5ー4 ハイキャンプ
「そうだよな!やっぱり優樹だよな!」
初見で申し訳ないがこいつは話が通じないタイプなのか?
ここは「そっかぁ人違いかぁ。」って一旦飲み込むところだろ。
というかこっちは顔が分からないのに「優樹だよな!」とか言われてもはい、そうです。とは言わないわ。
「人違いだと思うんでそのまま回れ右してギルドにお帰りください。」
正直めんどくさい。なんかガツガツ言っても怒られない。っていう謎の自信が俺を取り巻いている。
「と言うかさ、そろそろその覆面取らないとこの攻防ずっと続くの?私すごい嫌。話が進まないのわかっててやってるでしょ。ちょっと楽しんでるんでしょ。この雰囲気を。」
めっちゃ犬王女に言われてるやん。そしてそんな言われてる方は…めっちゃニヤニヤしてる。気持ちわる!
「いやー、なんか嬉しくてね。こんな状況だからかな?」
嬉しいの?あ、マジな方の変態さんでしたか。馬鹿にされたりすると喜ぶ変態さんなんですね。
そんな風に思っていると覆面の剣士はその覆面に手をかけ、一気に脱いだ。
「久しぶり、優樹。」
まさかとは思った。
確かに先に死んでいったし、こっちの世界に居てもおかしくないとは思ってた。
あいつなら、いやお前なら居る気もしてた。
でもそれは単なる願いであり、儚く散る妄想でもある。
そう思ってた。
でも実際お前は俺の前にいる。
2年前、飛行機が墜落して死んだお前がいる。
俺のたった一人の親友でもあるお前が今また再び俺と同じ地を踏んでいる。
ちょっと逞しくなりやがって。
「ほんと久しぶりだな。…アルデバ。」
俺は感動や再会で涙を見せるような人間では無い。そう思ってたけどそうも行かないもんかもな。
「感動のところ悪いんだけどさ、オークが2匹こっちに向かって走って来てるよ。」
「そうだ、さっきは逃げ回ってたけど俺らも本来はオークくらいはソロで倒せるレベルなんだ。俺らの実力見極めてくれよ。そんでパーティに入れてくれよ。」
別に見極めなくてもパーティに入ってくれるなら拒まないんだけど…まぁアルデバの事だ、お前は昔から変な所で律儀でそういうの許せないもんな。
俺とエレボスは一歩後ろに下がり、2人に任せた。
犬王女はいつも通り鉄拳の構え。
アルデバは「「平行型剣法 突。」」の構え。
「「平行型剣法 突。」」はほぼ「「肩並行斬。」」と威力に差はないがそこは騎士により動きやすさを求めた結果だろう。
剣術士は基本的に剣と魔法を使うために盾の出番はない。常に片手は空いた状態じゃないといけない。もしくは剣に魔法を乗せて打ち込む場合は盾を持つ場合もあるようだ。しかし幾分動きに支障が出やすく、魔法を練るのに集中しきれない為持たない。
一方騎士は上半身を隠れる位の大きな盾を持ちながら剣術を発動させなきゃいけない。なんせ前衛であることがほとんどであり、魔法は使わない。どちらかといえば肉壁になる。
ならば大きな盾で身を守りつつ戦況によって突撃したり守りに集中したりする。
よって動きや技名称などが変えられている。
2人は同時に動き出しオークにそれぞれ技を打つ。
ズシン。
息の合った2人の攻撃は2匹のオークに襲い掛かり、2匹ともすごい血を辺りに撒きながら倒れた。
「綺麗な斬り口だな。こっちの打撃は…オークの腹をくっつけるほど。お前の知り合いすごいな。」
うん。俺もちょっと引くくらいの威力だもん。
「んで?どうなんだよ優樹。俺たちはお前らのパーティーに相応しいか?」
「ここで断ったらお前ら以外の適任が見つからないだろうな。」
犬王女とアルデバは緊張した顔で俺の答えを待っていたが俺の答えを聞き一気に表情がパァッと明るくなった。
「おう、よろしくな。ユウキ。改めてアルデバ・ランドロフィック。」
「私も。私はエリカ。あの大会では犬王女を名乗ってたわ。」
2人の名乗りにインドラとヒカリも降りてきた。
「私はヒカリ。去年のセルンド大会で2位だったヒカリ。」
「私はインドラ。元は天界に住んでいた神の1人。」
「俺は浮島優樹。なんか流れでパーティーのリーダーをさせられている。2人ともよろしく。」
こうしてパーティーに2人の追加があったユウキ一行だったのだ。
ステータス
浮島 優樹 Lv.1
能力 ??
技能 無し
剣技 肩並行斬→肩斬
ビクトリースラッシュ
スレイヤー
空断(未完成)
魔法 【初級】
ファイヤー
ウォーター
アース
【中級】
ゲイル
ライジング
コリエンテ
クエイク
【準中級】
フリーズ
龍化 ドラゴンブラスト
ドラゴンブレイカー