序章
スランプ中にふと思いついた作品です。投稿頻度は未定、気の向くままに進めます。
pixivで先行投稿している場合が多いので、ぜひそちらでも見ていただけると幸いです。
※あとがきにシリーズリンク貼ってます。
───この世界は狂っている。
正義に固執しすぎた世界、今では『正義派』と『悪派』でそれぞれのコミュニティーを作り人々は暮らしている。
先祖が正義だったから、先祖が悪だったから、と人々は勝手にその役職を引き継ぎ、今まで繋げてきた。世の中にはそのどちらにも属さない『中立派』なんてものがあるが、その中立派の大体は正義派に属している、属すしか術を持たないともいう。
これはそんな『狂った』世界で生きる1人の少女の物語───
私は天井水葱という名前でこの世界で産まれた。前世の記憶を持つ人間の1人だ。
いつから前世の記憶を思い出したか、と聞かれれば『最初から』だ。生まれた瞬間にこの世界以前の記憶がすでにあり、生まれたばかりの赤子は持ち合わせていない知識も頭の中に自然にあった。
私が前世で死んだ瞬間もまだ鮮明に覚えている。どくどくと早鐘を打つ心臓、あたり一面に広がっていく自分の血、視界が鈍り、周りのざわめきが次第に音を無くしていく光景…それが私の最期だ。
前世で私は何よりも本が好きで、一番好きなジャンルはファンタジーだった。魔法が使える世界、誰もが一度は憧れを抱いだことがあるのではないだろうか。
私もそんな摩訶不思議な魔法を使える世界に憧れを抱いている人間の1人だった。大体の主人公は過去に暗い闇か後悔を持ち、周りの環境に振り回されながらも未来に向かって歩んでいく。
そんな『特別』な存在に憧れた。でも、実際その主人公になりたいか、と聞かれれば答えは「No」だ。
痛い思いも苦しい思いも実際には体験したくないし、自分は物語の傍観者、一モブでかまわない。私に物語の主人公は向いていないし、なるつもりもさらさらない。
そんな私はこんな狂った世界に転生してしまった。何故と聞いても誰も答えてくれはしないだろう。
だってこの世界は
『正義と悪が対立する』のが当たり前、それを日常とする世界なのだから。
この作品のシリーズ、PixivのURL↓
https://www.pixiv.net/novel/series/11332841