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第64話 協力

「『力ある亡霊やつと戦うなんかナンセンスなんだよ!』」


 メゴがそう叫んだんだけど僕には今一、その言葉の意味が分からなかったんだ。だって、そんなことを言ったところでどうしたって戦わなきゃいけないじゃないか。

 じゃないと、このままカエデの奴が戦って、スミタが参戦して、ジノミリアの阿呆も参戦しちゃって、最悪、ズッキーナはマサルの絆されて参戦をするかもしれない。

 だけど、あのママに勝てるだろうか。いや、勝つことよりも心配なのは。


 この洞窟でしかない、岩盤の崩落が始まりそうで。

 それが僕には堪らなく怖かったんだ。

 だって、なんだかんだと嫌って、寂しい思いもしたけど。


 ここが僕の家なんだ。メアと母親。一族と過ごした僕の家。

 ここでしか生きることを知らないし、行くあてだってないんだ。


 だから。

 だから。

 堪らなく――怖いよ。メア。


「で。主は何をし始める気でござるかァ? マサルを巻き込む真似は赦さぬよォ」


 強い口調でズッキーナがメゴに言う。

「おい。ズッキーナ! 茶々を入れんじゃねぇ~~し! お前よか考えて実行しょうってんだ。邪魔したらただじゃおかねぇかんな!」

 そんな彼にマサルが頭を叩いた。バシ! と。

 その行為にズッキーナも唇をへの字にさせているが。

 何を言い返すこともない。いや、言い返すことがマサル相手に出来ないだけなのかもしれない。


「『なァ~~に! 誰があんな化け物なんかを相手にするかってんだよ! っは! んなバカは、あいつ一人にいいんだよ! カエデのバカだけでさァああ‼』」


 真っ黒く渦を巻くメゴの血が円を創り、文字が複雑に浮かび上がり紋様を創り出していた。この術式はなんというのか、どうしてこんなにも目が奪われるのか。

 僕は息を呑み込んでしまう。

「『アタシだってこんなところで死にたかないんだよ! 折角、また産まれた身だ! 愉しまなきゃだろぅうう?? すみ田が死にゃあ貰える身体だしさァアアッッ‼』」


 弾!


 弾ッッ‼


 弾ッッ‼‼


 鳴り響く銃声に僕の身体も震えた。これは。この感情は、なんだろうか。

 今まで感じたこともない、言い難い感情だ。


「スミタは死なないよ! 帰らなきゃいけない場所があるんだから!」


 僕は思いっきり言い放ってしまった。

 胸元の僕を睨み、

「『そりゃあそりゃあ♪ 残念ねぇええ♪』」 

 そう嘲笑しながら言うんだ。幼女のくせに、なんて顔をするんだよ。スミタと同じ身体で、同じ顔で、僕に向けるのか。君は。


「面倒事は僕は引き受ける! なんだってするから! スミタを! スミタを殺さないでくれッッ‼」


 僕は必至に声を荒げて言った。だって、この女は――スミタを見殺しにしそうな勢いだから。

 どんな協力だって惜しむことはしない。する必要もない。


 どうせ。

 僕は死ぬんだ。

 身代わりか、その壁にされるのか。

 多分、前者だ。


 僕は《墓守り》の役目を果たせる。

 メアの望みを叶えて死ぬことが出来るんだ。


「『死にゃあしないよ。すみ田の奴が《呪い》以外で死ぬたまじゃないよ♪ 安心しなよ』」


 禍々しい魔法陣が完成し、辺り一面の壁に張りついていた。

 字も動いている様子に、

「――本当に。死なないのかぁ……心配だよ」

 僕も小さく心配でもらしてしまう。

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