美人は三文の得!? ─10─
色々あったせいで、会社に戻るのはギリギリの時間になってしまった。それでも五分前には席についたアタシは、またまた目を見張る。
机の上には、ケーキやシュークリーム、最中にバームクーヘンにプリン、あんみつ、網目のメロンまであった。
物で溢れかえった机の僅かな隙間に、コトンとお茶が置かれる。
「遅かったね。はい、お茶。冷めてしまったから入れ直したよ」
「あ……ありがとう」
こんな事までしてくれなくても……とは思うが、きっとあの部長のことだ。やらないと後でネチネチ言われるのだろう。それにしても───
「これ、何か知ってる?」
こんなに沢山のデザート類、どうしろというのか。新手の嫌がらせ?
「それは男どもが全部置いてたよ。ちなみにメロンは部長。みんな麗美ちゃんの気を引こうと必死なんちゃう?」
そうだったのか。でも食べれるわけもないし、冷蔵庫に入れるものは入れて、後は休憩時間に皆でいただこう。
冷蔵庫は給湯室にある。アタシはそれらを両手に抱えて持っていこうとするも、量が多すぎて1度には無理だった。すると奈々が、「私も持ってあげる」と手伝ってくれる。
「ありがとう。助かったわ。後でみんなで食べよ」
「……麗美ちゃん、そんなにみんな麗美ちゃんに夢中なんやから、その中から選んだらアカンの?」
またその話か。
「よりによって海原さんじゃなくてもいいやろ? もっとカッコイイ人いっぱいいてるやん」
その言葉に、アタシはカチンときた。
「もっとカッコイイ人……って? 海原さんの事、カッコ良くないってゆうてんの? 奈々、海原さんのこと好きなんじゃなかったん?」
「好きやから、譲らへんって昨日ゆってんやん。でも、顔はカッコ良くはないやろ? 私は顔で選んでるんじゃない。中身が好きやねん」
あー……そうだそうだそうだった。ほんっとこのシステム慣れないわー。海原はブサイク族やったんや。
ん? 待てよ。確かにアタシも、海原の内面が好きだ。でも、顔はもーっと好きです。
「アタシは……外見も中身も好き」
「なっ……そんなわけ───」
ここで昼休み終了の音楽が鳴り響く。アタシはホッとして、いそいそと席に戻った。
15時に20分間の休憩時間がある。山ほどのデザートをみんなに分けようと腰を上げかけたアタシの周りを、沢山の人が囲んだ。
リ……リンチ!?
上げかけた腰が、またストンと落ちた。




