第六話
というのは冗談で異世界アスタナに俺は残ることにした。八割本気で帰ろうとしたが、縋りつくクロノスと頑ななボノボ呼びに根負けした。だが、心なしかクロノスは機嫌よさげにしている。それを見て仕方のない奴だと、少し喜んでいる自分もいた。
「ボノボ!それじゃあ浮いたこの10000DPの扱いを決めるか!」
「うぉー!祭りじゃー!」
ジェニファー二世を取り囲むように俺たちは適当に踊った。クロノスに頼まれて、1DPでお祭りの法被を購入した。…無駄な支出は避けたいが、今日という日はキックオフ記念日だ。少しくらいは目を瞑ろう。クロノスが法被を受け取って微妙そうな顔をしている。
「ボノボ、これ…」
クロノスが不満げにそれを広げると、ナイロンの素材がテカテカと光る。
「安い奴やん…。これ、見たら分かる安い奴やん!こういう法被は綿でちゃんと作らんと!」
心の中のお祭り男がたまらず主張した。クロノスは不承不承といった様子で法被を羽織る。しかし背中がビリッと破れた。
「…着たら分かる安い奴やん!背中とか一番破れたらあかんよ!大抵なんか紋章が入ってるんやから!」
クロノスが洞窟の入り口を見て、何かにとりつかれたように言う。
「ダイスケ、あれを見てみろ!」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
そこで慎吾が目にしたものとは!?
そこにはしっかりと編成が組まれているであろう冒険者のパーティーが!
「見たら分かる強い奴やん!」
「っておい!ボノボ!やばいよ冒険者が来ちゃったよ!しかもパーティーで!」
正気に戻り、ダンジョンの入り口を見ると四人組の冒険者が今まさにダンジョンに入ろうとしていた。まぁ、ぶっちゃけヴィイの報告から、冒険者の団体が東の村からくるのは知っていたんだが、その時は地球に帰る気満々だったので無視していた。
「ボノボ!どうしよう!このままじゃ攻略されちゃうよ!」
クロノスは慌てふためいていたが、俺はそこまで動じていなかった。経営をしていると不測の事態はつきものだ。それに…。
「クロノス、俺たちが造ったダンジョンを信じろ。初見で攻略されるほどやわじゃないさ」
丁度二階層でサラマンダーが冒険者の松明の火を食べた。よっし!やっちまえ!ゾンビーズ!しかし冒険者は灯りが消えても冷静に魔法を唱える。
「ホーリーライト!」
冒険者の周りが光る玉で照らされる。ゾンビはたまらず逃げていった。冒険者たちは悠々と梯子を下りて三階層につく。あれ、おかしいぞ?
「ボノボ!ボノボ!あいつらちゃんと対策してきてるよ!」
「ええい!ボノボボノボ、連呼するんじゃない!三階層は相手にとって未知の領域だ!ここからが勝負!」
しかし冒険者は危なげなく、ハイゾンビ(700DP)、サムライゾンビ(1200DP)を倒した。そのままスカルアヴェンジャー(1700DP)に差し掛かる。たらーと汗が伝った。
「きゅ、きゅ、きゅ、キューブ!なにか一番強いモンスターを召喚だ!」
ドラゴン(5000DP)を召喚します
「キューブ!キャンセル!キャンセルだ!」
クロノスがパニックになった俺を慌てて止めに入る。
「馬鹿!ドラゴンなんて呼んだら、モンスター全部燃やされちゃうよ!」
「でも、このままだと攻略されちゃうぞ!」
クロノスは情けない姿の俺を見て、冷静にモンスターをピックアップする。
「僕たちの権限で呼べるモンスターは5000DPまでだ。デスナイト(5000DP)、百骸(5000DP)、ヴァンパイア(5000DP)。百骸はデスドクロの最終進化先だ。ヴァンパイアは知能が高すぎて、強者以外に従わないから、呼ぶならデスナイトだ」
映像を凝視する。今、スカルアヴェンジャー(1700DP)が冒険者たちに一矢報いて倒れた。だが、その傷も聖属性をもった冒険者によって回復される。
「くそ!聖属性なんてピンポイントに持って来やがって!」
「ボノボ!どうするんだ!」
「四階層を800DPで4廊下分のボス部屋を増築!そこにデスナイト(5000DP)をボスとして召喚だ!」
デスナイト(5000DP)を1体召喚します
4211DP
冒険者たちは突如できた四階層に興味津々だ。彼らにとってソロ冒険者を対象とした三階層はお茶の子さいさいだっただろう。しかし次の階層は冒険者パーティー向けの階層だ。デスナイト行け!
