美人は三文の得!? ─2─
「じゃあアタシ次で降りるね。奈々ちゃんここ座りなよ」
ホームに着く手前で奈々に声をかけると、入れ違いざまに耳打ちしてきた。
「なんで海原さんなん? 麗美ちゃん綺麗ねんから他になんぼでもおるやん」
「……は?」
「私、譲らへんから」
突然の宣戦布告に何も言い返せないままドアが開き、アタシはホームに降り立った。
「……はい?」
なんで……? なんでアタシと奈々が同じ土俵に? まさか……奈々は自分がブサイクやって事、知らんの?
あまりの奈々の自信に、聞き間違えたのかとさえ思った。
譲らへん?
you ズラ 変?
どうしても聞いた言葉と脳内変換が上手く噛み合わない。
アタシは自宅に到着するまで、ずっと首を傾げたまんまだった。
「ただい……」「おかえり! 麗美、大丈夫か? 遅かっ───」
オトンのセリフが途中で切れたのは、アタシが思っきり睨みを効かせたから。首は傾いたままで。
「先輩がアタシら新人にご飯奢ってくれた。帰りは同僚の女の子と一緒やった。襲われてもないし誘拐もされてない。お風呂入る」
モジる隙を与えず、リビングで洗い物をしていたママに『ただいま』と声をかけて鞄を置くと、風呂場に直行する。
一通り洗い終わってから湯船につかると、思わずため息が漏れた。
チヤホヤされた事がない身としては、それだけで嬉しいと同時に疲れもする。そして、身だしなみにも気を使わなくてはならなくなった。なんせ一歩外にでれば、たちまち注目の的になるのだから。
「今日も長い1日やったなぁ……」
さっぱりしたアタシは、頭をバスタオルで拭きつつリビングへ。すると、またイラッとする仕草をするオトンが視界に入った。




