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履歴  作者: にゅるい
一 同級生との履歴
1/3

#1

 お久しぶりです。

 私を覚えていますでしょうか。私です。私。忘れてますね。田中です。田中ヒロタカ。思い出しましたか。思い出してませんね。

 あなたとは八作(ハッサク)小学校5年次に同じクラスになりました。なったのです。先生の名前は音森先生。メガネの女の先生。担任してもらった時はロングだったんですがこの間スーパーで見かけた時にはボブになってました。やっぱり人間20年もあると変わるもんですね。ていうか20年もあったら異動とかもありそうなもんですが。ないのでしょうか。どうでもいいですかね。

 さて、なぜ今日私があなたに手紙なぞを寄越したかといいますと、話せば長くなるのですが、いやこれが言いたかっただけで全然長くはならないのですが、単純に暇だったからです。嘘です。一人で寂しかったからです。迷惑ですね。なので久しぶりにあなたと会話でもしようかと思い立ったのでございます。会話なんてしたことありましたっけ。まあそれはともかく。

 あなたはトイストーリーが大好きだったということを覚えています。トイストーリーの登場人物たちの魅力を一人一人丁寧に丁寧に語りまくって喋りたてては、どのクラスの誰からも疎まれていましたね。それでも懲りずにのべつまくなし喋り散らかして、あなたクラスの女子を泣かせてましたね。

 ひさしぶりにクラスメイトとコンタクトしたと思ったら自分の黒歴史なんか蒸し返されてごめんなさいね。

 私もこの休みでトイストーリーを観ました。

 あれ、すごいですね。おもちゃが動くだけじゃないんですねあれ。

 登場人物はみんなそれぞれ個性があって、自信家だったり臆病だったり、でもみんな仲良く持ち主を楽しませる仕事をしている。みんな自分が遊ばれなくなって、大切にされなくなることが怖いってことを理解してるから、みんながみんなを大切にしている。している?たまにしなかったりもするかもしれない。わかんない。けどすっごい感動して、そのままの勢いで2も3も4も観ちゃった。4はちょっとアレ?て思ったけど、でもどれもすごい面白かったです。

 感想、薄いですね。

 なんでこんなに薄いのかと言いますと、私が手紙なんて書いたことがなかったからです。

 文通武者修行というものを知っていますか。

 山奥にたった一人こもって、身近にあるのは便箋封筒切手とペンだけというそれはそれは過酷な環境に身を置いて文通にむしゃ狂うという壮絶なものなのですが、私もそんなことをやってみようかと思い立ちまして。まあ私の目の前にはあんパンとおにぎりもあるしデスクライトもあるし、便箋封筒だけじゃなくてその他花札やら参考書やらルービックキューブやらが堆く(うずたかく)、もう一種の民族的家屋の様相を呈していると言っていいほどに積まれていまして、まずあなたの住所なぞ知る由もないからスマホで同窓会グループを開いて、でもそこからペンを持つのがめんどくさくなったから結局スマホでラインを送っているのですが、まあこの文章を読んでいる時点でお気づきというか不思議にすら思わなかったかもしれませんが、なので文通がなければ武者修行でもないという破茶滅茶なコンディションなのですが、まあいいでしょう。

 そして手紙を書いたことがない人間が無理に文章を書こうとすると、こうなります。

 私はこれから文章を書く才をめきめきと伸ばして、世界人類80億人と文章力だけでほんわか仲良くしてやろうという魂胆がございます。なのであなたは記念すべき一人目の私の友達ということになります。喜べ。

 さあここまで長く書きましたが、私がしたいことは至極単純で、つまりあなたと文通がしたいということです。文通という言い方が嫌でしたらメールでもいいですけど。ラインはなんかノリが軽いからちょっと避けたい。

 お返事なんかくれちゃったりしないだろうなとか、そもそもこれ既読なんかついちゃうのかなとか、まずラインでこんな長い文章書くなよなとか思いながら、お返事いただけたら幸いです。 田中ヒロタカ

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