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美意識過剰  作者: 桜木 葉
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妨害者たち ─5─

 



 お風呂で温まった身体を更にお布団で包むと、ホンワカと心まであったかくなる。


 素敵な両親から命を授かったことに感謝すると同時に、無性に海原の声が聞きたくなった。


 一瞬だけ躊躇したが、私達は恋人同士だ。遠慮するような事ではない、と思い直す。


 ただ、『声が聞きたかった』という理由でも、立派に通用するだろう。


 一つだけ深く呼吸してから、発信ボタンを押した。










 1時間後。アタシはベッドから起き上がったまま、どんどん身体が冷えていくのも構わずに、ボーッと携帯を見つめていた。


「なんで? なんで出えへんの?」


 もう何回かけ直しただろうか。わからなくなるくらいに、何度も発信履歴から海原雅人の名前を押した。


 けれども、いくらかけても海原は出なかった。


「もう寝たんかな……?」


 まだ22時を過ぎたところだが、絶対ないとも言い切れない、と自分に言い聞かせて無理矢理納得することにした。


 が、表現しようのない切なさがモヤモヤと頭の中を支配する。初めての経験だった。


 枕に顔を押し付けて、「もぉーーー!」と叫んでみると、更に胸の辺りが苦しくなる。逆効果だったようだ。


 こういう場合、どうしたら良いのだろうか。ブサイク人生を歩んできたアタシには、いくら考えても答えは出せない事は分かっていた。


 凛に相談してみようか? 最近連絡もとってなかったし、いい機会だ。


 携帯を手に取り、凛に電話をかけようとしたその時、突然着信音が鳴り響いた。


 相手を確かめる間もなく、出ようと思ったわけではないが、通話ボタンを押してしまった。


 でも心の中では、「海原さんだ」と瞬時に思っていた。






 

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