第十七話
今の合成優先度は魔晶石>血染めのトレント>メガアシッドクラウド>牛頭>その他のモンスターだ。
今は特注の魔晶石(大)でダンジョン全体の瘴気を管理しているが、隅々まで管理できていない。現在三階層のこのダンジョンの各層に魔晶石(中)を一つずつ置き、さらに魔晶石(小)を各層に30個は置きたい。
そしてこれは予想だが、魔晶石自体がインセンティブになる可能性がある。魔晶石の性質として瘴気を吸収する性質があるが、これを利用すれば瘴気のせいで立ち入りできなかったエリアも解放できる。それだけではない。俺が瘴気を使ってモンスターを合成するように、人間側も瘴気を活用できるようになる可能性がある。
この話はレイラから聞いた話だが、瘴気というのは魔素という物質の塊で、本来人間は魔素を扱えないから体内に入ると毒になってしまうらしい。しかしこの魔晶石は魔素を人間が扱える源素に変換することができる。人間は源素を使って魔法を放つが、魔晶石を使うことで源素を回復することができる。
簡単に言えば、MP回復のポーションに魔晶石がなるということだ。他にも精霊と合成した火属性の魔晶石、火魔石なども超レアなお宝として重宝されるだろう。火魔石があれば、魔法が使えなくても簡単に高威力の魔法を放つことができるからだ。単純に吸い込んだものを吐いているだけなんだが、たいていの魔物には効果てきめんだろう。
次に優先度が高いのは血染めのトレントだ。これはダンジョンを構成する要素として大量に欲しい。現在、牛頭とダブルデスワーム、ゴブリンたちによって拡張されている一階層だが、ここは森の階層にしたい。森には亜人科、魔獣科、が住めるようにする。ちなみにモンスターは亜人科、魔獣科、自然科、合成科に分類できる。
二階層はメガアシッドクラウドを利用し湖を作って自然科、魔獣科(水棲)を中心に呼び込む。
三階層は合成科と高DPモンスターが闊歩する高難易度エリアだ。
合成作業が百手の影に引き継がれると、俺は久しぶりに一息つくことができた。時間があったので各層を見て回る。トレントにはダミーの木を生み出す能力があるため、それが順当に継承されていれば十分な広さの森を造ることができるだろう。
メガアシッドクラウドも稼働中だ。湖はノーム、牛頭、ダブルデスワーム、ゴブリン部隊がエリアを拡張し続けている。ズアイの目で全階層を確認するが、徐々に生態系ができ始めている。元々は廃坑だったとは信じられないほどの拡張っぷりだ。
もちろん崩落などしないように土の精ノームには魔法で地盤をいじってもらっている。異世界パワーで地球ではありえない地下帝国を造ることができた。
ちなみに光源としては一階層は血染めのトレントが不気味な薄暗さを演出してる。二階層は基本水の中を進むことになる。魔晶石から漏れ出る光でも水棲モンスターにとっては十分な光なのでこちらも薄暗いままだ。三階層には合成科のモンスターがいるのだが、彼らは暗視ができるものとそうでないものが入り混じっているため光の精霊を放し飼いにしている。
さて、後は細かい調整をすればダンジョン自体は機能するだろう。そして俺には侵入者たちに対して一つ良いアイデアがあった。それは題して「冒険者になろう!」作戦だ。
なんやかんや最初の侵入者がきてから24時間経ち、目敏い冒険者がすでにダンジョン前にキャンプを作り始めている。辺り一帯の瘴気を奪ったから職にあぶれた冒険者たちがもうすぐ殺到するだろう。
俺も職にあぶれた冒険者としてダンジョン攻略に参加することにする。そうすることで広い視点で冒険者のニーズを知ることができる。今回は最初から一階層3000DPくらいの人間をターゲットにしたダンジョン作りをしている。二階層は5000DP、三階層は8000DPと猛者を相手取った構成にしているから中々高級志向のダンジョンだ。
