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イチゴショートをどうぞ イチゴ駄洒落ショート作品集

作者: 菜月

150人突破コンテスト

「イチゴショートをどうぞ」


1.〇「ライダー変身!」


 お、あそこで怪人達が。

 早速変身だ。ライダー1号見参!


 ふっ、今日もなんとか町を守ったぞ。

 え、なにライダーの正体を見破ったたと!

 完璧な変身だったのに。

 なに、変身してもイチゴうだけに種が丸見え。。。


 と、言う訳でお後がよろしいようで。


2.〇『イチゴを狩りに』


 今日は待ちに待ったイチゴ狩りの日だ。村じゅう総出の大捕り物になるだろう。

 その丘はイチゴ達の繁殖地でこの時期になると各地からイチゴが集まってくるのだ。

 「族長!シトロンベリーが居ました」

 「おお、今年は来てくれたのか、シトロンベリーは暴れさせると炭酸が抜けて風味が薄れる!そっと捕まえるんだ!」

 「こっちの落とし穴にスットンベリーが!」

 いつもあいつは落とし穴にスットンと落ちるから楽だな。

 「ストーンベリーか゜!」

 「そいつはそこにある紙袋を被せると大人しく成るっ!!」

 うむむむ、今年は当たり年なのだろうか。いつもより近郷近在のイチゴが来ているようだ」

 その時、ひときわ大きな声が上がった。「「「「おおーーっっ!!!」」」」

 「ストロングベリーだぁあぁっっっ!!!」

 今年一番の大物だ。力自慢達がみんなで抑え込んでやっと収穫だ。

 しかし、今年は本当にイチゴが多い。近郷一縁の全てのイチゴが。

 そうか、きっとこれがイチゴいちエん、だ。


3.〇「イチゴの呪い」


 都内に幾つかある救急救命所。今日は何故か重体患者が多く運び込まれる。

 そんな時、その噂を聞いた。

 「スローベリー?」なんだそりゃ。

 何でもそれを使った人は時間が遅くなり、老化も遅くなるとか。

 それを今、使えれば。重体患者の延命にも繋がるのに。

 しかし、話を聞くとそんなことが出来るのはイチゴを起点とした呪術によって時間に干渉するらしい。

 呪術は物の名前を支配して行われる。ス◎ローベリーのトを犠牲にこの呪術が。。。

 もしかして、そのイチゴはここら都内で作られているのでは。

 “と”無いのストローベリーの呪いで作られているなら重症患者はもっと増えるぞ!


 都内で呪い(鈍い)を使ったんだ。重体(渋滞)は、必至だろう。


 お後がよろしいようで。


4.〇「イチゴの誓い」


人口爆発により世界的に食糧危機が叫ばれ、主食と副食などの主要食糧以外は厳重な統制がかけられた。

 しかし、どんな所にも闇はある。こうして統制を逃れた嗜好品が取引される場所もあるのだ。

 「合言葉は?」

 「十五の誓い!」

 そう、今日はあの幻のイチゴが供出されるらしい。そのイチゴを暗喩する15が今日のキーワードになったらしい。場所もその時で変わるがこのキーワードの暗喩する地階が選ばれたそうだ。

 ここを見つける迄も紆余曲折だ。何しろ密売組織そのものさえ謎の存在だ。

 なんでもこの手の禁制品は一部の富裕層が秘密に栽培したものを横流しした、とか盗んだとか、噂そのものさえマユツバのものだ。


 な、なんだこれは!イチゴではないじゃないか! 何、これは(がん・かり)のイチゴ、グーズベリーだって???

 何、仮(かり-雁)のイチゴだからイチゴに近いだろうって????

馬鹿野郎っっっ!

やっぱり密売組織なんて社会のガン(雁)だ!


5.〇「イチゴの神様」

 ああーーっっっ、もう出ないっっっっ!!!!

