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先祖返りの町作り  作者: 熊八


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貴族年金と官僚の仕事

メイの結婚式から、しばらく経過した頃。

私とエルクは、執務室で二人で相談していた。


「俺は当初の予定通り、

 メイに貴族年金を出すつもりだ。


 なぁ、ヒデオ。

 お前はそれに反対なんだって?」


この部屋には、今は子供達がいないので、

エルクも昔のような口調で話を始める。


「別に反対している訳ではありません。


 ただ、仕事もせずに、

 年金だけをもらうのが問題だと、

 思っているだけです」


「それは、つまり?」


「年金だけをもらってしまうと、

 あの二人は、

 遊んで暮らすかもしれません。


 それは、あの夫婦にとって、

 良い事ではないでしょう?」


エルクは腕組みをして考え、先を促す。


「ふむ……。

 では、ヒデオはどうすれば良いと、

 思っているんだ?」


「簡単な話です。

 仕事を与えれば良いのです。


 ゴランさんには、

 高度な教育を施していますから、

 彼を高級官僚として、

 雇えば良いと思いますよ」


エルクは納得した様子で、

一つ頷いた後、許可を出す。


「意義は理解した。


 ここはヒデオの意見を採用して、

 ゴランを官僚として採用しよう」


「ええ。

 それが良いと思います。


 私の故郷に伝わる古い格言で、

 働かざる者食うべからず、

 というものがありますから」


エルクは微笑みながら、話を続ける。


「やはり、ヒデオはいろいろと物知りだな。


 そうだ、たまにはルースと3人で、

 昔の親友同士で酒を飲まないか?」


「それはいい考えですね。

 昔話に花が咲きそうです」


私も微笑んで、飲み会に了承の返事をする。


その後に開かれた、

3人での自宅での飲み会では、

ワイワイと昔話を楽しんだ。


ただ、エルクとルースももう年なので、

あまりたくさんは飲まず、

私もチビチビとしか飲まなかったので、

醜態をさらすようなものは、

誰もいなかった。


これはずっと先の話になる。


メイとゴランさんの家は、

ガイン家の分家として、

代々官僚を輩出するようになり、

リスティン王国が崩壊した時には、

子孫が閣僚の一人となって、

新国家を支える事になるのである。

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