ライバル出現!? ─4─
おかしい。
あの生物は一体なに?
ブサイクはもっと陰キャラじゃないとアカンのんちゃうん?
内に黒くてでっかいもん抱えてても、それを吐き出すなんてしたらアカンのんちゃうかった?
だってアタシがブサイクやった時は……って……もしかして…
ブサイクのツンデレが流行ってるとか?
う~んわからない。後で四ノ宮さんに聞いてみよう。
「おつかれ~」
「お疲れ様です」
あれこれ考えてる間に、就業時間になっていた。
結局また、仕事なんてなんにもしていない。それでも部長はにこやかに、「高木さんおつかれ!」と声をかけてくる。
一生懸命に仕事を頑張っていたあの頃には、決してかけてもらえなかった労いの言葉。他の男性社員も口々に誘いをなげかけてくる。
それを見た女子社員達は、コソコソと耳打ちしたり目配せしたり。得てして女性は、モテる女を目の敵にしたがるもんだ。それは美人の宿命であり、因縁でもある。
これが、美人の受ける洗礼ってやつか。
奇妙な世界。だけど、アタシにとっては最高の……世界。
せっかく堂々と顔を上げて生きていけるようになったんだ。甘んじて受け入れてやる。
「高木さん」
艶のある低音ボイスが耳元に響き、一瞬にして脳が痺れる。
「海原さん!」
「ごめん。後ちょっと……20分ぐらい待っててくれる? 片付けてしまいたい仕事があんねん」
両手を合わせてギュッと目を閉じる海原に、なんとも言えない愛しさが込み上げてくる。
「もっ、もちろんです! 20分でも2時間でも……なんなら2週間でも待ってますから!」
「ははっ、さすがにそんなにはかからんけど。じゃあさっさと片付けてくるから」
海原の後ろ姿を見送りながら、アタシは溜め息をついた。
───まただ。また思いっきり尻尾を振ってしまった。美人はドーンと構えてなアカンのに……
「冷静になれ、麗美。犬なったらアカン。猫や……わいは猫や!」
グッと拳に力を入れ、気合いを体内に存分に蓄えてから、アタシはロッカールームへとむかった。




