第63話 悪夢の出口
「っちょ! ちょっと待ちなさいよ!?」
ジノミリアが僕とメゴの間に割り込んだ。その表情は、あり得ないだとか、信じられないという色が滲んでいた。
「その作戦はダメ! 絶対に僕は許さないよ‼」
僕を庇うジノミリアに、
「『なら。あンたには勝算があるってのかい?』」
メゴが訊き返したんだ。
「『あるってんなら! アタシに言ってみなぁアアッッ‼』」
弾!
弾ッ‼
弾ッッ‼‼
鳴り響く銃撃戦にジノミリアは目を大きくに開かせた。口許もわなわな、と振るえていた。
「ジノミリア殿ぉ~~自分になんの案がないのなら。口を挟むことは無し」
ジノミリアに吐き捨てる彼に、
「――でも。それじゃあ! スミタも悲しむよッッ‼」
ジノミリアが涙を浮かべた。
その言葉に。僕も、だといいのにな。と思ってしまったんだ。
「皆が死ぬことの方が悲しむよ」
僕は絞り出すようにジノミリアに言ったんだ。
それにジノミリアも眉を顰めて、顔を僕から背けた。
もう、誰も。メゴの案に否定も、異議も言うのはいない。
でも、スミタなら。スミタは、と思うけど。
本当に彼がいなくてよかったと思うんだ。
弾!
弾ッ‼
弾ッッ‼‼
「こんなところで死ぬことが一番――悲しむと思うんだ」
僕の言葉にメゴもほくそくんで手を鳴らした。パチパチ、と。
「自分。本当に勝算があるのだろうなァ?」
「そうだ。エドガーの奴は――覚悟を決めているんだぜ!?」
ズッキーナとマサルがメゴに言う。言われている本人は。
「『覚悟があるってんなら。その意思を尊重しようじゃないかぁ♪』」
幼い顔を大きく歪ませながらメゴが吐き捨てた。喜々として。
そして、持っていた弓を放り投げ、スミタの剣を取り出した。
ザシュ! と掌を切りつけた。
「――《血》を媒介として使うのでござるか」
ぼたぼたたた――……
真っ赤な血が零れ落ちるも、その血は地面に落ちることなんかなかった。それは真っ黒く、渦を巻いていくのが見えた。まるで――最終局面のようだ。
いや。
もう――終わりなんだ。
ねぇ。メア。
君が願った夢が叶うよ。
今回は短いですが。まもなく最終回です!このままお付き合い下さい!