方針としては共存共栄は当たり前として、それをさらに貪るようなダンジョンにしたい。こちらは魔晶石を筆頭としたインセンティブが十分にあるから後は良質な顧客を待つのみだ。どれだけの人数が集まりそうかを肌感で捉えるためにも一度冒険者たちと交流してみることにしよう。
意外と冒険者になってみるというのはワクワクするな。早速ダンジョンの外に出てみる。何日かぶりの日光を浴びて目が慣れない。目の設定を整えてから周囲を見渡すと既に50人くらいがキャンプ地の設営に携わっていた。
何も知らないふりしてトンカチを振っている男に声をかけてみた。
「あの、すみません。今、ここで何されてるんですか?」
「ああ?見たらわかるだろ。寝床を作ってんだよ」
「なんのためにですか?」
「おう、兄ちゃんさてはこの国の人間じゃないな?」
「プルル王国から首都に用があって通りすがったんです」
「そうかそうか。兄ちゃんはラッキーだな。ダンジョンができたんだよ。ここに」
「ええ?ミリス神聖国にダンジョンが?」
「ああ、正確にはただの瘴気だまりだがな。何年かに一度ミリス神聖国でも瘴気だまりができてダンジョンができるんだ。たいていの場合、魔物が繁殖するから、そいつを狩る冒険者の財布が潤うことになる。でも大抵一月もしないうちに狩りつくされるから、お祭りみたいなものだな。ほれ、あそこにケニーの旦那がいるだろう?ここで儲けたいなら挨拶しときな」
全体の指揮を執っていそうなやせぎすで長身の白いひげを蓄えた男を見つける。そいつには長蛇の列が出来ていた。とりあえず並ぶと前の三人組の冒険者の話が聞こえてくる。
「なっ!言っただろ?北にいけば必ず良いことあるって」
「ケイ…。これはリブロさんのお手柄よ。横取りしないで」
「いやいや、リーダーの俺が最終的に決断したんだから俺の手柄だろ!」
「あなた全然納得してなかったじゃない。ね!リブロさん」
「誰の手柄かは置いといて。よかったじゃないか。新しいダンジョンをこんな初期に見つけるなんてそうそうないことだ」
俺はこのパーティに話しかけてみる。
「こんにちは、あなた達も南から来たクチですか?」
リブロと呼ばれていたカウボーイハットを被りボウガンを背負った男が愛想よく答える。
「ああ、そうだ。朝起きると突然瘴気がなくなってな。食い扶持を求めてここまで彷徨ってきたわけだ」
「そうですか。僕も同じです。色々情報を集めると北がきな臭くて足を運んでみました」
「ほう。あなたも北に目をつけたのか。やはりこのダンジョンは…」
リブロの話を途中で遮る。
「ここであまりその話をしない方が良いかも知れませんね」
リブロは素早く周囲を警戒する。
「すまない。軽率だったな」
「なあ、リブロさん、何の話をしてるんだ?」
「なに、大した話じゃない。こちらは…。えっと」
「シンジです。武闘家をしてます。あなたたちは?」
「俺はリブロ。こっちの若い二人がケイとアスカだ」
「よろしくな。シンジ」
ケイが手を伸ばしてきたので応じる。
「うお。武闘家なだけあってでかい手をしてるな」
列が前に進んでいく。先頭にいるケニーの会話が聞こえてきた。
「よし。お前はこれで登録された。安心して死んで来い」
やばいやばい。
「あっ!すみません!今知り合いが見えたので声をかけてきます!また機会があれば!」
「ああ、そうだな。またよろしく」
そういって列から抜けると中央の掲示板に向かって行った。掲示板にはモンスターの情報、素材の取引、仲間の捜索願など雑多な情報が記載されている。俺は念のため端から端まで目を通しておいた。リュックに詰め込んだそこそこの素材をうっぱらってある程度の資金を作るとキャンプを見渡した。辺りは日が傾きつつあるが、人の往来は途切れることなく、むしろ勢いを増した。
お祭りという言葉がリフレインする。人さえ増えたら呼び方なんてなんでもいい。俺はふとクロノスのことを思い出した。あいつもつれてくるべきだったか。あいつならこれだけの人を見て有頂天になっていただろう。あいつからの連絡はない。たまに連絡しようかと迷うが、思いとどまっている。
