妨害者たち ─4─
説明ベタなオトンの話を要約すると、こういう事だ。
会社の女子新入社員がオトンに一目惚れし、若さ故に暴走した。それは今に始まった事ではなく、女子新入社員は大体オトンに一目惚れし、それ以外でもオトンを好きになる人は沢山いる。最年長は62歳のオバサンだというから驚きだ。
その中には既婚者もおり、旦那が会社に乗り込んできた事も一度ではないらしい。殺傷事件や放火未遂事件。脅迫事件やストーカー行為。ありとあらゆる修羅場をくぐり抜け、今現在もなお、女性からのラブラブ攻撃を日々受け続けているという。
「ママ……心配じゃないん?」
分かりきっている事を聞いてしまったのは、あまりにもママが普通だから。こんな旦那を持っていても、いつも穏やかで優しいママ。アタシなら毎日心配で詮索ばかりしてしまいそうだ。
「仕方ないわよ。こんなに素敵な人と一緒になれたんだもの」
目を細めてオトンを愛おしそうに見つめるママは、まるで恋する乙女だ。それに応えるように、オトンもママを見つめ返してこう言った。
「何をゆうてんねん。それは俺のセリフや。お前みたいなよう出来た嫁、世界中どこ探してもおらんで」
「そんな…… あなたのような格好良い人が私みたいなブスを選んでくれただけでも幸せなのに……」
「アホか。ママはな、心が美しい。ホンマに美しいからそれが顔にも滲み出てる。俺には可愛い可愛い女房やで」
「あなた……」
ここにいるのが申し訳なく思えてくるような言葉をキチンと口に出せるオトンは、ちょっと格好良かった。
まぁアタシから見れば、ゴリラが何をほざいとんねん! と突っ込みたくなるようなクサイ台詞ではあったけれど。
いくら仲の良い両親が理想でも、さすがにイチャつく姿は見たくない。軽く咳払いしてから、アタシはオトンに改めて聞いた。
「そういうのってさ、なんか対策とかしてるん? 警察にはゆうてないんやろ? ほんならいつ何があるかわからんやん」
五百城への対応の参考になればと、モテているらしいオトンに聞いてみたかったのだ。
「対策か…… 前までは何もしてへんかったけど、さすがにヤバイと思って最近はちゃんとしてるで」
「何? 何なに?」
「ずっと変顔してる」
溜息をついてアタシは思った。聞く相手を間違えた、と。