冒険者パーティーはデスナイトを見て賢明な判断をした。自分たちの実力では勝てないと悟り、逃げ出したのだ。デスナイトはその背中を追い、一人殺した。
そしてそのまま聖属性持ちの女冒険者を行動不能にした。残った二人はダンジョンから逃げ出した。聖属性持ちの女は意識を失う。
≪冒険者(1300DP)を殺害しました≫
≪冒険者(700DP)を撃退しました≫
≪冒険者(700DP)を撃退しました≫
6911DP
俺とクロノスは通知を見て、思わずふう、と息を漏らした。よくよく考えたら10000DPもあったのだ。攻略まではされないはずだった。クロノスが不思議そうに通知を見て言った。
「あれれ?おかしいぞ?なんで三人分しか通知がないんだ?」
それを聞いて目を剥いた。
「まさか…。デスナイト!」
デスナイトがダンジョンマスター部屋に転移する。デスナイトは暗黒の甲冑を身に纏った騎士だ。その手には人間の女が握られている。その女を受け取ると、女はまだ息をしていた。クロノスがハッと息をのむ。
「これは…」
「そうだな。初めての捕虜だ」
デスナイトのファインプレーでダンジョン経営がより一層ディープなものになる気がした。
side アシェリー
私が牢獄の中に入ってから、一週間が経ちました。鉄格子と小さなトイレ、硬い地面に目の前には真っ白な空間と扉。そしてたまに出てくるパンと水。無理やりつけられた紋章。私は一週間も放置されて弱り果てていました。次第にシンプルな情報でこの世界は完結している、そう思うようになりました。
しかし、今日、私たちを倒したデスナイトが新たな男を連れてきました。その男は私の隣の牢獄でとらえられると、数時間経って目を覚ましたようです。
「おい!ここはどこだ!」
男は目を覚ますと大声をあげて暴れだしました。
「この程度の檻、僕なら簡単に壊せるぞ!」
男は力に自信があるのか鉄格子を曲げようとしているようです。数分間格闘しているようでしたが、力のない声で「だめだ」とこぼすと、大人しく現実を受け止めました。男に声をかけてみます。
「…この紋章をつけられると、源力も腕力も制限されてしまいます。体力は温存しておきなさい」
「だれだ!」
男はいきり立ちます。
「隣の牢獄のアシェリーです。落ち着いてください」
男は尋ねます。
「お前、奴らの仲間じゃないのか?」
「信心の神に誓って邪悪なものの仲間ではありません」
男は少し考え込むと一応は信じてくれたようです。
「僕はシンジだ。アシェリーはいつからここに?」
「七日前からです」
「君もあのデスナイトにやられたのか?」
「その通りです」
「ていうことは、僕らはデスナイトに捕らえられた捕虜って訳か」
私は捕虜という言葉を第三者から聞いて、自分の置かれている状況を客観的に見ることができました。
「捕虜...。それが一番正しい表現ですね…」
気持ちが暗く沈みます。きっと仲間に心配をかけているでしょう。そして、これからのことを考えると、私はろくな死に方ができないような気がしています。シンジが尋ねます。
「アシェリーはどの村からここに?」
「ブナ村です。あなたは?」
「僕もブナ村だ」
「そうですか…。入れ違いだったのかもしれませんね」
「僕は村に伝染している病の調査に来たんだが、その調査の一環でダンジョンに潜ったんだ。そしたら、こんなことに…」
「そうなんですね…。私は村で広がっていたダンジョンの情報をもとにここまで来ました。どうやら、近くに簡単なダンジョンができたと。その言葉をうのみにして、奥まで探索するとデスナイトにやられました」
「僕たちはこれから一体どうなるんだ…」
シンジが頭を抱えている様子が目に浮かびます。私も頭を抱えたい気分でしたが、それをしていても現状は変わりません。すると、扉が開き少女、いえ、悪しきリリスがやってきました。リリスは言います。
「お前たちにチャンスをやる。村の様子や、街の様子について情報を持っているものは申し出ろ」
「誰がお前なんかに情報を渡ーーー」
「僕は持ってるぞ!」
シンジが声を上げました。私はシンジを非難します。
「シンジ!駄目です!そんなことをしたら村や街の人々が!」
「構うもんか!情報を提供したら出してくれるんだな?」
リリスは満足そうにうなずきます。
「もちろんだ。生きた人間を捕まえていても、情報を得る以外にメリットはないからな」
牢獄から解放され、奥の部屋へ出ていくシンジの後姿が見えました。
「この裏切り者!」
