ライバル出現!? ─1─
翌朝。
会社に向かう足取りは自然と軽くなる。海原に逢えるという理由だけではなく、何かが吹っ切れたから。
昨日、凜に言われたように、アタシは男にもっと慣れた方がいい。色んな男性と付き合って、見る目を養わなくては。そして素敵な男性に処女を捧げるんだ。だってせっかく綺麗になったんだもの。
「おはよ~」
「おはようございます」
挨拶の声が飛び交うロビー。
「おはよ、高木さん」
「あ、おはようございます!」
海原だった。
「こないだは楽しかったね。また週末にでも、どう?」
周りに悟られないよう、そっと耳元で囁かれた低く甘い声。それだけで子宮の辺りがキュンとする。
女は子宮で恋をするとは言うけれど、あながち嘘でもないらしい。
「はい! 喜んで!」
また居酒屋風の返事をしてしまったが、海原は優しく微笑んでくれる。
「よっ、高木さん、今日も綺麗やなぁ」
部長のダミ声で一気にテンションは下がったが、気付かれないようそっと目配せする海原のギリシャ彫刻ばりの美しい顔に救われた。
───いけないいけない。もっと慎重に。
峰岸の事があったばかりだ。軽い女と思われないよう気を引き締めなくちゃ。
ともすればだらしなく下がってしまいそうになる目尻にしっかり力を入れ、口を一文字にキュッと引く。
エレベーターが到着し、海原と部長と三人で乗り込んだ。すると───
「……おはよう……ございます」
覇気のない声でオドオドと挨拶しながら乗り込んで来たのは、奈々。
「なんやなんや、しみったれた顔して! こっちまで陰気臭くなるからやめてくれるか」
部長のバカでかい声が、狭いエレベーター内に響いた。




