初恋の君 ─5─
「お待たせ」
両手に飲み物と食べ物の入ったビニール袋を下げ、肩に引っ掛けた鞄が落ちないように峰岸に手渡す。
花壇の縁に腰掛けた峰岸は、不機嫌そうにそれを受け取り、コーラを一口飲んだ。
「遅かったなぁ〜。これだけで疲れるなぁ」
───って自分なんにもしてへんやん! 座ってただけやん! などとは言えず、「そうやんな」と答えるしか出来ない。
「うわっチュロス入ってる! 俺、嫌いやねんなぁこれ」
───ほんなら初めからゆえや! とも言えず……
「あ〜……ごめん。知らんかって」
とりあえず謝る。
「あ、おつり……」
全部で二千円ちょっとだったけど、三千円を峰岸に渡す。
「いいよ、お駄賃や」
……はい? お駄賃てなんなん?
これがデートってもんなのだろうか?
奢って貰うだけでもなんか首筋がこしょばいのに、そのうえお駄賃? それって……
「……なんか対等じゃないんちゃうん?」
「ん? なんかゆうた?」
「あ、ううん、なんもないよ!」
───危ない危ない。また心の声がただ漏れや。でも、
「これ返すよ。お金なんか貰われへん」
やはりどうしても受け取れない。三千円を差し出すと───
さっきとは比べものにならないくらいに険しい顔をした峰岸が、奪い取るようにしてお金をポケットにしまう。
「やるってゆうてんねんから貰っといたらいいんちゃうんか」
そっぽを向きながらポツリと呟く峰岸。それは独り言? それとも聞こえるように言った?
どっちとも取れる呟きに、アタシは何か言ってもいいものかどうかもわからず戸惑う。
「はよ食べて行こ」
そう言いながら再びアタシの方を向いた峰岸の表情は、すっかり元の笑顔に戻っている。お金も受け取ってくれた。
───気のせい……やったんかな。
半ば自分に言い聞かせるようにそう考えると、アタシは峰岸の隣に座ってメロンソーダに口を付けた。




