美人は三文の得!? ─5─
「刺されそうにって……どう言うこと!?」
それって事件なんじゃ……?
「まだ24歳の女の子なんだけどね、お父さんの事、好きになっちゃったの。もちろんお父さんはちゃんと断ったのよ? でもね、好き過ぎて思い詰めちゃったのね。自分の物にならないのならいっそ殺して───って感じ?」
何それ軽ーい。
「ママそれ、警察が絡む事件じゃないの?」
至極当然の事をアタシは聞いた。じゃないとこのまま流されそうだったから。
「お父さんが警察に通報しなかったの。まだ若い娘さんの将来を台無しにしたくないからって。それに今回で3回目なのよ、刺されそうになったのは。全部別の人だったけどね」
いやいやいやいや……… 殺されそうになっとるし。かなりヤバイやつやし。
「だからね、きっと麗美も、色んな人から恋されてると思うの。もし同じような事が麗美に起こったら……って気が気じゃないのよ。もちろんママもね」
確かにそんな事があったのなら、心配するのは当然かもしれない。だけどアタシは、全然知らなかった。オトンが刺されそうになった事もだが、そんなに人気があったなんて。
また今日も、考える事案が沢山できてしまった。頭の中を整理しないことには、眠れそうもない。
ママにおやすみを告げて自室に戻ると、ベッドに腰掛け、オトンの言っていた海原からのLINEを開いた。
『麗美ちゃんの事好きになりそう。いいかな?』
心臓が大きく跳ねた。そしてすぐに打ち込む。
『もちろん! いいですよ♡』
送信…… ってアカンあかーん。
たぶん───こんな経験初めてだから確信はないが、簡単にOKしたらダメな気がする。美人はもっと、思わせぶりにしないと。
思わせぶり、思わせぶり、思わせぶり、思わせぶり……
何度も頭の中で繰り返すと、だんだん意味さえもわからなくなってきた。とりあえず無難に、
『酔ってるんですか?(笑) 今日はごちそうさまでした! また明日』
と返信し、今日の出来事やオトンの殺人未遂事件の事を考えているうちに、いつの間にか眠ってしまっていた。




