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先祖返りの町作り  作者: 熊八


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孫と再び里帰り

メイとの密談から、1年ほど経過した頃。


私は、エストとローズさんと共に里帰りしていた。

今回も行商人の一行との旅であったが、

アレスさんは既に引退していて、

息子さんのアルトさんとの旅であった。


そして今、

祭司長の小屋の前で、

エストが到着の挨拶を始める。


「ひいおばあ様。エストです。

 また来てしまいました」


「おう、エストか!

 よくぞ参ったのじゃ!


 遠路はるばる、

 ご苦労じゃった……の……じゃ?」


祭司長は喜色満面で出てくると、

エストの隣にいるローズさんを見て、

最後が疑問形になりながら挨拶をした。


その、あまりにもなデジャブなシーンに、

私は吹き出しそうになり、

両手で口を覆って少し涙目になる。


エストも可笑しかったのか、

少し頬をピクピクさせているが

吹き出す事まではせずに、

冷静にローズさんを紹介する。


「ひいおばあ様。紹介します。

 こちらが私の妻のローズです」


「曾祖母様、お初にお目にかかります。

 エスト様の妻のローズと申します。


 よろしくお願いいたします」


ローズさんの紹介と挨拶を受けた祭司長は、

とてもうれしそうに頷いて、

新しい家族を迎え入れる。


「そうか。

 もうエストもそのような年なのじゃな。

 やはり、ヒム族は成長するのが早いのう。


 ローズよ、わしが、

 おぬしのひいおばあちゃんじゃ。

 これから末永く、よろしくな」


エストは続けて、自分の子供の存在も紹介する。


「実は私には既に、2人の子供もいるのです。

 ひいおばあ様の玄孫にあたります。


 長女がネリアで、今、5歳です。

 長男がシゲルで、4歳なんですよ?」


祭司長は少し驚いた様子で語る。


「そうか、もう子供までおるのか。


 ついこの間、

 訪ねて来てくれたと思うておったのじゃが、

 月日の流れるのは早いのう。


 しかし、わしの玄孫か。

 一目で良いので、見てみたいものじゃのぅ」


それを聞いたエストも、子供達を紹介したがる。


「私もできれば、二人を紹介したいのです。


 ただ、二人共まだ小さいので、

 ここまでの街道を旅できないのです」


私はここで、ある提案をしてみる。


「では祭司長様、こうしませんか?


 私がしばらく、祭司長様の代行をしますので、

 その間に、ガインの町まで旅行してみては、

 どうでしょう?」


祭司長は腕組みをして考え、結論を述べる。


「魅力的な提案ではあるのじゃが、

 わしはこの里から出た事がないからのう。


 何日もかけてヒム族の国に行くのは、

 ちと難しいな」


それを聞いたエストが、また別の提案をする。


「では、ひいおばあ様。こうしませんか?


 私に作っていただいたように、

 ひいおばあ様に二人のために、

 魔石を作ってもらいます。


 そして、おじい様が私にしてくださったように、

 私とおじい様で、

 この里の魅力を今から教えれば、

 成人したら、

 自分で訪ねて来てくれるかもしれません」


それを聞いた祭司長が、

張り切って魔石作りをする事を宣言する。


「そうか!

 ならば、早速魔石を作るのじゃ!


 最も光り輝く魔石を作って見せようぞ」


ここでローズさんが、反対意見を述べる。


「でも、あなた。

 子供達だけでは、危険ではありませんか?」


「いや、ローズ。

 あなたもこうして、

 この里まで無事に来られたではないですか。


 おじい様に護衛してもらえれば、

 安全にこの里まで旅行できると、

 思いませんか?」


それもそうですねと、ローズさんは頷き、

納得したようだ。

ここで私がさらに賛成意見を述べる。


「ネリアとシゲルが成人する頃には、

 エストも三代目領主になっているでしょうから、

 許可を出すのも簡単そうですね」


家族4人で小屋に入った途端に、

祭司長は魔石に魔力を込め始めた。


頑張り過ぎて4つほど粉にしたが、

私が以前に教えていた、

限界ギリギリまで魔力を込める方法を、

覚えていたようで、

その後は2つの光り輝く魔石を完成させた。

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