 今回の課題は”イチゴ”だった。

 取り敢えず小ネタを書いてるうちに3つも書いたので調子に乗って「イチゴショート 目指せ1ホール(8個)」とか言ってしまったのが運の尽き。4つも書いたらさすがに詰まってしまった。

 いくら下らない駄洒落ネタとは言え、イチゴだけに絡んでオチを考え続けるっつうのはもう限界!

 今日はもう山盛りのイチゴを見ながら食べてみたり切ってみたり、触って舐めて、、、。

 このネタをこう切り込んで、とか考えを巡らせても何も出ない。

 思わず神頼みもしたくなるよ。


 と、そこに「私がイチゴの神様である」と。

 イチゴの種の部分がすべて小さな目である、ちょっと見”もうこれ妖怪じゃない?”っていうイチゴトラウマになりそうなヤツだが不思議と怖くない。これも神様パワーだろうか、とか考えながら”これ、きっとヤバイ”と思わず「私は仏教徒ですので神様はご勘弁願います」と逃走しようとした。

 そこに「イチゴの神様、イチゴッドと呼ぶが良い」と。

 いくら私がいい加減だとは言え、そんな日本語と英語が混じったような。。。あ、思わず突っ込んでしまった。

 「お主がイチゴを思い続けているのに感心し、願いを叶えてしんぜる。但し我はイチゴッドだからイチゴ限定である。甘王だろうが栃乙女だろうが、、、。」

 「今、困ってるのはイチゴのギャグなのでそちらで」と応えると、イチゴッドは全ての目をあちこちに彷徨わせ始めた。

 「農林イチゴう、の。」

 「そのネタやった!しかも農林1号はジャガイモっ!」

 「イチゴが呪いを」

 「それもヤッた!」

 「ある日、風呂場に行ってみるとイチゴが勝手にシャワーを浴びて、そのうちイチゴが人を襲いだしてジュースになっても人を。最後には巨大なイチゴが人を」

 「・・・・・・・・・・」

 「は、はい。これは殺人トマトのパクリですね。いけませんね・・・・。」

 思ったよりイチゴッドはダメダメで創作は下手だった。

 は、もしかしてイチゴだからヘタは付き物、と。。。。

 ふと考え込んで、気が付いたらイチゴは供え物にしていたわけでも無いのにイチゴのヘタだけを残して消えていた。

 私は思わず「神様ならもっとマトモなネタを置いていけーーーっっっ!」と。

 私の声は空しく消えていった


6.〇「気になるイチゴ」


 このところ、すこしづつ妹の元気が無くなっていくようだ。

 なんとかせねば。ふさぎ込んで引きこもりな妹の口をやっと開かせると「田舎のおじいちゃんのイチゴが食べたい」と。

 でも、あの辺りにイチゴなんてあったかな。もう祖父もあの家も無い。

 どうする。。。久しぶりに行ってみるか。

 久しぶりの田舎は記憶のままだった。

 「ところでどんなイチゴだったの?」妹に聞くと。

 「木になるイチゴ!おじいちゃんがそう言って採ってきてくれたの。」

 は、そんなの聞いた事ないぞ。

 何かの木の実だろうか。

 心当たりもなく、私は近くに見えた老婆に聞いて見ることにした。

 「ああ、金重さんちの子とちごうかのお。ああ、木になるイチゴ?そりゃヤマイチゴだろうさ」

 何でも山に良く生えてるし、木苺って言うので家のじいさんならそんな風に言って笑うだろうと。

 妹と老婆に聞いた山の開けた藪を探してみると、小さいトゲのついた草に小さくて赤い実が。

 二人で採って老婆のところで僕らの話をしながら、お礼がてら一緒に食べた。

 妹の久しぶりの笑顔が心に響いた。

 「こんな所で暮らしたら、妹の病気も良くなるのかなぁ」

 ふとつぶやくと、老婆が「それは気鬱の病とちごうかのぉ。ヤマイとチゴうなら、木苺はきにならないから丈夫になるだろうさ」


7.〇 「〇チゴの神様」


 ああ、もうホンッとナニも出ないゾ。イチゴッドでもなんでも神にすがりたくなってきた。ホント!

