第34話 産まれるすみ田
大きくなっていく球体に。
マサルや、僕やジノミリアが視線を送った。
しかし。
カエデはそんなことはどうでもいいように。
「お宅の話しに信憑性がない。自分が信用するのに値しないね」
低くも、銃を片手に言い切った。
その銃から手を離すと。
「??」
銃の本体がボヤけ。
実体がないかのように消え去った。
どういった武器なのか。
僕には検討もつかないな。
「信用とは。自分に理解力が欠如されているか。理解しようとされていないか」
彼が……ズッキーナが球体に手を添えて。
喜々として。
微笑みながら。
「どちらにせよ。自分は欠陥品でござるよ」
カエデの奴を否定した。
その言葉にもカエデも。
「お宅に言われるまでもないね。マーー母さんからも、いつも言われていたからね」
顎をしゃくりながらそう言い返した。
互いが互いに睨み合う。
の、中で。
「で。ぇ、っと……鬼灯奈落……だっけ? 言い辛いからズッキーナに以下省略ね。あんたはマサルの奴のなんかをなんやかんやとスミタの身体? を創った。でいいのね? 合ってる?」
ジノミリアがズッキーナの傍へと向かう。
足取り軽い様子に、
「ちょっと。ジノミリア嬢!」
舌打ちをしながらカエデも呼んだ。
「五月蠅いわよ。カエデ。黙ってなさいよ」
ジノミリアの質問にズッキーナも目を丸く。
口を開いたままになっていたのを。
ゆっくりと閉じて口端を吊り上げた。
「女子。自分の名は?」
「ジノミリアよ」
「ふむ」
「早く。スミタを返しなさいよ」
球体に手を這わせるジノミリア。
「早期出産をすれば障害が出るかも知れぬでござるよ。ジノミリア殿」
顎に指を置きながら。
ズッキーナも、優しい口調で言う。
ジノミリアはズッキーナの言葉に。
「じゃあ。あの馬鹿はなんだって早かったのよ」
ジノミリアがマサルを指さした。
「人を指すんじゃねぇ~~し!」
マサルが強く歯を剥き出しに言う。
二人はそれに無視しながら、
「一からの製造……《人体創造》は容易いんでござるよ」
マサルのことを説明するズッキーナ。
「条件と、状況に、核心が揃っておればでござるが」
「意味が分かんないからね。あんたが言っていることは、何一つとしてね」
言い合う二人をマサルが見ていた。
カエデがマサルを見ていたから。
僕からも顔が見えた。
「……本当に。自分はマサル、なの?」
しゃがみ込んでいたマサルに。
カエデが膝をつけて訊いた。
その訊き方が癪に障ったのか。
「いぃ~~や! 違うね! お前の言うマサルは超絶グラマーでイイ女だったりイケメンだったはずだ! それが。俺みたいな、……俺みたいな顔や体形じゃなかっただろうがよ!」
吐き出すかのような口調で。
たくし上げるかのようにカエデに言う。
だが、次には。
「俺は……俺はお前が知ってる都築マサルなんかじゃない」
とても低い口調で言い返した。
「だから。放って置いてくれ。そっとしてくれ」
終には語尾が震え出していた。
「っそ……ごめん! マサル‼」
カエデが謝りながら。
マサルに抱き着いた。
「っぎゃ!」
力強い抱き締めに。
思わずマサルの奴も吠えた。
「小さくなったから抱きやすくていいね♪」
「っひぃー~~‼」
カエデとマサルのやり取りを横目に。
ジノミリアが、
「スミタは、……人間なの?」
そう確認をするかのように訊く。
僕も、そのことだけが気になっていたんだ。
「彼は咎人であり。罪人風情に過ぎないのでござるよ。そのような者が安穏と人間でいられようか? それはちとばっかし我儘ってものでござるよ」
パリパリ。
パリパリパリパリ――……。
「それは。すみ田殿も何れ知るでござろう」




