俺じだ 16-1 いざカエラへ
「魔王様。ただいま戻りました。」
雪原の姫は魔王が座る椅子に向かって片膝をついた。
「お疲れ。今日は疲れをとって明日からまた仕事に励んでくれ。」
雪原の姫は魔王の部屋を後にした。体が重い。早く部屋に戻りたかった雪原の姫に最悪な客が来た。
「おやおや、そんなボロボロでどうしたんですか?他の冒険者よりも強かった貴方がそんなになるほど強い人間がいましたか?」
この少しデブは魔王様の側近のザナ。いつもいつも余計なことを言う割に自分では動かないので頭に来ている。だが、魔王様によると魔軍幹部の3人が同時に勝負をしてもザナの方が強いらしい。
「ザナ、何か用?今日は疲れたから部屋に戻りたいんだけど。」
「仕方ないですね。じゃあ次の仕事のことは明日にしますか。今度はだいぶ楽な仕事だと思いますよ。」
別に人間とさほど変わらない見た目だが中に秘めている魔力は人間離れしすぎている。
・・・
「では、次の仕事の話です。」
朝一番から嫌な奴の顔を拝むのは嫌なものだ。
青の服を着たザナは普段よりもテンションが高めである。緑色の目が、自分から外れ、横に移動した。
「ザナ殿、来ました。」
雪原の姫の横に立ったのは初めて見る顔だ。ガタイの良さから武術系の職についていた人間かと思った。
「来ましたか、元神ポセイドン。」
雪原の姫は耳を疑った。元神?たしかに神と言われ何も違和感のない佇まい。黒髪の白い目。神である象徴とも言われる腕の紋様。
「それで2人に仕事なんですが、雪原の姫。貴方にはカエラへ行って全員を凍らせて来なさい。そしてポセイドン。貴方はセルンドへ行って敵の殲滅をお願いします。」
確かセルンドには神が沢山いる。なのにポセイドンを送っていいのだろうか。いや、もしかしたら見覚えのある顔には攻撃しにくいのかもしれない。
「2人は同じ日、同じ時間で攻めてもらいます。」
ポセイドンは分かりましたと言ってすぐにどっかへ行ってしまった。
「ザナ。奴にどういう術を施したのですか?」
「フフフ。やはり貴方でも気になりますか。これですよ。」
奇妙な笑いをした後にキラリと輝くペンダント。しかしそのペンダントもまた嫌なオーラを放っている。
「これを奴の首にかけただけです。まぁ自分の意思で取ることもできませんし、そう簡単に壊れることをありません。呪いみたいなものですね。」
恐ろしい。そんな物が今、自分のことがあることに。雪原の姫は少しゾッとした。
「それでは頑張ってくださいね。」
ザナはそう言うと闇の中に消えてった。




