建国
それから、無事に大統領選挙が終了した頃。
下馬評通り、
他候補に大差をつけてユキムラが当選し、
初代大統領となった。
法律では、
合計2期までしか大統領に就任できない。
そのため、最長でも10年我慢してもらえたら、
ユキムラも重責から解放される計算になっている。
そして、ガイン自由都市200周年の、
記念日に合わせて行われた、
大統領の就任式の場で、
ユキムラによって、
ヒデオ・キョウワ国の建国が宣言された。
せめてガイン・キョウワ国にして欲しいと、
私はお願いしていたのだが、
全会一致で却下されていた。
私の貢献度を考えると、
これ以外の名前はあり得ないのだそうだ。
そして私には「建国の父」という、
最後となる二つ名が与えられたのであった。
今は大統領府となっているかつての領主館で、
仕事の引継ぎを行っていると、
ユキムラがある役職を私に与えた。
「大おじい様を、
この国の終身名誉ダイトウリョウに、
任命しますね」
私はそれに若干驚き、異論を述べる。
「私をそんなものに任命してしまうと、
半永久的に給料をもらってしまいますよ?」
そうすると、それで良いのだと説明を受けた。
「これは、
大おじい様のための処置ではありません。
シミンのための処置なのです」
「そうなのですか?」
ユキムラは力強く頷きながら、
その真意を語ってくれる。
「建国の父となった大おじい様に、
その長い寿命を使って、
この国の行く末を見守って欲しいのです。
そして、道を誤りそうになったら、
それとなく手助けをお願いしたいのですよ」
私はそれならばと納得し、
この国を見守り続ける事を約束したのであった。