クロノスも忙しいだろう。だからかけない。だが、それはただの言い訳で俺は本当はクロノスから少しの間逃げたかったからかけていないのだった。あいつと向き合ってこれ以上人の情みたいなものが湧いてしまうのが俺は怖かった。
それは俺の目標には邪魔以外の何物でもないし、なによりクロノスが一番それを望んでいないだろう。あいつは人の世界を征服するためにいる。サルに大切にされるなんて見当違いもいいところだろう。
便りがないのは良い便り。クロノスも魔神として頑張っているんだから、俺も魔王として頑張らないとな。そんな感傷に浸っていると他の潜入員ヘパイストスから連絡が来た。
どうやら村のとりまとめ役であるケニーと繋がったらしい。そのまま信頼形成までつなげてほしいものだ。俺は夜の間に魔神教との密会がある。ズアイにミリス神聖国の信者はジル・レイス領北部を目指すように伝えておいた。今晩俺が指定するところに集合する予定だ。
俺はキャンプ地から外れた瘴気の消えた森を選んだ。魔物の消えた森は嘘みたいに静まり返っている。ぞろぞろと魔神教らしき人が集まってくる。全員押し黙って俺の登場を待っているようだ。どうしよう、なんか場を和ましたほうがいいかな。そういえば、顔色隠すためのお白粉持ってるな。やるのか?これやるのか?
聴衆は何か期待しているようにも見える。俺は思い切って顔を白く染めた。
「チャンチャカチャンチャンチャチャンチャン チャンチャカチャンチャンチャチャンチャン」
「魔晶石で瘴気かと思って吸ってみたらァ~ジャンボタニシのお母さんでしたァ~。チックショー!」
聴衆はいきなり始まった小梅太夫ショーに戸惑っている。もうこれはやりきるしかない。
「戦場で敵のリロード音が聞こえたと思ったらァ~祖母のせきでしたァ~。チックショー!」
沈黙。フィリピンの持ちネタも受けない。もうこれしかない!
「朝はごはん派かと思ったらァ~、 ニョキニョキペンギンでしたァ~。 チックショー!」
凍てつくような長い沈黙。俺はもう投げる球が無くなって、ただ聴衆を睨みつけた。にらみ合いが続く。その時誰かが拍手をした。沈黙が尻をたたかれて追い出されていくような、魔よけの意味すらもつようなそんな力強い拍手だった。
魔神教の間で拍手が伝播していく。次第にそれは歓声を伴うものになっていった。気づけばスタンディングオベーションだ。なんだかわからないが、この拍手により魔神教の結束がぐっと固くなったような気がした。
これは俺のあずかり知らぬことだが、この出来事は魔王の舞としてのちに魔神教で語り継がれることになる。拍手が鳴りやんだころ、俺は魔神教徒に問いかけた。
「諸君!魔神教は諸君らに何を与えた!?」
興奮した教徒は次々に声をあげる。
「金!」
「地位!」
「土地!」
「自由!」
「そうかそうか!それでは今日諸君に与えるものは力だ!諸君は何を対価に支払う?」
「信仰心!」
「馬鹿が!恥を知れ!信仰で腹が膨れるか!?」
魔神教徒が信仰心と答えた教徒をタコ殴りにする。うお、こわこいつら。
だれかが手を挙げて答えた。
「命!」
その手は震えている。俺はそいつを前に来させた。
「いいぞ。どんな力が欲しい?」
「ち、ちからが…。人を操れるような力が…」
「そうか。ならこいつだ!デッドリーパラサイト!術式は”寄生”。こいつでどんなやつも操れる!」
俺は合成魔方陣の上に教徒を乗せる。同時にダンジョンの中にいるデッドリーパラサイトも合成魔方陣の上に乗せた。遠隔の合成魔方陣は実験済みだが、人間を素体にしている以上これは100分の1のギャンブルだ。しかしここに強固な運命を持つナハの血を捧げると、あら不思議。
教徒がうめき声をあげる。黒い煙が巻き起こり、風に乗って消える。ゆらりと立ち上がった教徒を見て俺は口の端を吊り上げる。男は指の先が触手のようにうねうねと動き、寄生先を激しく求めるようだった。
