ライバル出現!? ─10─
「……なんで? なんで高木さんだけ?」
奈々が不服そうにアタシの目の前に広げられたデザートを見て、文句を言う。しかしそれを四ノ宮が遮った。
「そらぁ美人やからやろ? あのモンゴル人、高木さんに一目惚れしたんちゃうー?」
嬉しそうに言うのはいいが、多分モンゴルの人ではないと思う。中国人で間違いないと思う。
「でも……こんなに食べれないから皆さん一緒に頂きましょーよ」
テーブルの真ん中に全てズイッと押し出して、皆に勧める。さすがに1人で食べ切れる量でもなかった。
「いいなー美人は。得する事、いっぱいあるやろ?」
海原にそう聞かれても、何かに得した覚えはない。せいぜい今の、ゴマ団子やその他諸々に対してだけた。
でも、これからこんな事が増えるのかな……
増えたらラッキーだな。そんな風に簡単に考えていたアタシは、今後さらに美人の特権を思い知る事となる。
「ごちそうさまでしたー」
「ごちそうさま」
「ありがとうございました」
お礼の言葉の数々は、全て海原に向けられたもの。なんと、海原が会計を持ってくれたのだ。
「いいってー。俺が誘ったんやし、めっちゃ楽しかったしな」
礼を言われて照れくさそうに手を振る海原。その姿にキュンとし、今日はほとんど話せなかった事もどうでもよくなる。
「じゃあ私、地下鉄やから。また明日ね」
「僕も会社に自転車おいてるんで」
四ノ宮とジミーは、バラバラの方向へと散って行った。そして奈々はと言うと───
「海原さん、私、酔っちゃったみたい…… 少し休んでいきたいんですけど……」
わざとらしく海原の方へもたれ掛かりながら、驚きの言葉を吐く。
今度こそ奈々の策にハマってはなるものか、とアタシは彼女の肩をグイッと引き寄せ、
「大丈夫ですー。アタシと奈々ちゃん、同じ方向なんで送って行きますぅ」
と、海原との別れを惜しみつつ、それでも奈々に持っていかれるよりはマシ、とばかりに強引に連れ去った。