すると、「私がオチの神様である。オチゴッドと呼ぶが良い」

 なんか悪い予感がしてきた。

 「早速、〇チを召喚してやろう!」

 オチの神様だからきっといいオチ、、、、いや、今「〇チ」とか。。。

 「蜂の神様、ハチゴッドである」

 「犬の神様、ポチゴッド」である」

 「土地の神様、トチゴッド」、「町の神様、マチゴッド」、「モチの神様、モチゴッド」と、、、。。。

 か、神様なんて頼らねば良かった。まるで、悪夢のようだ。こんな事がある訳は無い! ま、まさか夢オチに。。。

 「越後の印籠を持った、エチゴッド!!」

 つい、神威なのかノリなのか平伏して、ハッと「水戸黄門かいっ!!!!」あ、突っ込んでしまった。。。

 ふと見ると周りにあれほど居た神々は消えていた。ほ、ホントに夢オチを?

この手のショートショートの禁断のオチが夢オチと言われるが。。。。

 気を付けてもう一度周りをうかがうとテーブルの上にさっきまで無かったイチゴのパックが。 不思議に思い手に取ってみると、”フランス産新鮮イチゴ”。

 神様なんていらないって言ったから仏産(ほとけさん)だってかよっ! 私の叫びはまたしても空しく響いた。


8.〇 「イチゴショートをどうぞ」


 始まりはイチゴだった。

 「ねぇ、一緒にラズベリーパイを作ってくれない?」

 僕は舞い上がっていた。

 僕らは工学部の学生で彼女は工学部の紅一点。彼女は美人でその発想でも群を抜いてい居る高嶺の華なのだ。

僕らは密かに不可侵協定を暗黙裡としていたが、それはそれとしてそーーっと自己アピールはしていた。

 僕は自炊の傍らに覚えた手作りのクッキーなどを持ってお茶の時間に差し入れしていたが、そんなお茶会の折りに彼女がためらいながら切り出してきたのだ。

 それはそうとラズベリーパイって知っているだろうか。

 昔ならワンボードマイコンと言ったところだろう小さなマシンで、なんと専用OSが乗る極小パソコンにもなるし、ハンダで回路をつけて専用マシンにもなる優れものだ。僕らの学部でもこれで器械の調整したり、デジタルスケールにしたり、人気のアイテムだ。


 僕はこの学科では機械いじりだけが得意な凡人だが、彼女は発想は豊かでもそっちは苦手なので僕に声をかけてくれたのだろう。

 翌日は丁度休み。彼女との待ち合わせ場所から彼女に連れられて赴くと、なんと彼女の自宅。テンションはますます上がって行った。

 そして通されたのは何故か台所だった。

 「これなのよ。このレシピ通りに作ってみたんだけど、今一つで、君ならよくお菓子とかも作って持ってきてくれたし、何かヒントがあるかもと」

 と、テーブルの上のラズベリーパイのショートケーキを見せてくれた。

 動揺しながらも、味をみると何かが足りないような、多いような。

 材料を見ると、あれ、これ普通のラズベリーと違う。ちょっと普通のより小さくて食べてみると甘さの質が違う。

 「あ、それね。おばあちゃんが山から持ってきて庭に植えたラズベリーなの。いっぱい生ってたからそれで作ってみたかったの」

 そうか、確かに僕も覚えのある味だ。これはラズベリーと同じ木苺だけど、自生種のヤマイチゴだ。味があちらのベリーより柔らかで甘い分、そのままのパイ生地と合わなかったんだ。

 僕がそう教えて解決策を考えてもう一度彼女と一緒にパイを焼く。

 「あ、、、、。」彼女はいつものドジをしたのかパイをひっくり返してしまった。

 慌てる彼女に「そのままで使おうよ。同じような失敗をしたパイをタルトタタンって言うんだけど、そっちも美味しいんだ。彼女にパイ生地を足して貰って、、、。

 そうして焼きあがったパイを二人で食べると「しょ、しょっぱいーーっ」どうもさっき慌てた時に彼女は足したパイ生地に塩を多く入れたようだ。。。。。

 慌てる彼女に「これはこれでうまく使えるよ」そのパイを荒く砕いて新たに作ったタルトタタンに少しづつ乗せて。

 これが丁度良い塩味のディップになってるし、一度焼いた物だから少し焦げ目もついたのがヤマイチゴの風味によく合ったのだ「美味しいー」

 

 え、それからどうなったかって?

