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神々の遠い記憶を継ぐ者  作者: まるねこ
第一章 神祇官へ
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第十話

いやいけには既に何人かの名無ななし様が入っていたようだ。


宵闇よいやみ衛門府えもんふより許可を受け、いやいけに着ました」

宵闇よいやみ、入りなさい」


萌黄もえぎ名無ななし様が応えた。私はゆっくりと池の端に入る。


宵闇よいやみ封印ふういんの玉を作ることができたと聞いたよ」


あおい名無ななし様が笑顔で話しかけてきた。


「はい! あおい名無ななし様、今日、悪しきものが鯉柄こいがら山のほこらに出現していて初めて一人で悪しきものと戦ったんです。でも、私の薙刀なぎなたでは全く傷つけることが出来なくて、結局、応援に来てくれた火影ほかげ様が倒したんですけどね」


私は今日の出来事をあおい名無ななし様や他の名無ななし様に話をする。


宵闇よいやみは頑張っているんだね。でも君が作る封印ふういんの玉のおかげで僕たちも頑張れる」


私の封印ふういんの玉のおかげ?


意味が理解が出来ずにいると、よもぎ名無ななし様が話してくれた。


宵闇よいやみ、私達は常日頃、白帝はくていになるため修行しているのは知っているな。神祇官じんぎかん封印ふういんした悪しきものはかくしやしろに集められるのだ。そして私達が封印ふういんを解き、悪しきものを消滅させる作業を行っている」

封印ふういんを解いて悪しきものを消滅させるのですか」

「そうだよ。今回は強かったからこうして僕達数人掛かりで完全消滅させたんだ」


……知らなかった。


衛門府えもんふの武官達では倒せない時に神祇官じんぎかん白帝はくてい様が悪しきものを封印ふういんする。それをかくしやしろ封印ふういんを解いて悪しきものを消滅させていたようだ。



普段、衛門府えもんふの武官達は悪しきものを倒しているのだが、厳密に言えば悪しきものは瘴気しょうきと同じで消滅はしていない。様々な手法できり散させているという感じに近いだろうか。倒して瘴気しょうきが集まらないように処理をする。だが完全な消滅ではない。極端きょくたんに言えば濃い瘴気しょうきの中に倒した悪しきものを放置していれば元通りに復活してしまうのだ。


白帝はくてい様や名無ななし様は悪しきものを完全に消滅させることができる。封印ふういんの玉は動けなくなった悪しきものを玉に閉じ込めているが、完全な死ではないため、相手も封印ふういんが解かれた時に必死に抵抗するのだろう。


衛門府えもんふの武官が攻撃し、散らすことしかできないのに消滅させるのは凄いとしか言いようがありません」

「そんなことはないよ。武官達が弱らせてくれているおかげで僕達は消滅させることが出来る。今回は少しばかり強くてみんなでこの池に来ることになってしまったけどね」


あおい名無ななし様は苦笑いをしながら話す。


「先ほど宵闇よいやみ封印ふういんした玉が衛門府えもんふより送られてきたから今頃、別の者が消滅させているでしょう。封印ふういんが出来る者は少なく、難しいのです。宵闇よいやみのおかげで私たちは沢山修練を積むことができてとても助かります」


萌黄もえぎ名無ななし様が優しくゆったりとした口調でそう話してくれた。


「わ、私。皆様のお役に、立てているんですね。もっと、もっとお役に立てるように、頑張ります!」

宵闇よいやみ、無理しないでね」「はい!」


私の傷は深く無かったのですぐに回復し、いやいけから出た。私よりも先に来ていた名無ななし様達はまだ回復ができていない。どれだけ深い傷を負っていたんだろう。少し心配になりながらも名無ななし様達に礼をして神祇官じんぎかんの部屋へと戻っていった。


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