「お前の名前はアンダーザデッドだ。一層クロノスのために励むように」
「ショウチシマシタ」
その後殺到する希望者をさばいていくと大体5分の1とかで合成は成功した。本当は5000DPかけて一人一人狂霊の死体袋で合成してやりたいが、こっちでやる方が何かと都合がいい。記憶は継承されるし、素体が微妙でも付与された術式によっては大化けすることもある。瘴気も400DP位しか使わない。
ちなみにズアイ自体は戦闘力に換算すると1500〜3000DPだが、いまではその働きはDPに換算できないほど重要な物だ。こういったテクい動きを諸君らには求めるとしよう。
ダンジョンでできたら瘴気も確保できたが、さすがに100人近い人数をダンジョンに送り込んだら騒ぎになるだろう。それに魔神教徒の平均DPは400DPと一般人レベルだし別にいいだろう。それよりも秘密裏に魔神教が強化されたのがでかい。これから色んな勢力が台頭する中でぜひとも存在感を発揮してほしい。
魔神教は俺の新しい手札となった。ミュータント魔神教徒は約20名。日が昇る前にキャンプ地へと忍ばせた。
自分が借りたキャンプ地で少しの間身体を休ませる。ズアイの目で唾つけといた三人組の冒険者を監視していると、彼らは早朝から動き出した。働き者だなこいつらは。俺は偶然を装って、三人に声をかける。
「ヒッ!」
「な、なんだ!」
若い二人が俺を見て警戒する。リブロが何かに気づいた顔をして二人を抑えた。
「シンジ…?なのか?」
俺は小梅太夫のときに使ったお白粉を落とすのを忘れていたことに気づいた。ええい。どうにでもなれ。
「ああ。このお白粉かい?これは僕の故郷の戦闘スタイルさ」
ケイとアスカが胸をなでおろす。
「朝から心臓に悪いぜ…」
「ホントに勘弁してください」
「悪かったよ。こんな早朝になんか人はいないと思ってたから。つい…ね」
「シンジ。確か武闘家だったよな?前衛がたりてないんだ。よければうちと一緒に行動しないか?もちろんリーダーが良ければだが」
リブロが横目でケイをみると、ケイは満足げにうなずいた。アスカがため息を吐く。
「ほんとに子供なんだから…」
内心しめしめと思いながら申し出を快諾する。ちょっと寄り道したが「冒険者になろう!」作戦開始だ。
「よろしくね。ケイは剣士。アスカは魔法使い。リブロはボウガン使いだな。よろしく頼むよ」
ダンジョンに入るとリブロたちはその広さに圧倒されたようだった。
「聞いてはいたが、本当にダンジョンの中に森があるなんてな」
「すっげぇー!俺、ワクワクしてきた!」
「こら!ちゃんと周囲を警戒しなさい!」
森の中を進んでいくと、早速モンスターが出迎えた。リブロが発見する。
「スライム、ハウンド、スネーク、ゴブリンといったところか。強くはないくせに量だけはあるから蹴散らしてしまおう。アスカ。範囲攻撃の詠唱を。他はアスカを守れ」
「応!信心流・抜刀」
「了解」
ケイが手前からモンスターを細切れにしていく。俺はモンスターをちぎっては投げ、ちぎっては投げて敵と戦った。リブロがその様子を見てドン引きする。
「なんという怪力だ…」
「準備できた!ウォーターカッター!」
アスカの指示に合わせて屈むと頭上を通って水の刃がモンスター達を両断する。残党をリブロが狩って戦闘終了だ。
「よし!各自体勢を整えろ。雑魚は無視してレアものを狙いに行くぞ」
やはりこの程度の敵は物足りないらしい。下級種はもっとふんだんにアップグレードさせないとな。おっ!次は合成されたゴブリンの群れだ。リブロが群れを感知するが、遅い。既に逃げるタイミングは失われていた。
「前方敵発見!ゴブリンの群れだ!レアものが多すぎる!後退しながら接敵するぞ」
リブロが強力なボウガンで数匹の敵を倒すが勢いは止まらない。それもそのはず阿修羅ゴブリンが大盾を持って矢を弾くからだ。