シンジはそれを聞こえていないふりをしました。私は一人取り残され、恐怖心にとりつかれます。シンジが村についてすべて話していたら、私の存在価値は無くなります。そうなると、殺されるのでしょうか。いえ、殺されたとしても私は魔に屈せず気高く死ぬのです。それだけで満足でした。あの恐ろしい男がやってくるまでは。
少ししてシンジが黒い布を被らされて牢獄に戻ってきました。シンジと一緒に男は部屋に入ってくるとドスのきいた恐ろしい声で言いました。
「俺はダンジョンマスターの魔王だ」
「人間がダンジョンマスター!?ありえない!なんて悍ましいこと…」
「そういう反応をされるのか…まぁいい、今からお前には死より重い罰を受けてもらう」
「罰?私が何の罪を犯したというのでしょうか!私は正しい行いをしています。あなたに審判される筋合いはありません!」
「いいや、お前は罪を犯した。お前には融合素材になってもらう」
「ユウゴウソザイ?」
「モンスターとお前を融合させて、新たなモンスターを作るのだ。そしてわが軍の忠実なしもべになってもらう」
それを聞いて青ざめました。そんなことしたら魂がけがれてしまう。私は懇願しました。しかし魔王は取り合ってくれません。横で見ていたリリスが言いました。
「持っている情報を言え。男と違っているところがあれば、お前と男を両方素材にする」
「なっ!そんなのシンジが嘘をついていたら、私は絶対に素材になるじゃない!」
シンジは何も言いません。男が言います。
「お前にできることはこの男を信じて真実を言うことだけだ」
男は一つずつ質問していきました。すべて正直に答え、分からないことには素直にわからないと言いました。主に周辺の地理や、文化、風習、一般常識などを聞かれました。男は満足すると、声のトーンを上げました。その声はどこか聞き覚えのある声に代わり、私は男の正体を悟りました。
「シンジ...。まさかあなた!?」
「昔から、声真似は得意なんだ。アシェリー。僕が、いや、俺がダンジョンマスターだ」
「嘘でしょ…?じゃあ私は…」
「いやはや、バレバレかと思ったが、顔と声が一致してないと、案外分からないんだな」
隣の牢獄から、黒い布を被った何かが出てきます。男がその黒い布をとると、そこにはゾンビが居ました。
「私は…」
「意外と簡単に口を割ってくれて助かったよ。拷問とかやり方わからないし、尋問用のモンスターも高いからな。適当なことべらべら喋らせないために一芝居打たせてもらったぞ」
そういって男は私を部屋から連れ出します。私は…
side 築地慎吾
女は完全に心が折れたようだ。1週間も寝かせた甲斐があった。虚ろな目で何かをぶつぶつ呟いている。いやー、しかしよく上手くいったなこんな作戦が。まあ別に失敗しても大した問題じゃなかったからいいんだが。それに念願の人間へのインタビューができた。これが何を意味するかというと、村へ密偵を放つことができるということだ。
今まで俺を使って村の情報を集めようと思えば、集めることができたが、この世界の風習を知らなさ過ぎて、さすがに怖くていけなかった。だが、アシェリーからの情報によると、そこまで警戒しなくてもまあ問題なさそうだった。
隷属の紋章(2000DP)、ダンジョンマスター部屋の拡張(1000DP)、牢獄セット(500DP)×2、合計で4000DPが溶けた。が、これも設備知名度向上だ。DPは溜めてても増えない。それよりもワクワクの融合タイムだ。
捕らえた人間は5000DPを使って既存のモンスターと融合させ、強力なネームドモンスターを作ることができる。
「ボノボ!どうする?」
迷わず答えた。
「デスナイト(5000DP)と融合させて、最強のモンスターを作る!」
俺は拳を握りながら、熱弁した。クロノスはそれを聞いて呆れた顔をする。
「はぁー。ボノボは何にも分かってないね」
「ほほぉ。クロノスのプランも聞かせてもらおうか」
「まずね、融合の最大のメリットは人型のモンスターを作れるっていう点なんだ。デスナイトは元々人型だろ?」
「確かに…」
「それにこの人間は聖属性持ちだ。アンデッドと混ぜるなら慎重に混ぜないと」
「なるほどな!もし誕生したモンスターが聖属性持ちだったら、ダンジョンにおいておくと他のアンデッドに干渉してしまうか。となると…」
「僕の中ではヴィイ(1500DP)一択だ。DPをかければいいモンスターが出てくるわけじゃないのが配合だ。それに密偵が欲しかったんだろ?一匹北の村から帰ってくるよう命令しておいた」
