女性店員さんが部屋の明かりをつけるとそこには大量の在庫と端っこの方に俺たちが入ってきた方とは逆方向に繋がるもう一つのドアがあった。そして女性店員は、俺たちの前で仁王立ちして話し始める。
「アレが異世界への扉だ。」
右手の人差し指で倉庫内の端っこのドアを指し示す。言われてから暗城さんは端っこのドアの方へ歩き始める。
「おい待て~。説明を聞け~。」
そう言って女性店員さんは右手で暗城さんの後ろ側の襟を掴み暗城さんを止めた。そうやって止めた後パイプ椅子を用意して座らしてくれた。
「まずは自己紹介から始めるか私は女神ティエラ。よろしく!」
「は?」
この人大丈夫かな、マジでやばい人だと思った。
「女神様っ!!!」
暗城さんは興奮して立ち上がった。か、可愛い。でもさすがに言わせてもらおう。
「そんないきなり女神とか言われて信じると思います?」
「1人は信じてるっぽいけど?」
暗城さんは息を荒立て興奮のあまり顔を真っ赤にしている。なんか色気を感じる。暗城さんには申し訳ないけどやはり怪しすぎる。
「暗城さん、やっぱりこの店員さん怪しいよ帰ろう!」
そう言って俺は立ち上がった。
「はあ、しょうがない。」
怪しい女性店員は右手の人差し指を俺の座っていた椅子に向ける。
ピュンッ!という音と共に怪しい女性店員の指先から青白い光線が俺の座っていた椅子の足を貫き破壊した。
「これで信じてもらえるかな?」
「ビ、ビームーーーーーー!!!!」
俺は目を輝かせてしまった。
「おお!さすが王道少年漫画大好きっ子、ビームには弱いみたいで助かったよ。」
「じゃあ信じてもらえたということで、説明を始める。」
俺たちは座り直し説明を聞くことにした。女性店員いやビームの女神様は話を始める。
「私は元々異世界で女神をやっていたんだ。だがその世界は魔王を名乗る者に侵攻されてしまった。そして私は助けを求めるためにこっちの世界に来たんだ!」
「助けます!」相変わらず即答する暗城さん。
そして俺には一つの疑問があったせいで内容があまり理解できないので聞いてみることにした。
「あの~すみません。」
「どうしたなんか質問か?」
「はい。イセカイって何ですか?」