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1人目の監督は実績重視

「結局頼れるのは、実績のあるベテランな訳」

親戚中に頭を下げて、金融機関から借金をして、ファン監に応募し、見事当選を決めた高砂はそう語る。

なんでも、ベテランは試合を知り尽くしていて、力の入れ処と抜き処をわかっていて、一見成績が悪くても大事な所で打っているのだという。

ファン監には、ある程度フロントに対して口を効けるという内容があり、余程な事で無い限り実行しなくてはならない。

トレードと戦力外選手のみに有効となるが、首位になり監督続投の場合ドラフトやFAにまで口を出せる事になっている。

高砂は、まず戦力外にて実績こそ輝かしいもののここ数年結果が奮わなかった山城内野手と大崎投手、ユーティリティーとして長く活躍するも戦力外となった江坂を獲得するように要請。

また、トレードにて期待の若手外野手を「代わりはすぐ出てくる」として、トレードに出し、これまた「実績はある」上本外野手と実績もあり、今でも代打の切り札として活躍している福江内野手を獲得。

他にも球団が許せる範囲の若手から中堅の選手をトレードし、ベテランを集めていく。

この事態にネットでは他の「ファン」から大半のバッシングと小数の賛成を受ける。

他球団のファンはそれを面白がり、また、期待できる若手が落ち目のロートルで手に入ったと喜ぶ声も出た。

野球評論家は「球団のふざけたお遊び」としてファン監を叩いたが、メディアは面白がり、放映権を求めて球団と契約、地上波を含めた多数の放送局で試合が一年間放送される事になった。

野球を知らない層からも世間話として使用される程に、野球もとい球団に注目が集まった。

スポーツニュースも全盛期程の力は無いものの輝かしい実績を持った「元スター」が集まるチームとして、積極的に取材し「食事会」の模様を放送するなど以前では考えられない特集も組まれるようになった。

これらの結果として実力は未知のまま、開幕前から球団は絶大な人気を獲得。

企画としてファン監は、大成功だと言えた。


「自分のペースで開幕まで調整してください」

高砂は慢心していた。

この人気を実力だと錯覚していた。

オープン戦の戦績は借金持ちで終わる事が、残り二試合を残して確定しているが、オープン戦は「抜き処」であり「練習」だとして、特に気にはしてなかった。


そして、ベテランを中心に、大半を一軍に登録して遂に高砂のベテラン球団が開幕を迎える。


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