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2話目
(今日は遅くてよかったな)
毎回この時間帯の電車に乗るときはそう思う
空いている、とは言えないまでも
適度に空いた座席、どこに座るか迷わなくてもいいこの感じ
午後の授業を受けに行く
それが今日の自分
電車に乗って30分
目的の駅に着く
電車を降りて目に付くもの
人
ひと
ヒト
その群れに飛び込んでいく自分
第2の戦いが始まっている
人通りを縫い、改札を抜ける
通いなれた道を歩き、目的地へついた
キャンパスだ
不意に目が合う人がいた 顔は覚えている
こんな時、自分の第一声は決まっている
「おはよう!」
笑顔を作り 言う台詞
そしてその後は目を合わさない そうすれば会話は続かない
「おはよー」
・・・・・
(ほらね)
人の顔と名前を覚えるのが極端に苦手な自分にとって、
この台詞は非常にかけがえのない物になっていた
背が高いからか
よく目立つ存在の自分は、話しかけやすい対象として周りに認識されているらしい
なのでよく話しかけられるが、それはそれで大変なんです
そして今日も
学生の本分を全うする