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美意識過剰  作者: 桜木 葉
25/67

初恋の君 ─5─

 



「お待たせ」


 両手に飲み物と食べ物の入ったビニール袋を下げ、肩に引っ掛けた鞄が落ちないように峰岸に手渡す。


 花壇の縁に腰掛けた峰岸は、不機嫌そうにそれを受け取り、コーラを一口飲んだ。


「遅かったなぁ〜。これだけで疲れるなぁ」


 ───って自分なんにもしてへんやん! 座ってただけやん! などとは言えず、「そうやんな」と答えるしか出来ない。


「うわっチュロス入ってる! 俺、嫌いやねんなぁこれ」


 ───ほんなら初めからゆえや! とも言えず……


「あ〜……ごめん。知らんかって」


 とりあえず謝る。


「あ、おつり……」


 全部で二千円ちょっとだったけど、三千円を峰岸に渡す。


「いいよ、お駄賃や」


 ……はい? お駄賃てなんなん?


 これがデートってもんなのだろうか?


 奢って貰うだけでもなんか首筋がこしょばいのに、そのうえお駄賃? それって……


「……なんか対等じゃないんちゃうん?」


「ん? なんかゆうた?」


「あ、ううん、なんもないよ!」


 ───危ない危ない。また心の声がただ漏れや。でも、


「これ返すよ。お金なんか貰われへん」


 やはりどうしても受け取れない。三千円を差し出すと───


 さっきとは比べものにならないくらいに険しい顔をした峰岸が、奪い取るようにしてお金をポケットにしまう。


「やるってゆうてんねんから貰っといたらいいんちゃうんか」


 そっぽを向きながらポツリと呟く峰岸。それは独り言? それとも聞こえるように言った?


 どっちとも取れる呟きに、アタシは何か言ってもいいものかどうかもわからず戸惑う。



「はよ食べて行こ」


 そう言いながら再びアタシの方を向いた峰岸の表情は、すっかり元の笑顔に戻っている。お金も受け取ってくれた。


 ───気のせい……やったんかな。


 半ば自分に言い聞かせるようにそう考えると、アタシは峰岸の隣に座ってメロンソーダに口を付けた。





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