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第1話 《グレース・セメタリー》

長い旅行が始まります。

 僕の名前はエドガー。


 この物語は。

 果敢にも世界を自身の望みのままに。

 世界を救った少年少女と青年たちが主人公だ。


 まず。


 この物語は世界随一であり最古の墓場が舞台ステージ


 いつから在ったのか。

 それは歴史の中に埋もれしまい。

 今の住人たちは知らない。

 でも、僕は知っている。


 ここは王族の由緒ある弔いの墓だったんだ。


 墓荒らしが来れない様に。

 入り組んだ迷路のような路。

 棺を持って行く者も。

 帰れない、戻れないと知っていたし。

 死んだ王族に服従する人間たちが運んだ。

 

 そうすることによって。

 この墓を暴こうという不届き者も来ないことを狙ったんだ。


 今から。

 かれこれーー千年前の出来事だ。


 それから百年後。


 いつしか。

 高貴な王族が眠る場所は。

 入り組んだ路を使い。


 牢獄として使われることになった。


 ただ、同時に。

 墓を埋葬する場所としても使われた。

 生きとし、逝きとし人たちが。

 背中合わせに。


 まさに。


 共存していたんだ。


 でも。

 それは、たった一人の少女の罪人によって。

 封鎖されることとなった。


 彼女の名前は。


 グレース=ローレンス。


 世界に名前を轟かせた。

 海賊の麗人。

 

 彼女は悪運が強く。

 あるとき、その悪運も尽き。

 軍により制圧され、恥辱された上で。

 もっとも残虐な方法により。

 死ぬよりも恐ろしぃ目に合うことになった。


 ただ、助かる道もあった。


「お前の巨万の宝の在処を言えば助けようじゃないの」


「っは! 戯言! 戯言! 戯言! 面白いじゃないかァ! 蛮人が‼」


 青い瞳に、幼い面持ち。

 華奢な身体を大きく震えさせ。


 高らかに微笑んだんだよ。


 それはーー一帯の街にも響き渡った。


「呪ってやる! 呪ってやる! 呪ってやる! この街の奴らも! お前ら国の犬どもも‼ 俺様たちを売った奴らも! こんな世界なんか要らないよねぇ?!」


 そう彼女が言い放った後。

 

 軍は縛った彼女を棺に入れ。

 特殊な土を放ったんだ。


 生きながらに焼かれ続けるというものを。


 そのとき。


 棺の中からは。

 彼女の高笑いが響いた。


 恐れ慄いたことは言うまでもないだろう。


 そして。

 彼女は急いで葬られた。


 《グレース・セメタリー》


 名前の由来は彼女から来ている。


 それから、間もなくして。

 街には災害が降りかかった。


 地震、雷、水害ーー飢饉と続いた。


 人口10000万人が。

 たった数年で。

 人口427万人と減ってしまった。


 グレースの呪詛に恐れ。


 人口は800人となり。

 首都自体が移転を余儀なくされ。

 強制ではないものの。

 自主的な移動の空気を読まざるを得なかった。


 それでも。

 産まれた街を棄てなかった住民たちが。

 そのまま残った。


 人口は49人。


 その全員がグレースの海賊の一味でもあった。

 

 決して。

 その墓が荒らされないように。

 墓守りとなったのは。


 グレースの恋人でもあった彼女。


 メビ様だ。


 彼女は僕の友達でもあった。

 

 それから、また百年後。

 風化した歴史により。

 街には人が集まり。

 迫害された人に、人外たちの《世界》が生まれた。


 でも。


 黒歴史は風化しない。


 今も、生き続けているんだ。


 死してなお。


 恐怖を生み出している。


 僕はエドガー。

 この《グレース・セメタリー》で生きる墓守りの友達だ。


 そしてーー千以上も生き、歴史を見続けて来た。


 人外だ。

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