5ー2 ハイキャンプ
ハイオーク。
オークの中でも動きが機敏でただのオークを統率する力も持つ。
そんな厄介なハイオークが最近群れで行動し、巣を作っている。との事だ。
ちなみにオスしか生存して無く女性の敵というイメージが強いオークだがこの世界ではオスもメスもいる。
「あ、勿論キャンプだから自給自足したり見張りしたりもするからなかなかハードだぞ。」
おー。まじかー。徹夜が苦手の俺にはハードルが高い。テスト勉強で夜更かしをしようと意気込んでコーヒーやエナジードリンクに手を出したりするものの、夜の11時には寝てしまう優良児。
そんな俺が交代制で見張りなんて出来るものか。
「よし、オークもこの時間が活動時間だ。そろそろ行って出来ることはちゃっちゃと済ませるぞ。ユウキはすごい不安そうにしているが俺も近くにいるしなんとかなるだろう。」
確かに腕の立つエレボスが近くにいてくれるのは心強い。
俺たちはエレボスが受けてきたハイオークの巣を探しにギルドを出た。
「ここだな。」
「いや、まだギルド出たばっかじゃねぇか。え?この森なの?」
エレボスはあぁ。と答えた。
いや、セルンドの冒険者ニートすぎだろ。
俺はそんなことを思いながら森の奥深くに向かった。
「さて、出来ることは出来る時にやるのが一番だ。今のうちにテントを張るぞ。」
「それにしてもユウキはアクティブなイメージがないからテントなんて張れないと思ってた。」
そう。インドラとヒカリはこれでもかと言うくらい何も出来なかった。
テントの設営は俺1人でやった。
「おい、お前ら。気を抜いてないで準備しろ。早速お出ましだ。」
エレボスの一声で俺達は抜刀しオークに向かって剣を構えた。
フィーン。
俺はすぐに剣術の攻撃モーションに入る。
プギィ。
オークも俺に反応するように突撃してきた。
しかしそれも束の間。
俺の剣術が先にオークの首を吹き飛ばしていた。
それに続いてヒカリもオークの討伐に成功していた。
インドラはというと攻撃手段は皆無。援護魔法と妨害魔法しか使えないとの事なので後ろから攻撃力増加のバフをかけて貰っている。
((どんどん出てくるぞ。気を緩めんなよ。))
それにしてもオーク多いな。2人がかりじゃちょっと時間が掛かるか。
((ただ力量の分からないハイオーク用に龍化も取っておきたい。ここは単騎で頼む。))
「うーん、これ多すぎんな。まぁお前ら頑張れ。」
え、エレボス手伝ってくれないの?ってことはこれ相当厳しかったりする?
((今見えるだけでも…6体はいるな。相当厳しいだろうな。))
「仕方ない。インドラは安全マージンを取るために木の上に登っててくれ。ヒカリと俺で何とかする。ヒカリは出来るだけMPは温存しといてくれ。まだ見えてないハイオーク戦で余力を残しときたい。」
「 「了解!」 」
俺とヒカリは2人同時に突っ込む。
「私が攻めるからユウキサポートお願いしてもいい?最近活躍出来てないし。」
「そんな「私を止めないで!」みたいな目をされたらいいよって言うしかないよな。」
ヒカリはそんな目してないし。と言いながらストレッチしながら俺の前に立った。
それにしてもヒカリが強いってのは会った日に言ってたし、同じパーティだからそれなりに見ているが一対集団ってのは見たことないな。
ふー。
そんな風に思っていたのも束の間。ヒカリは勢いよく息を吐き、物凄い集中力でオーク達をスパスパと切り倒していく。勿論MP温存のため剣術は使っていなかった。
まるで踊っているのではと思うくらいオークの攻撃を躱し、次の一歩がでるときにはオークの頭が跳ねられていた。
ここまでスムーズだとなんか気持ちいいな。
しかしヒカリの死角からオークが1匹近づいて来た。
俺はすぐさま魔力を掌に集める。
急だった為少し雑だが魔法として発動するには申し分ないほどだった。
「「ゲイル。」」
