第六十五話 終章
「……み。宵闇」
誰かが私の名を呼んでいる。カラヒノタチ様の長い時間の記憶を辿っていたせいか、酷く懐かしい声が聞こえてくる。
ゆっくりと目を開けると、そこには必死に呼びかけている葵様の姿があった。
「……葵様」
「良かった」
周りを見渡すと、ここは癒しの池の中のようだ。
「……癒しの池? 秋の国に戻ってきたのですか?」
「ああ、そうだよ。全て終わった。もう、心配は要らない」
「よかった!!」
癒し池に浸かりながら私が倒れた後の話を聞いた。
瘴気を生み出していた春隣様が消えたことで冬の国に溢れていた瘴気は神祇官や衛門府の人達によってかなり薄まっているようだ。
玄帝様はやはり瀕死の重傷をしていて冬の国の癒し池にそのまま送られて今は大分回復されたらしい。
そして冬の国を守っているフユクニ様は結界を解き、平常時に戻るように動いているようだ。これは各国を守る神様も同じでアキコク様も秋の国の結界を解いたと聞いた。
私と白帝様が癒し池に浸かっている理由はやはり神の力を全身で受けとめたからだ。
白帝様は修行を行っていたため、力を受け取るための身体は出来ていたが、やはり膨大な力を受け止めるのに身体が悲鳴を上げたようだ。
私は祠に入って修行をしているわけではなかったため、白帝様よりも身体の負担が大きかった。
こうして二人とも治療をしている最中なのだが、気になるのは四季殿のことだ。
番紅花様は私が目覚めていない間に神様への報告をしてくれていたらしく、神様から二人の身体が回復するまで四季殿での風読みは行わなくていいと言われたようだ。
今は山吹様がアキコク様を通じて風読みに準じたものを行っているのだとか。
「白帝様、準備は出来ています」
「宵闇、では行こうか」
「はい!」
治療を終えた私と白帝様は再び乞う四季殿に向かった。
【完】
神々の遠い記憶を継ぐ者最後までお読みいただきありがとうございました!!
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