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3話

とりあえず、書き溜めていたものはここまでです。完成次第、投稿したいと思います。

『ん?ああ、安心しろ。GPSの機能はついてない、つけようと思えばつけられるけどな。』…?




頭で情報を整理するのに少し時間がかかった。




「…」

「じゃあ、そう言うことだから。」

そう言って露上は自分のデスクに戻っていく。




少し止まっていたが、彼が歩いていく方を振り返るともうすでにデスクについていて、再びパソコンを開いて作業を始めていた。仕事の邪魔をするわけにもいかず、カードをしまい、職員室を後にする。





壁に寄りかかってスマホをいじっていた尊が顔を上げる。




「終わった?随分時間かかったねー」

そう言いながらスマホをしまってこちらに歩いてきた。




「先生の話が長くてさ…。」

と適当な嘘をつく。




「ろか先が話長いなんて珍しーこともあるんだね。」

「世間話的なこととかたまに話してくるから、今回もそれだったよ。」

実際に露上先生は世間話をしてくることがあるので嘘は言っていない。




「へー、あのろか先が、ね。気に入られてんだろうね。」

「え〜、厄介ごとしか押し付けてこないから嬉しくないな…。」

「まあ、先生に気に入られるとそうなるよね。さ、クレープでも食べに行こ。」




尊はまた私の手を取って歩き出した。もちろん他の待っていた2人も一緒だ。





学校帰りに寄り道をする。なんて事ない日常だが、大人として社会に出た経験があるから学生にしか味わえないものがあることを私は知っている。




大人になれば自然と昔関わりがあった人たちとも会う機会は少なくなる。だからこう言った学生時代にしかできない授業終わりの寄り道は私にとって、懐かしい青春時代をもう一度やり直している気分になるのだ。




私は今、尊と2人並んでキラキラとしたショーケースを見ながら何を注文するか決めていた。




「んーやっぱり王道のいちごかな…いや、でも期間限定のメロンも捨てがたい…。」

「尊、それなら私と半分こしようよ!」

「水葱、ナイスアイディアすぎる!そうしよう!」




2人で盛り上がっていると突然影がさして背後に気配を感じる。




「水葱、私のも半分あげるよ。」

後ろを振り向くと兄が立っていた。




「え?私そんなに食べれないよ?」

「…そう?じゃあ私が水葱のものを尊と分けた半分の半分貰うよ。」




この兄は一度決めたことは絶対に曲げないタイプだ。どんなに言っても無駄なことは長年の経験で知っているので諦めて「うん、じゃあそうして。」と言うと兄は嬉しそうに笑った。




後からやってきた御影石多津(みかげいしたつ)も加わって6人でそれぞれクレープを買ってテーブルについた。




「…ん、これめっちゃ美味しい…」

「ほら、水葱。あーん。」

私は私のクレープを頬張る尊と、始終寒い言葉を妹に向けてくる兄に挟まれており、何とも言えない顔をしていた。




「兄さん、手で食べれるからそれちょーだい。」

仕方なく私は兄の手からクレープをぶん取って一口、口に含んだ。すると、途端に口の中に桃の味が広がる。




「…美味しい。」

クレープの美味しさに舌鼓を打っていると手が伸びてきて口の端を拭った。もちろん手の主は左に座っている兄のものだ。




「クリーム付いてるよ。」

そう言いながら取ったクリームを口に含む。この兄は実の妹に何がしたいのだろうか。




「天雄、相変わらずのシスコンぶりだよな。俺も妹いるけど、そこまでしねーわ。」

呆れたような顔でこちらを見ている多津は、尊と同じく甘党で、カスタードクリームましましで頼んでいたので先ほどからスプーンでカスタードだけ掬い取って食べている。




「兄妹仲がいいのは良いことだよ。俺の兄貴とか殆ど話しかけてこないから。」

「僕は兄弟がいないからわからないけど、偶に羨ましくなるよね。」

「え、アレになりたいのか…?」

麟太郎、成廻、多津の順にそれぞれ好き勝手話しているが、そこで話すならこちらの兄に注意をしてほしいところだ。




「水葱、ありがとう。美味しかった。」

「うん、こっちも美味しかった。」

荒んだ気持ちになりつつあったが尊の声で現実に意識が戻る。私のクレープを差し出してきていたので、半分もらったクレープを尊に返した。






何だかんだわいわいしながらクレープを食べ終わると少しぶらぶらして帰ることになった。水葱と尊は夏に向けて新しい服を見ることになり、他男子4名と別れて行動しようとしたのだが、バカ兄が猛反対したことで何故かレディース服の並ぶエリアで、一番でかい男(兄)とその仲間たち(その他3名)は私たちの夏用の服にそれぞれ好きに意見を言うという謎空間が出来上がったのは仕方がないことだった…のかもしれない。この話はまた別の機会に語ることとしよう。




日もすっかり落ちて夕食時になった頃、漸く私たちは帰路についたのだった。

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