16-10カエラへ
エリカの強烈な「「鉄拳。」」により雪原の姫は吹っ飛ばされていた。
が、砂煙から立ち上がるのが見えた。
カラカラカラカラ
「「ウィンド。」」
サエカルが追撃の「「ウィンド。」」を打ったがひらりと躱し距離を詰めに来た。
「待て、説明は後でする。だからお前も今すぐ退避しろ。」
突然の事だった。雪原の姫の影から1人の少年が現れた。
「なにか来るとでも言いたそうね。わかったわ。貴方が言うならだいぶ分が悪い戦いになりそうなのね。」
「逃がすかよ!」
サエカルがすかさず「「鉄拳。」」の構えになる。
「でもそうね。貴方は凍ってなさい。「「氷の封印」」。」
そう言うと雪原の姫の手から冷気が出始め、パキパキと音を鳴らしながらサエカルは凍ってしまった。
「ちっ、もう来たか。」
「そう嫌がるなよ。闇の子鹿。」
その声の主はいつの間にか俺の横に居た。
スラッとした身体に金色に光り輝く1本の剣を腰に装備している。
茶髪に碧眼そして極一般人のような私服を着ている。
「姫!とりあえず逃げるぞ。奴だけは相手にしない方が…」
「遅いんだよなぁ。魔軍幹部のくせに。」
俺の横にいた青年は約5m先にいた影から現れた少年の前まで移動していた。
ヒュン
「危なかったわね。ナイスタイミングよ子鹿。それじゃあ皆さんさようなら。」
雪原の姫達は足元にある影の中に入り始めていた。
カラカラカラカラ
音の方を見ると完全に凍ってしまったサエカルの左手に装備されていたリングが勝手に周りだしていた。
カラカラカラカラ
カチッ
次の瞬間凍ったサエカルの左手から「「ライトニング。」」が放たれた。
「「ライトニング。」」は地面を走り、雪原の姫達が入り込んだ影へ向かった。
が、1歩間に合わず影は無くなった。
「逃げられたか。あの先は…魔王城か。」
「つーか貴方は何者?」
俺の素朴な疑問を他所にヒカリとエリカは目をギョッとさせて口を開いた。
「勇者様…。」
「えっ…。」




