世界最高の探偵が探偵である事を未だ誰も知らない。
不気味な探偵をイメージして完全にノリと勢いで書きました。お目汚し失礼します!!
世界最高の探偵とは誰か?
かの有名なシャーロック・ホームズ?エルキュール・ポアロ?それとも、オーギュスト デュパン?コ○ンくん?金○一さん?
確かに彼等は偉大な名探偵だ。ありとあらゆる事件にその明晰な頭脳を持って挑み、奇想天外な犯人たちとの華麗な頭脳戦を行う。
だが、彼等は最高の探偵ではない。最強の頭脳を持っていても決して最高ではないのだと私は明言する。
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まずは、それを証明する為に私について語ろう。
今から10年ほど前、私は莫大な借金に苦しんでいた。
私は自らの快楽のために賭け事を行い、夜の街を練り歩いた。そして、借金を背負いとある計画を立てた。その計画は完璧だった。
計画を実行する事に置いて重要なのはタイミングだ。タイミングこそが私の神なのだ。
計画を実行する前夜の事だ、私は前祝と称して夜の街に向かった。明日には全ての問題が解決する。だから私は大金を払い最高の女を買った。
素晴らしい経験になるはずだった。行為の後、女の艶やかな唇が動き出した。
「あなた、人を殺そうとしているでしょう?」
突然にそんな事を言い出した。
「どう意味かな?」
「そのままの意味よ。貴方は人を殺そうとしている。決行するのは明日、と言うところかしら」
「本当に何を言っているのか分からない。悪いがもう時間なんだ帰るよ」
私は、急いで服を着て帰り支度を行う。先程まで美しかった少女が異常に気味悪く見えた。
「私は、そう言う事が分かるのよ。貴方は明日人を殺す。凶器は毒薬」
「うるさい!黙れ!!」
私はドアノブを強く引き、外に出ようとした。
「明日、お手伝いの人の目を盗んで犬用の薬と自分の親の薬を入れ替える。お手伝いは眼が悪いから自分の癖を頼りに薬を出す。
こんな事、あり得るはずがない。
父の定期検診は明日。薬の多少の違和感であれば、いつもの様に薬が入れ替わったと考え気づかずに飲み込む。死因はお手伝いさんの過失と考え、貴方は疑われる事がない」
なぜ、彼女は知っている。行為中と行為前に少し話した記憶はある。だが、いくら自分が短絡的と言えど計画の事を話す訳がない。
私は、戦慄し再び女の顔をみた。女は唇を舐めてゆっくりと口を開いた。
「言ったじゃない。私はそう言う事が分かると」
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翌日、人が死ぬニュースは一つたりとも流れなかった。これで、理解頂けただろうか。探偵にとって最高の結果とは事件すら起こさず解決してしまう事だ。彼女の名前は誰も知らない。なぜなら彼女が解決すべき事件は起こらないから。
「あなた、人を殺そうとしてるでしょう?私には、それが分かるの」