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神々の遠い記憶を継ぐ者  作者: まるねこ
第三章 覚悟の先にあるものは

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第五十一話

宵闇よいやみ、不安は迷いを生じさせます。そうならないためにも新しい白帝はくていや神様にしっかりと相談しなさい。神様は宵闇よいやみの言葉に応えてくれるでしょう」

蒼帝そうてい様、ありがとうございます。急いで国に戻ります」

「ええ、無理しないように」


私は一礼し、春光はるひかり様と一緒に社を後にした。春光はるひかり様の表情は優れない。過去の件から思うところがあるのだろう。


宵闇よいやみ様、裏切者が誰か分かりますか?」

「いえ、全く分からないです。春光はるひかり様は誰か思い浮かぶ方がいらっしゃるのですか?」

「……全くない訳ではありませんが、本当に裏切ったのかも分からないですし、はっきりとはまだ決まったわけではないので……」


「そうなんですね」

「そちらの方は私も少し調べてみるので宵闇よいやみ様は悪しきものの討伐に全力を注いで下さい」

「分かりました。春光はるひかり様、お気遣いありがとうございます」


そうして私達は神祇官じんぎかんに到着すると、私が来るのを待っていたように二人の武官が私を見つけ礼を執っている。


宵闇よいやみ様、武官が秋の国まで護衛に付きます。どうかご無事で」

春光はるひかり様、ありがとうございます」


私はお礼を言って秋の国に向けて発った。


春の国に入る時は力技で入ってきたけれど、出る時は問題なく結界から出ることができた。やはり自分の羽根で飛ぶことが出来るのは嬉しい。


まだ少し痛みはするけれど、一刻も早く自国へと戻りたい。


結界を出てしばらく飛んでいるが、まだ瘴気しょうきが増えている様子は見られない。やはり白帝はくてい様の力が悪しきものに効いているのかもしれない。


宵闇よいやみ様、我々はここまでとなります。また何かあればすぐに知らせをお送り下さい」

「ここまで送っていただき、感謝します」

宵闇よいやみ様!! 宵闇よいやみ様が戻られたぞ!」


秋の国の周辺を警備していた武官達が私を見つけ駆け寄ってきた。


秋の国の入口まで送ってくれた武官にお礼を言って結界に触れる。問題なく通れることにホッとする。


……なるべくならもうあの衝撃は受けたくないよね。一人心の中で苦笑する。


宵闇よいやみ様、よくぞご無事で」

「ええ、なんとか。羽根が折れて人間界に落ちたんですがこうしてなんとか戻ることができました。すぐにあおい様の元へ向かいます」


私は逸る気持ちを抑え、神祇官じんぎかんへと向かった。


宵闇よいやみ様、よくぞご無事で」

宵闇よいやみ様が戻られたぞ」


やはり秋の国の人達はいつでも悪しきものと対峙できるように帯剣し、歩いている。


宵闇よいやみ様、おかえりなさい」

千日紅せんにちこうさん、今、どのような状況になっていますか?」

宵闇よいやみ様が番紅花ばんこうか殿を連れて戻られた後、番紅花ばんこうか殿はいやいけで回復し、今は四季殿しきでんの近くにいている悪しきものを武官達と討伐中です」


あおい様に動きはありましたか?」

「いえ、山吹やまぶき様が社に入られたくらいです」

「分かりました」


橋に渡れなくても周辺には瘴気しょうきが濃く、悪しきものがきだしていた。


「悪しきものの状況や四季殿しきでんの状況は入って来ていますか?」

「はい。定期的に神祇官じんぎかんの者と武官達が交代しながら情報を得ています。橋の前にいた悪しきものは二十体ほど確認されています。


そのうち六体は秋の国方面あとは七体冬の国。四体は春の国、三体は夏の国に向かい各国の神祇官じんぎかんに連絡し、今は討伐している最中です」


「七体は多いですね。大丈夫でしょうか」

「苦戦しているようですが、各国の結界に阻まれているため協力することができないのです」

「悪しきものは結界をすり抜けているのですか?」


「それが……。何かに誘われるように結界をすり抜けるように移動し、結界に入るらしいのです。結界の外からは抗戦する音は聞こえてきました」


悪しきものは堕ちた天上人てんじょうじんなのか?あの大きな悪しきものの力は堕ちた神ではなく複数の天上人てんじょうじんのものなのだろうか。


四季殿しきでんの中の方はどうなっているのか分かりますか?」

「橋を渡れませんが、報告によると、四季殿しきでんは壊れているものの、悪しきものの存在は確認はできていないようです。ただ、弱い瘴気しょうきが出続けているため早々に白帝はくていを立て、四季殿しきでんの中を確認しに行くことになっておりました」


「分かりました。千日紅せんにちこうさんはそのまま報告の取りまとめをお願いします。私はあおい様のところへ向かいます」

「わかりました」


宵闇よいやみ様、ようやく戻られたのです。あまり無理をしては……」


千日紅せんにちこうさんが眉を下げて心配している。その気持ちは痛いほど分かる。きっと私はまた無意識に無理をしているのだろう。


こうして心配してくれる人がいることで気づかされる。


「心配してくれてありがとう。あおい様と話をして神様に報告した後、私はいやいけに向かいます」

「わかりました」


私は千日紅せんにちこうさんの報告を受けながら自身の報告書を書いていく。その後、あおい様の元へと向かった。

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