表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/18

十六

「タンサ様、まことにありがとうございました」

「わ、私も……ありがとう。あなたのおかげでこれからは普通に生きられる気がする。……それとごめんなさい。助けてくれたのに私、酷いこと言っちゃって……」

「そういう気分の時だってあるよ」

 バーバラとスピルはタンサに対して、最大限の礼をする。

「この感謝をどのように伝えればよいでしょうか。どれほどの物を捧げれば報いることができるか分からないほどに大きな恩をいただきました」

「そんな、僕は特に……」

「ご謙遜を。タンサ様がここにいらっしゃってくださらなければ、このように全てが上手くいくことはなかったでしょう」

「そう言ってもらえるだけで僕は満足だよ」

「いいえ、それでは私たちの気が収まりません。お望みの物が無いようでしたら、宝物庫の中から最も高価な物を、あるいは代々受け継がれた国宝を……」

「ま、待って! ある! 欲しいものあるからっ!」

 つり上がっていく礼の価値に恐縮して、慌てて目当ての物を頼んだ。

「……タンサ様がそちらを望むのであれば。かしこまりました。それでは用意させましょう」


 その後、タンサは土産を持って宇宙船『麗しのシレイ様号』の所へ戻ってきた。

「……本当にこれだけでよろしいのですか?」

「もっと良いものがあるのに」

 バーバラは片手で持てるほどの小さな袋を手渡す。隣に立っているスピルも不服そうな表情をしている。

「うん。お土産にはピッタリかなって」

「しかし、それでは受けた恩に対してあまりにも……」

「気にしなくていいのに」

「ですが……」

「それならまたここに来るから、その時はこの星を案内してほしいな」

「タンサ様のお望みとあらば喜んで。その時はスピルと共に」

「うん、じゃあまたね」

「ええ、またいつか。必ず」

 惑星探索型人間を乗せた宇宙船はゆっくりと飛び上がる。窓から顔を覗かせたタンサが手を振り、バーバラとスピルもそれに応えた。その宇宙船の姿が見えなくなるまで。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