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先祖返りの町作り  作者: 熊八


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複雑な乙女心

この頃には、メイは既に20歳になっていた。


そのため、周囲の家族達からは、

早く婚約者を紹介して結婚するようにと、

催促されるようになっていた。


そんなある日。

メイは良く冷えたビールとワインを持って、

私の自室を訪ねて来た。


「おじい様。

 少し相談したい事があるので、

 一緒に飲みませんか?」


私は微笑みながら、了承する。


「ええ、喜んで。

 たまには、孫と一緒にお酒を飲むのも、

 良いものですから」


しばらくは、

二人とも無言でチビリ、チビリと飲んでいたが、

メイはポツポツと、

その複雑な心境を打ち明けてくれた。


「おじい様。


 私もそろそろ、

 ゴランと結婚しなければならないとは、

 思っているのです。


 でも、どうしても決心がつかないのです」


何か大事な話があるのだろうなと、

思っていた私は、

ただ黙って、メイの話に耳を傾ける。


「自分でも、愚かだとは思うのです。


 でも結婚してしまうと、

 お兄様を完全にあきらめてしまうように、

 感じられてしまって、

 どうしても、踏み込めないのです」


私は微笑みながら、優しくメイの話に返答する。


「乙女心は複雑ですね。

 私は既に、85年生きていますが、

 未だに理解できません。


 おそらく、後1000年生きたとしても、

 理解できないでしょうね」


そして、メイにある提案をする。


「では、メイ。

 こうしませんか?


 私からも、それとなくエルクとルースに、

 あまり結婚を急がせないようにと、

 話をしておきますので、

 もうしばらくは、時間が稼げると思います。


 あまり長い時間は無理でしょうが、

 その間に、

 気持ちの整理をしてはどうですか?」


メイは謝辞を伝える。


「ありがとうございます。おじい様。

 その時間を使って、じっくりと、

 自分がどうしたいのかを、

 考えてみたいと思います」


「それが良いと、私も思います。

 人生について悩めるのは、

 若者の特権ですからね。


 メイの気持ちが定まったら、その時は、

 私にもその結果を教えてくださいね」


メイは少し、悩みが軽くなったような様子で、

語り掛ける。


「やっぱり思い切って、

 おじい様に相談してみて、良かったですわ」


「私もうれしいですよ?

 愛する孫といっしょに、

 のんびりとお酒を楽しめるのですから。


 なので、相談したい事があれば、

 いつでも私の元へ来てください。

 秘密は厳守しますよ?」


私が、少し冗談めかしてそう言うと、

メイも微笑んだ。


それからしばらく、二人でお酒と雑談を楽しみ、

夜が更けていった。

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