第1話-僕達の秘密基地-
草木を掻き分けながら僕は前に進む
今僕がいるのも森の中。どこを見ても木しかない森の中で僕はただひたすら走っている。
「はぁ‥‥はぁ‥‥」
息を切らしながら走り続ける
足を止めてはいけない。早く行かないと。
走る事5分くらい
前方に出口らしき隙間から太陽の日差しで僕を照らす
僕は条件反射で足を止め、顔の前に手を出し、目を細める
「あと少しっ!」
僕は自分に言い聞かせるように言うと足をまた踏み出す。
草木を避けながら森を出る。そこには一軒の家がポツンとあるだけ。
「着いたー」
僕は手を上げ背伸びをした
すると少し遠くの方から聞こえた叫び声
「おっそーい!何してたの!」
プンスカして僕を出向いたのは凛久(りく)
僕の従妹の双堕(そうらく)凛久
「ちょっと聞いてるの!伊澄!」
「聞いてるよーごめんごめ~ん寝坊したー」
僕は明後日の方を見ながら頬をポロポリかいた
そうそういい忘れてたね
僕の名前は伊澄(いずみ)らう。正真正銘の男!
「悪いと思ってないよね」
「勿論!‥‥あ、いや、違うんだ!」
「何がよ!」
つい思っていたことが口に出て僕はとっさに手で口を押えた
押さえた時にはもう遅く、また僕は凛久を怒らせた。
「違うんだ凛久!‥‥ご、ごめん」
「‥‥」
「凛久ぅ~」
無言で凛久は僕の前を歩く
僕はトボトボとその後ろを歩いていると凛久が振り返った。
「もう怒ってないから早く来て」
優しい声で凛久は僕に微笑みかけ、凛久はドアノブに手を添えて扉を開ける。
開け際に凛久は言った。
「遅刻常習犯にはもう呆れてるから」
その時の凛久の微笑みが一瞬だけ真っ黒い微笑みに見えたことはきっと僕の気のせいだよね‥‥。