阿修羅ゴブリンは三体合成という思い付きから生まれたモンスターで3個の頭に6本の腕が備わっている。三体合成しただけでその戦闘力はグンと上がり、DPで言うなら3000DPぐらいはありそうだ。その分合成に失敗することが多いが。
ゴブリンビーストが大盾の隙間から四つん這いで出てくる。見た目はゴブリンに獣らしい耳と毛が生えただけだがその凶暴さは折り紙付きだ。俺とケイでゴブリンビーストを食い止める。
っていうか痛い痛い痛い!腕に爪刺さってるって!たまらず蹴とばすとゴブリンビーストはトレントにぶつかり動かなくなった。
ああ、もったいない。だが、犠牲はやむなしだ。ケイに引っ付いているゴブリンビーストを引きはがし、ぶん投げる。
リブロは冷静に戦況を見極める。
「やるぞ!」
その言葉に全員が気合を入れ直す。死闘が続き、ケイの腕の力が抜け始めて、アスカの源力がそこを突きかけたころ、ゴブリンの群れは撤退した。ケイが地面に倒れこむ。リブロが素早くケイのもとに駆け付けると、外傷の確認をした。
「大丈夫だ。リブロ。ちょっと疲れちまっただけだ」
アスカは警戒を怠らず淡々と魔物から素材をはぎ取る。
俺はここがチャンスだと思った。このケイという男、ほぼ間違いなく王族の血が流れている。小瓶に詰めたナハの血がケイに近づくたびに薄く発光していることや致命傷になりうる攻撃が全て軽傷で済んでいることなどから、ほぼ確定だと言っていいだろう。
レアものだ。みすみす逃すのはもったいない。ケイに近づこうとした瞬間、リブロが俺にボウガンを向けた。
「動くな」
アスカが魔法の詠唱に入っている。ちっ。俺の正体に気づいていたのか。
俺が両手をあげるとアスカのアースバインドで土の縄が身体を締め付ける。一応命乞いをしてみる。
「待ってくれ。急にどうしたんだよ?」
「見苦しいぞ。魔神教徒、いやダンジョンマスター」
はぁ。そこまで見抜かれるとは。いや、かまをかけただけか。リブロが続ける。
「昨日の夜、お前は魔神教徒を集めて悍ましいことをしていたな。俺の遠視の魔眼がそれを見ていた」
遠視の魔眼か。ズアイができるなら人間もできるよな。というかあれも見られてたってことかよ。
「いつから警戒していた?」
「最初から警戒していた。ケイに近づくものはすべてな」
「おい、ちょっとまて。それってどういうことだよ」
「すまない、ケイ。俺は国からお前の護衛を任されていたんだ。偶然を装ってな」
「まさか、アスカも!?」
「…ごめんなさい」
ケイが真実を知り打ちひしがれる。俺もケイに話しかけたのはナハの血が反応したからだ。アスカに反応しているのかと思ったがケイだったとはな。ダンジョンの入り口からケニーを筆頭に続々と冒険者がやってくる。
「おおっと!そいつが魔神教徒を引き連れた男か。悪いがちっとばかし話そうや」
残念だが、ここで「冒険者になろう!」作戦は終了だ。俺は痛覚の共有を切り、火魔石で足元から自身の身体を燃やしていった。アースバインドをリミッターの外れた死体の力で引きちぎり、殺せるだけ殺してしまうことにする。リブロのボウガンが頭に刺さったが全然痛くない。
アスカとリブロの首を引きちぎり、ケニーに向かうが身体が限界らしい。最後にズアイの目を引き抜いたらミッションコンプリートだ。俺はダンジョンの最深部で潜入用の死体が燃えていくのを見ていた。ケニーが悪態つくのが最後に聞こえた。
「けっ!ダミー人形か」
その通り!死体にズアイの目をつけてオールマイトパラサイトで死体を動かしてただけだ。わざわざ外に出るなんてリスクのある行動は今更する必要もない。いやはや、色々有益な情報が得られたぞ。欲を言うならケイを拉致したかったが、リブロのファインプレーで防がれた。遠視の魔眼か、何か対応を考えないとな。
しかし、やはりケニーはなかなか優秀そうだ。こいつの動きには注意を払おう
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