第46話 殺り合いましょう!
馬鹿二人を他所に――シゲリンとスミタの火花を散らしていた。
『私は一度でもいいから! 君と手合わせをしたっかったんだよォおお♡♡♡』
蛆と、黒い血をまき散らしながら。
スミタへと雄叫びを上げていた。
「ぁ゛ー~~」
スミタが握る剣が。
ザク! と音を立てて。
横に切り裂いた。
斬!
◆
拙者の目の前に宿敵が居る。
この者の息の根を止めねばならん。
この者が彷徨って居る限り。
殿の身は危険に晒されて居る。
今ここで。
この者を――仕留めねば。
安住の地などありはせぬ。
しかし。
恐ろしいのは、それだけではござらぬ!
(っか、身体がちっさくなりすぎっでごっざー~~る‼)
身長差があり過ぎるでござる!
この者と、このハンデで戦わねばならんのでござるか!?
――ハンデたって……いいじゃないかぁ~~ふふふ♪
拙者の中の愛殿が。
嬉しそうに囁いた。
(よくはござらぬ! ござらぬよ!?)
―‐その方が……あちらさんにも隙が生まれるじゃんか♪
その言葉に拙者も。
一理あるなと、思ってしまったでござる。
しかし。
(その隙を、どう補うのでござるか?! 拙者の武器もござらぬよ‼)
拙者も、目の前の重惏殿に息を鳴らしていた。
巨人のように。
目に重惏殿が映っている。
――眼には視えないから。恐ろしぃんでしょう? でも大丈夫よ。
その言葉と共に。
拙者の身体が、手が動いた。
――さぁ! 殺り合いを始めようじゃないの‼
瞬間。
拙者の手の中に――《黒鉄》の柄が握られた。
そのまま。
勢いよく――重惏殿の腹部に突き刺す。
◆
シゲリンの足が延ばされ。
スミタの身体が大きく後ろへと蹴飛ばされた。
「‼ っす、スミター~~ッッ!?」
その様子にマサルもスミタを目で追い駆けた。
カエデは気にしてない様子なんだけど。
気にしろカスが。
マサルが慌てて走ろうとするのを。
カエデが強く肩を掴んで阻止をした。
確かに、このまま行ったら。
こいつ、死ぬな。
人間だしな。今。
「行くなよ。お前が行ったって死ぬだけだぞ」
僕はマサルの奴に。
呆れたというような口調で吐き捨てた。
さらに続けて。
「死なれたら。僕がスミタに怒られるんだよね!」
マサルの奴も顔を真っ赤にさせていた。
自分が役立たずだと知っているなら。
なんだって動こうとすんのさ。
「そうだ! スミタに僕達が怒られるのよ! 勘弁してよね‼」
ジノミリアも腕を組んで。
口をへの字にさせている。
「取りあえず。様子を見ようじゃないか。後は――それからにしょう」
冷静にカエデが言うのを。
僕はどうしょうもなく殴りたくなった。
お前が手を貸す展開が見えないんだけど。
「あ゛!」
むくりと起き上がったスミタは。
剣を握り直して――突進をする。
『っは! ぁはははァ~~♡♡♡♡ スミタくぅ~~んン゛ん゛!』




