ライバル出現!? ─9─
「おっ、ライバル出現か!?」
茶化す四ノ宮の顔は、アタシと同じように赤くなっていたが、こちらは照れているのではなく、程よくアルコールが回っていた模様。
「もぅ、四ノ宮さんやめて下さい!」
アタシが止めるも、さらに四ノ宮はエスカレートし、
「まぁ美男美女がくっついても普通過ぎるしな。海原くんと高木さんってのも似合ってんちゃう? なぁ、伊藤さん」
最後はあえて奈々に言った。瞬時に奈々の顔色が変わったのも、アタシは見逃さなかった。だがすぐににこやかな笑みを貼り付け、
「そうですね。でも……やっぱり月島さんとの方が絵になるかもー! ね?」
とあえて海原に同意を求めるという『あえて返し』をする辺り、やっぱり侮れない。
「やめましょうよ。そういう不毛な言い合いは」
興味なさげに傍観者と化していたジミーが突然にこやかに言うと、飛び交っていた見えない火花が一瞬にして沈下した。
確かにそうだ。奈々相手に何をアタシは必死になっていたんだろう。席が離れてようと、奈々が海原を狙っていようと、それをライバル視するのはまさしく不毛だろう。
きっとジミーはそんなつもりで言ったのではないんだろうが、ハッと目が覚める一言だった。
「ですよねー。あ、アタシ、デザート頼んでもいいですか? ゴマ団子大好きなんです。でも杏仁豆腐も捨て難いし……んー、迷うなぁ」
メニュー表を見ながら本気で悩んでいると、目の前にゴマ団子が五つ乗ったお皿が置かれた。
ビックリして運んできたウエイターを見ると、中国人らしき顔立ちの……
「これは オイシデス」
中国人だ。
分かり易過ぎる程の片言でそう言うと、さらに杏仁豆腐、マンゴープリン、そしてコーヒーゼリーのような黒い物体が、全てアタシの前に置かれた。
「アタシ、マダたのんで マセンケド」
つられてビミョーな片言で伝えるアタシに、
「この黒いのは 亀ゼリーデス 生薬センジテ ツクテル 朝お肌ブリブリなりマス」
プリプリの間違いだろうか。ブリブリになって喜ぶ人もあまりいないだろうし。
「デザートにマヨテたから コレは サービスデス アナタとてもウツクシイ」
そう言って中国人の彼は、厨房へと消えて行った。