「ナイスサポート。ユウキ。」
インドラが木の上から言ってきた。
というか1人で視界が広くなってるからそういう面でもサポートして欲しいんですけど。
「キリがないから一旦引いて体勢を立て直すぞ。」
エレボスが少し離れた木を差し俺たちは少し撤退した。
オーク達は視野が狭いからか木の上に登った俺達を見つけられずにいた。
「上から攻めれば何とか突破出来るかな?」
「やめとけ。こんだけ多いとこっちが先にMPが尽きて負ける。残念だがここは俺も出るしかないかな。」
エレボスはカッコつけて上着を脱いだ。
だがエレボスの着ていた上着はヒラヒラと舞い、1匹のオークの頭の上に乗っかった。
グワァァァ
「お前何してんの?馬鹿なの?ちょとカッコ付けたからってこういうことすると一気にダサいよ?」
エレボスはごめん。まじごめん。と言いながら剣を抜いた。
「よし。俺も行くかな。ヒカリとインドラはちょっと待っててくれ。」
俺は勢いよく木から降り、真下に手を向けた。
「「ゲイル。」」
真下に放った「「ゲイル。」」は木の下に群がっていたオーク達を一気に吹き飛ばした。
「エレボスは右翼側を頼む。俺は左翼側に行く。」
右翼側の方が数が多いがまだ戦闘をしていない腕利き冒険者エレボス様なら何とかなるだろう。
俺の意識はエレボスから正面にいる2匹のオークに切り替える。
「「クエイク。」」
からの。
「「ウォーター。」」
2匹のオークの足元に「「クエイク。」」を使い拘束し、簡単には解けないよう「「ウォーター。」」で水をかけ、拘束力を強化した。
((この前犬王女に簡単に解かれたからか。))
まさしくその通りだった。あんなにも簡単に解かれてしまうと何だかとても虚しかったので今回少しばかりだが強化させて貰った。
フィーン。
最近魔法の方が実戦での使用回数が増えていたので今回のハイキャンプは剣術多めで行く。
「「肩斬。」」
素早い「「肩斬。」」で掛け抜け、1匹目の首を跳ね飛ばし振り返る。
プギギ。
オークは「「咆哮。」」を足元に放ち、「「クエイク。」」を解いてしまった。
オークはそのまま斧を振りかぶり、「「スマッシュ。」」の体勢に入った。
俺は剣術が間に合わなかったのでそのまま剣で受け止めた。
(重たっ。腕捥げる。)
腕が捥げるわけにもいかないので、剣を斜めに傾け、オークの斧を滑らせ距離を取る。
オークの斧は地面に突き刺さるものの、すぐに抜き距離を詰めてくる。
「!?あ、アレ?」
オークを見たまま下がったので俺は石の壁にぶつかった。
((これだけ離れてれば何とかなるぞ。))
俺は片足を壁にかけ、剣術の攻撃モーションが始まった途端思いっきり壁を蹴った。
発動させた「「ビクトリースラッシュ。」」に回転を加え、オーク目掛けて突撃する。
オークは鈍い声を上げ、そのまま倒れた。
よく見てみるとオークの腹を貫通したようだ。恐ろしい。
((それよりエレボスを手伝いに行くぞ。))
あ、すっっかり忘れてた。今から行っても間に合う…ん?
エレボスに任せた右翼側を見てみるとその方向には大きな竜巻が発生し、何匹ものオークが宙を舞っていた。
俺は一応エレボスの元に駆け寄ってった。
すると血まみれのエレボスが立っていた。
「お前どうしたんだよ。そんな苦戦してたのか?そんな風には思えないほどの竜巻が起きてたけど。」
「ん?あぁ。この血か。これはただのオークの返り血だよ。気にすんな。」
いや、気にするも何も汚ねぇし臭えんだよな。
頼むから近くを歩かないで欲しいと心から思ったユウキであった。
ステータス
浮島 優樹 Lv.1
能力 ??
技能 無し
剣技 肩並行斬→肩斬
ビクトリースラッシュ
魔法【初級】
ファイヤー
ウォーター
アース
【中級】
ゲイル
ライジング
コリエンテ
クエイク
【準中級】
フリーズ
龍化 ドラゴンブラスト
ドラゴンブレイカー