クロノスはモンスター絡みになると圧倒的に手際がいい。クロノスの言う通りヴィイを呼び出し、女と並べる。
「キューブ!融合だ!」
冒険者(女)とヴィイを融合させます
ー389DP
DPが足りません
うっかりしていた。DPを牢獄やモンスターの補充、洞窟の拡大に費やしたせいでDPが4611DPしかない。
「あぁん!もう!なにやってんだよ!」
「悪い、悪い。でもちょうどよく村人が入ってきたぞ!死ね!」
村人は一階層をそこそこにして、二階層に挑んだ。クロノスがゾンビを応援する。
「いけいけゾンビ!おせおせゾンビ!死ーね!押ーせ!やっちまえ!ファイト!」
クロノスに続く。
「「いけいけゾンビ!おせおせゾンビ!死ーね!押ーせ!やっちまえ!ファイト!」」
二人の声が狭いダンジョンマスター部屋に響く。
「「死ねっ!死ねっ!死ねっ!死ねっ!」」
急にボルテージの上がった俺たちに女は意識を取り戻したようだ。女は震える声で呟く。
「あなたは人間じゃない」
俺は律儀にもそれに答えた。
「確かにダンジョンマスターや元ダンジョンマスターは食事も睡眠も排泄も必要としない。その点においては人間じゃないな」
女はそれを否定する。
「違う!そんなことよりあなたは人としておかしい!狂ってる!」
驚いた。元妻に言われた言葉と同じだった。人としておかしいのはどうやらダンジョンマスターになっても変わらないらしい。
「なんだ?謝ってほしいのか?」
「…謝りなさい!すべての死者に!謝りなさい!」
それを聞いてため息を吐く。どうやらあれをするしかなさそうだ。俺は両手を地面に平行にあげて、広げる。
「あーい!とぅいまてーーん!」
本意気のですよをダンジョンマスター部屋でやると、あたりは嫌にしんと静まり返った。クロノスは興が冷めた様子で告げた。
「ほら、村人死んだぞ」
≪村人(390DP)を殺害しました≫
5001DP
冒険者(女)とヴィイを融合させます
1DP
女は最後に何か言いかけて、キューブに吸い込まれた。キューブが黒い煙を吐く。初めての演出だ。期待に胸が高鳴る。黒い煙が晴れて出てきたのはアシェリーにそっくりだが、右目だけが眼帯で隠されている女だった。信心深そうで利発な顔立ちがそっくりだった。まあ本人だから似てるのは当たり前か。その女は俺たちを見て片膝をつく。
「魔神様、魔王様。お初にお目にかかります」
殊勝に挨拶をすると慇懃な姿勢を保ったまま俺たちにある要求をした。
「もし許されるのならば、名前をいただけないでしょうか」
ネームドモンスターはクロノスが名付けたいといっていたので俺はそれを譲った。
クロノスはあらかじめ決めていたようだ。迷いなく宣言する。
「お前の名前は魔神の眼、ジェニーズアイだ」
魔神の眼、ジェニーズアイは恭しく頭を下げると、それを受け取った。魔王としてジェニーズアイに尋ねる。
「魔神の眼、ジェニーズアイ。お前はなにができる?」
ジェニーズアイははきはきと答える。
「私は聖属性の魔法。遠視。透視。左目の複製、統制。映像の投射などができます」
これはすごい。能力てんこ盛りだ。
「左目の複製ってなんだ?」
ジェニーズアイが眼帯を外して答える。露になった眼は異常に大きくヴィイの名残を感じ取れた。
「私はこの左目で見たものを遠隔でキューブに送ることができます。そして、この左目は10匹まで複製でき、置いた場所からその場所を監視できます。それは権限があれば動かすことができます。音声も受信できます。空に飛ばすことはできませんが、空を飛ぶモンスターなどの眼に取り付けると、上空から映像を見ることができます」
思わず言葉を失った。彼女の言っていることが確かなら、ヴィイが11体に増えて、なおかつ陸海空すべてにおいて監視することができる。16500DP以上の戦力アップだ。
クロノスが手を叩いてはしゃぐ。
「しかも、ネームドモンスターだからこれからどんどん成長するぞ!」
そうネームドモンスターは他のモンスターと違い成長する。他のモンスターも成長するがそれは進化という形で表されるらしい。それはDPに表されないが、大きな戦力アップだ。彼女とは末永いお付き合いになることだろう。クロノスが嬉しそうにしている。
「ねぇねぇ!ボノボ!こいつも配下に加えていいよね?」
それをきいて渋い顔をする。
「おいおい、俺は配下になるまで何日も下働きだったぞ。そんなポンポン増やしていいのか?」
「ボノボとズアイは土台が違うよ!決めた!ズアイは魔王軍、序列一位だ!」
