第48話 vs愛 ② 百発百中の姉弟の武器
スミタの身体の中にいる誰かが。
名前を叫んだ。
「愛よぉおおっっ‼」
どうやら。
彼女はメゴという名前らしかった。
「アタシと! 殺り合いましょうぉ~~‼」
スミタの身体。
幼児のように縮んだ身体が。
勇ましくも、シゲリンへと走って行く。
「あの馬鹿! つぅか! めごって誰だよ! おいおいおい‼」
マサルが考えが追いつかないと。
思ったことを言っていく。
そして、誰ともなく訊いてくる。
「誰かは。恐らく――スミタ君と融合した魂の末端でしょう」
「末端?? つまりは……何?! 寄生虫的なもん!?」
「どちらかは知りませんし、分かりません」
ひょいとカエデがマサルを担いだ。
「わ゛??」
「ただ。今のお宅は――自分が守るよ」
「そりゃあ~~どーも~~‼ つぅ~~か! ズッキーナ! 大丈夫なの?!」
ひょいとマサルがカエデの腕を掻い潜って。
下へと降り立つと。
ズッキーナに訊いた。
それには。
ほらほらほら!
すっごい形相なんだけど‼
カエデの奴!
いや。
そんな寸劇や、痴情の縺れなんか。
どうでもい。
「――メゴ」
僕は視線をメゴの方へと戻した。
ぶぶぶ。
ぶぶぶぶぶぶ!
大量の蜂の群れがメゴを覆い囲っていた。
その様子を。
『刺されて。貴方が死んだら! すみ田君が戻って来るのかなぁああ?!』
「莫迦かぁああ?? 死んじまったら‼ お終いなんだよぉおお‼」
しゅ!
メゴが額を指先で一気に擦った。
すると、だ。
どういうことなんだ。
この状況は。
辺りを飛んでいた蜂の群れが。
燃え上がった。
辺りに黒煙が立ち昇る。
「アタシは《炎鬼》なる人外」
指先に煤がついていた。
っふ! と息で吹き飛ばした。
「以後、お見知りおきを♪ 変態お兄さん♪」
蜂が黒ずみとなって。
散っていく様子に。
『……貴方は、実に……しげ洸に似ているよ。実に……不愉快だ‼』
「誰だよ! それわぁァアアッッ‼」
メゴが持っていた《クロテツ》って呼ばれていた剣を。
地面へと。
影へと放り込むと。
手を前にする。
魔法陣が二重、三重――四重と浮かび上がった。
「さぁ! 主の声に跪きなさい‼」
ヴぉん!
中から弓が突き出て来た。
とても古い木でできた質素で、
「いい子ね♪ 存分に暴れましょう♪」
手にしたメゴが頬ずりをするや。
指を引くと。
光りの弓が浮かび上がった。
「さぁ! 変態兄さん‼」
シュ!
シュ‼
シュ‼‼
「抗ってみなよ‼」
放たれた矢が。
一斉にシゲリンへと向かった。
放たれた三本の矢は。
融合していき。
大きな矢へと変わった。
『っく! っふ、ふっはっはっは‼』
自身に飛ばされた矢に。
シゲリンが《ミツバチ》を縦に構えた。
『こんなひ弱な攻撃など! 私に効く訳がないだろぉおおうぅうう‼』
「なら。やってみなよ。それは――弟が言うには」
弓を肩に担ぎながら。
視線を宙に浮ばせ、
「百発百中。って笑ってたぜ」
誰かを想い馳せていた。
「アタシも。その矢から逃げた悪党はいないって知ってるけどな♪」




