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第25話 失意のすみ田

投稿作品投函しましたので。こちらを先に更新しました。他作品はは4/1です。

「え」


 ジノミリアが言った言葉にスミタが声を失ってしまう。ひどい顔色にもなっていた。

 土色の青ざめた表情だ。

 ただ。言ったことに僕は後悔なんかしていない。

「……ジノミリア殿? もう一度、申してくれまいか? もう一度……」

 認めたくないのか。認められないのか。

 スミタがジノミリアに懇願するように言う。

「もう……一度ッッ!」

 僕を見下ろす彼は。勇ましかった姿とは裏腹に。

 とても幼い面持になっていたんだ。


「あんたは――もう死んでいるのよ。恐らく、ここに来る前から身体から抜けていたのね」


 みるみるうちにスミタの顔が真っ赤になった。涙目にもなるのに。

 肉体のないスミタからは流れない。

「拙者は……《ムバベト》ではござらぬか! 死者……拙者が……っつ!」

 手を見ると。その手は透けていた。

 しかし。朽ちたとしてもその生命力と、法力によって。容姿は保たれていたんだ。

 でも。動揺し始めたスミタの身体が透けていってしまう。


「僕もはっきり見えたから。死んでいるとは思いもしなかったわ」


 ジノミリアがそう呟くように。小さく漏らした。

「神器を持ち帰るという気持ちが――《未練》となったのかも知れぬでござるな」

 ゆっくりとジノミリアに刺さられながら、尻を地面の草の上におろした。

「《怨霊》になり果てたのか……拙者は」

 泣くに泣けなくなってしまった身体に。

 胸を強く。ドン! と叩くも痛みはない。

「拙者わ゛! ぅ゛ううう……っつ!」

 声を震わせるスミタでも涙目でも涙は流れない。


「でもさーエドガー~~?」


「なんだよ。ジノミリア」

 僕はジノミリアが大嫌いだし。話したくもないんだけど。

 放っておいて欲しいんだよね。

「生命力のある霊魂ってさー~~蘇生出来なかったっけ?」

「――それこそ霊への冒涜になるぞ。ジノミリア! 禁忌行為の認識もないのか? お前はっ!」

 僕がジノミリアに忠告をした。せずにはいられない。

「スミタが死んだら誰があんたを運ぶの?! 僕は嫌だからね! 胸が痛くなりそうだし!」

「っそ、それは……それは。卑怯な女だな! 君は!」

 項垂れたスミタを囲んで、僕たちは言い合った。

 他所からは喘ぎ声が聞こえる。

 いい加減にして欲しいんだけどね。こんな場所で、あんな汚らわしい行為に、なんの意味があると言うんだよ。


「な、なにをさわいでんだぁー~~??」


 そこへとカエデの背中の上から。弱々しい声を出すマサルの姿があった。

 声も震えている。全身は真っ赤に蒸気していた。

「? スミタ君。自分もどうかしたのかい?」

 顔色も、声も喜々としているカエデの野郎が。

 絶望を味わっているスミタに訊く。止せよ。馬鹿野郎。

 そんな二人をジノミリアが睨んだ。

 その様子にマサルも。

「あ゛ー~~」と声のトーンを下げた。

 状況も分かった様子で。


「スミタ……おい。カエデ、下せよ!」

「ああ」

 ゆっくりと壊れ物を扱ように丁寧に、マサルのすかぽんたん男を下した。

 頭にキスをしながら。キモイな。コイツは。

「おい。スミタ? スミタ? おい?」

「…………ああ。マサル殿……」

 青ざめているスミタに訊いた。


「お前は生きたいか?」


 

これからもよろしくお願いします。更新はまちまちですが。頑張って完走させていただきますので!

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