俺はそれを聞いてなぜか部下をランキング付けしてパワハラで訴えられかけたことを思い出した。というか序列一位もくそも一人しかいないが…。それでもジェニーズアイ略してズアイは歓喜に震えている。
「身に余る光栄です。魔神様」
「ズアイ、早速で悪いんだが、出張だ。前世の記憶はちゃんと消えてるよな?」
「あなたたちの存在以外の記憶は消えております。魔王様」
「じゃあここにマニュアル書いてあるからこれ読んでまずは西の村、シラカバ村に行ってみてくれ。くれぐれもアシュリーを知ってる冒険者には気をつけろよ。一応インタビューでアシュリー自身のことも聞いたけど、この情報だけはあまりあてにはしないでくれ」
あくまでシンジとアシュリーが共通して持っているのは一般常識だ。プライベートなことは嘘つかれてもしょうがない。
「求める情報は冒険者の間でのこのダンジョンの立ち位置。街の情報に村の情報。ざっくりとしてるがダンジョンに有益な情報があればどんどん集めてくれ。あと、ミズナラ村とブナ村に左目をつけたモンスターをヴィイと交代させるから二つ目をくれ」
「ここからは可能であれば、だが街を見つけて左目を置いてきてほしい。欲を言えば街の中にも。冒険者ギルドの情報が取れたら言うことなしだが、絶対に無理はしないでくれ。報告は毎晩欠かさずキューブに送信すること。分かったか?」
「承知いたしました」
ズアイは颯爽と目的地に向かった。いざとなればズアイには聖魔法がある。適当にごまかして人間の振りもできるだろう。さてと、色々遊んでいておざなりになっていたダンジョン造りだが、ダンジョンはどんどん人を集めていたため、拡張した。
冒険者から女、子供まで幅広くターゲティングされたこのダンジョンは少々手狭になりつつあった。
一階層に1200DPを追加して、合計2400DP。歩いて90分の大きさだ
二階層は1280DPに1120DPを使っているので、こちらも合計2400DP。歩いて45分の大きさ。
三階層は1300DPに1100DP追加して、こちらも合計2400DP。歩いて22分の大きさ。
四階層は800DPに1600DP追加して、こちらも合計2400DP。歩いて11分の大きさ。
ダンジョン拡張にはDPがかかる。でも拡張は予定だとここまでだ。
今は手持ちのDPがない。できることだけやっていこうか。そこに都合よくソロの冒険者が来た。冒険者はゾンビ狩りもそこそこに三階層に降りる。そこで黒霊騎士とエンカウントし逃げのびた。
≪冒険者(700DP)を撃退しました≫
701DP
クロノスに依頼をする。
「DPが低くて、空飛べるズアイの眼を入れることのできるモンスターは居るか?」
クロノスは質問する。
「まだ、アンデッドにこだわる?ヴィイは日中だと日陰しか歩けなかったよね。ズアイは人間が混じってるから日中も行動できるけど、眼を入れられたモンスターはアンデッドだと日中は行動できないぞ」
その問題にぶち当たるか。アンデッドにそろえてきた理由。それはシナジーがあったからだ。一番でかいのは暗い洞窟とアンデッドの特性。太陽に弱いというデメリットを克服しつつ、暗い洞窟でも問題なく行動できるというメリットがあった。ヴィイをアンデッドにした理由はピンチの時の洞窟での戦力になるためだった。
今回は戦力は期待していないから、アンデッドじゃなくてもよい。だが、俺はあえてアンデッドを召喚する。そろそろキューブにも性格が出てくるはずだ。
「あ、あぁ。そうだな。350DP位の低級で良いから空飛べるアンデッドを教えてくれ」
「それじゃあ、スカルフライ(350DP)がぴったりだね!日中はヴィイみたいに日陰から村を監視してもらおう」
「その村のことだが、そろそろ一階層の採算が合わなくなってきた。もはや俺たちのメインターゲットは完全に冒険者たちになっている」
「あれ?一階層は金のなる木じゃなかったけ?」
「まあ、まだ一応黒字だが得られるDPは雀の涙ほどだ。もう完全に負け犬だな。早いとこ撤退して冒険者の割合を確保しよう。だが、その前にやるべきことがある」
村の男(400DP)は歩いてきたり、馬車に乗ってきたりするが、1日12人が馬車で来れるマックスのようだ。村の男が多いと冒険者の座る席が圧迫される。細かいニーズを拾うのは大切だが、それで主要なニーズが圧迫されてもしょうがない。
クロノスはハッと息をのむ。
「それはーーー」
「やったー!」
「…まだ言ってないが」
簡単な話、ジェノサイドの始まりだ。
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