 ラズパイの機械と間違ったラズベリーパイは僕たち二人に機会を与えてくれた。

 しょっぱい失敗のタルトはひっくり返して僕に逆点ホームランをくれた。

 彼女の失敗をフォローし続けたのが良かったのだろう。

 そして僕は二人の記念日にはこうしてパイを焼く。

 パイの生地を重ねるように、二人の幸せを重ねるんだ。






~~~~~~~~~~~~


イチゴ駄洒落小咄として一つにまとめました。

 


5/18 「気になるイチゴ」と作品補足をを追加しました。

5/19 「〇チゴの神様」 を追加しました。

5/20  「イチゴショートをどうぞ」 を追加しました。


作品補足

 ライダー変身 イチゴう-ネタはすぐ考えたのですが話としてどうしようと考えているうちにイチゴは種が外から見える。変身のタネが、と。それと公開してからだいぶ経つのに誰も突っ込まないけど、この一号、根本的な問題が。作品の中で一度も仮面をしていると言ってない! 誰も馬鹿々々しくて突っ込まなかったダケかも。

 「いちごを狩りに」 栃乙女とか甘王とかイチゴ尽くしを考えてたら何故かこう。。。

 「イチゴの呪い」 呪い-鈍いのネタからここまで盛り込んだ。イチゴシリーズをなんとなく続けることになって言ってしまった自分を呪いたい。ネタが思いつかなくなってきた頃だ。

「イチゴの誓い」 15の誓いってのは戦時中の言葉のゲン担ぎで 死を乗り越え-5 苦も乗り越える-10 足して15-銃後だから戦地に行く人と後背を守る心がけ、みたいなもの。知らない人が多そうだからこういうネタにしました。ついでに言うとこのグーズベリーだが、家の庭に植えてある。夏になると小さな丸く赤い実になる。グズベリとかグスベリと覚えていたがグーズが鳥だと知ってグーズベリーだったのだ、と。ただ、このオチは私が勘違いでグースを鴨だと思ってて「今回はカモにされた」みたいなだったが、ふとワイルドグースが灰色ガンだ、と思って調べたら雁だったのでこのオチになりました。赤くなってもそこそこ甘いのですが、私専用のグーズベリーは赤くなる寸前の青い実を塩漬けに。私の夏の味覚なのです。酸っぱくてしょっぱくて家では他に誰も食べないのです。

「イチゴの神様」 イチゴッドのネーミングででっち上げたという。神様がついたとしてもこんなもん。

「気になるイチゴ」 もう苦し紛れ!もう出ないゾ。

「〇チゴの神様」 出ない、と言いながら考えてたらモチ教のワタリを見て、モチゴッドが出てしまってそこからここまでに。こんな風になったのはきっとワタリが悪い。そうに違いない。作品の流れ自体は横田順也氏の「銀河パトロール報告」でポチゴッド、モチゴッド、蜂ゴッドは似たのが出てきます。今年早くに亡くなった氏に敬意を表し、使いました。


 そしてラストはこのイチゴネタ作品集と同じタイトルです。

 この手のセオリーとして表題作を書こうと思ったのは4作目ころ。

 6作目を書いた時にはネタは出来てたけどオチが出来なかった。

 必至に頭がイチゴでいっぱいになるくらい考えたら、ちょうどオチが思い付き、しかもラストに相応しいそこそこしっとりした作品になりました。皆さんはどれが気に入りましたか。

 楽しんで下さるとうれしいです。


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